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大変だ、両親がどこかで頭を打ってきたらしい

作者:名取有無
「私も旅行に行きたいなー」

 旅番組を見ながら、私はわざとらしく呟きました。画面に映し出されているのは霧の街ロンドンです。異国情緒あふれる素敵なその街並みに、私は熱視線を送り続けていました。

「真昼、確か夏休みは来週からだったよな。何か予定はあるのか?」
「予定は特にないけど……。どうしたの、お父さん」
「真昼ももう十六歳なんだし、今年の夏休みは母さんの実家に行こうと思ってな」
「え? それほんと!?」

 お母さんは日本人とイギリス人のハーフです。私は一度もお母さんの実家に行った事はありませんが、お母さんの実家はイギリスにあるそうです。
 お父さんはつまらない冗談は言いません。冗談めいた事を口にしながらも本当に実行してしまうのが私のお父さんです。
 おそらくお父さんは本気で、夏休みに家族で旅行に行く事を計画しているのでしょう。しかも、人生で初の海外です!

「なあ美里(ミリ)、そろそろ真昼にもあの事を言っていい頃合いだよな」
「……そうね。我が子相手に隠し立てするような事ではないもの」

 お父さんの言葉にお母さんが頷きます。それと同時に、お母さんの色素の薄い髪が揺れました。私も少し髪や目の色素が薄いのですが、それはきっと私がクォーターだからでしょう。

「ちょっと、お父さんもお母さんもどうしたの?」

 そこで私は異変に気づきました。
 お父さんはいつでもへらへらと笑っていますし、お母さんは穏やかな微笑を絶やさない人です。それなのに今の二人は、にこりともせずにとても真剣な顔で私をじっと見つめていました。

「真昼。落ち着いて聞いてちょうだい」

 私は固唾を飲みました。お母さんの口からどんな衝撃的な事柄が聞かされるのかと思うと、自然と身構えてしまいます。いつの間にか掌は手汗でぐっしょりと濡れていました。

「お母さんはこの世界の人間ではないわ」
「……は?」

 どうやら難聴気味のようです。春の身体測定では特に異常はなかったのですが、油断は禁物ですね。夏休み中に耳鼻科に行く事にしましょう。

「ごめんお母さん、よく聞こえなかった。もう一回お願い」
「あたしは異世界人なの。お父さんと一緒にこの世界に来ただけで、もちろん日本人とイギリス人とのハーフでもないわ」

 おかしいですね。私の耳はどうしてしまったのでしょうか。お母さんの言葉が、その真面目な顔にそぐわないものにしか聞こえないのですが……。

「実は昔、父さんは勇者だったんだ。異世界に召喚されて、魔王を倒してきたんだぞ」
「そうだったんだ……」

 私はゆっくりとソファから立ち上がります。

「美里は……いや、ミリエイナは騎士で、おれのパーティメンバーだったんだ。一緒に奴と戦ったんだよな!」

 ……あの、『奴』って誰ですか? 魔王ですか?
 そう聞きたいのをぐっとこらえ、私は歩き出しました。

「あたしは後ろで暁人(アキト)さんの支援をしていただけよ。実際に活躍したのは暁人さんでしょう?」

 白い肌を桃色に染め、お母さんはお父さんに寄り添いました。お父さんはそんなお母さんの肩に手を回しています。結婚してもうニ十年近く経つはずですが、両親のバカップルぶりはいまだ健在のようです。

「あれ? 真昼? どこに行くんだ?」
「どこにって……リビングだけど?」

 リビングには固定電話があります。
 受話器をとった私は、バカップルどもに向けてにっこりと微笑みました。

「救急車、呼ばなきゃ」

 両親が頭を打ってしまったのです。他に何をすればいいのでしょうか。

「イタ電なんてやっちゃだめだ! 一一九番とか洒落にならないから!」

 お父さんが悲鳴じみた声をあげます。だったらあんな事を言わないでください。

「はぁ……。で? お父さんもお母さんも、どういうつもり? まさかその年になって中二病?」

 二人とも、もう四十歳を過ぎているでしょうに。ああでも、お父さんは年の割に子供っぽい人ですから、中二病を患ってしまった可能性も無きにしも非ずなのですね。痛々しい事に変わりはありませんが……。

「違うって。ほんとにおれは勇者だったんだよ」

 お父さんは憮然とした顔で食い下がります。しつこい。

「そうなんだ、すごいね!」

 適当にあしらっておきましょう。両親の妄言にまともに耳を貸す必要はありません。

「絶対信じてないだろお前……。とにかく、旅行の準備だけはしておけよ! 一週間ぐらいは向こうに滞在する予定だから、そのつもりでな」
「え、本当に行くの?」

 おや、旅行は実現するようです。行き先はやはりイギリスでしょうか。

「当たり前だ。来週には()()が来るように伝えとく」

 伝えておく……旅行会社の人や旅館の人にですかね。空港で旅行客を出迎えているガイドさんの姿を思い浮かべ、私は一人で納得していました。

「わかった、楽しみにしてるね。じゃあ、おやすみなさい」
「もう寝るのか? 話はまだ、」
「うん。二人とも、私がいたら邪魔でしょ?」

 バカップルどもはいまだ寄り添い合っています。こんな実の両親の姿を見続けるのは、私にとっては結構な苦行でした。
 お母さんとお父さんは何か言いたげな素振りを見せましたが、私は構わず二階に上がって自室のドアを開けます。
 これといってするべき事もなかったので、私はそのままベッドにもぐりこむ事にしました。


 深夜、私は唐突に目を覚ましてしまいました。なんだか喉が渇いています。時計の針は午前二時を示していました。
 水でも飲んできましょう。そう思った私はのそのそとベッドから起き上がり、一階へと向かう事にしました。

 リビングには明かりが点いていました。お父さんとお母さんがいます。

「ねえ、あた――――実家って――――のは……」
「ああ。お義父(とう)さ――――とこ――だ。……まだ挨拶もして――――しな」

 ひそひそと二人は言葉を交し合っています。囁くような声量だったため、声はよく聞き取れませんでした。

「でも、だいじょ――――――の? あたし達は身体が――――――に残ってい――――らいいとしても、真昼はこうち――――なきゃい――――いじゃない」
「意識だけ――――くて、ちゃんと身体ごと――――でき――――しい。エ――――奴、じぶ――――その魔法を試して、東京かんこ――――来たんだよ。おれ、案内させ――――た」
「その話は聞い――――ないけど……さすが――――ね。……あの人、どこに向かお――――――ているの――――――ら」
「にんげ――――限界に挑戦す――――もりなんじゃないか?」

 ……聞かなかった事にしておきましょう。私は起きてなどいないのです。


 その後は特に変わった事もなく、何の変哲もない一週間が過ぎていきました。
 一応旅行の支度だけは済ませていましたが、どうやら無意味だったようです。お父さんはつい勢いであんな事を言ってしまったのでしょう。
 ――――――――終業式を終え、家に帰ってくるまではそう思っていました。

「おかえり。早かったな」
「あれ? お父さん? 何で家にいるの?」
「なんでって、今日は休みだからだぞ」

 今朝はお父さんに会っていません。いつもより早く出ていったのだとばかり思っていましたが、ただ単に惰眠を貪っていただけのようです。

「今日は平日だけど……」
「有給だよ。溜まった有給をつぎ込んだんだ。ほら、今日から旅行に行くんだしな」
「ほ、本当に行くの!?」
「もちろん。ほら、早く準備しておけよ!」

 お父さんはニヤッと笑います。リビングに向かうと、トランクを脇に置いたお母さんがテレビを見ていました。行く気満々のようです。私の準備が終われば空港に行くのでしょうか。朝のうちに言ってくれればよかったのに……。

「あら真昼、おかえりなさい」
「ただいま。ちょっと待って、すぐに準備するから!」

 私は慌ただしく自室へと向かいました。……途中、階段で足を踏み外しそうになりましたが。
 クローゼットからよそいきのワンピースを取り出し、素早く着替えて髪を梳かします。旅行先が本当にイギリスなのかそうでないのかは結局教えてくれなかったのでわかりませんでしたが、どこであろうとおしゃれは女子の嗜みです。
 一週間分の着替えや生活用品などが入ったボストンバッグと、スマートフォンや財布などが入ったポーチを掴み、一階へ――――――――向かう前に姿見で一度自分の姿を確認しておきます。
 自分で言うのもなんですが、私の容姿は決して悪くない方です。我が母ながらお母さんはかなりの美人ですから、その遺伝子がうまく作用してくれたのでしょう。問題なのは――どことは言いませんが――平地な事ですが、お母さんには谷間があります。きっとそのうち私も大きくなるでしょう。

 どうやらおかしなところはないようです。私はほっと胸をなでおろし、改めて一階へと向かいました。

「お待たせー!」

 リビングではお父さんがお母さんと一緒にテレビを見ていました。お父さんの傍らにはボストンバッグが置かれています。……旅行に行く準備はしてあるようですが、どう見てもこれから旅行に行く雰囲気ではありません。

「……ねえ、行かないの?」
「ん? ああ、もうそろそろだな」

 お父さんはテレビの電源を消して立ち上がります。

「戸締りも完璧よ。一週間ぐらい家を空けていても大丈夫でしょう」

 お母さんも軽く伸びをしながら立ち上がりました。二人はそのまま玄関へと向かいます。私もその後についていきました。

 靴を履き替えてドアに手を掛けようと、

「真昼? どこに行くんだ?」
「え?」

 お父さんに呼び止められてしまいました。

「外じゃなくて、こっちだぞ」

 お父さんは靴を持ったまま、リビングへと戻っていってしまいます。お母さんもそうでした。……はい?

 意味がわかりません。しかし、私もそれに倣うしかないのでしょう。私は履いていた靴を脱ぎ、二人の後を追ってリビングに入りました。

「ちゃんと荷物は持っていてね。手を離したりしたら、家に置きっぱなしになってしまうから」

 二回目ですが、意味がわかりません。お母さんは何を言っているのでしょう。
 そう尋ねようとした途端、壁にかけられていたデジタル時計のチャイムが鳴りました。午後一時になった事を告げる電子の鳥の鳴き声を聞きながら、私は困惑に身を委ねていました。
 フローリングの床が、光りはじめたのです。照明の明かりを反射して、とかそんなレベルを超えています。
 輝きは徐々に強くなっていきました。眩い光に目がくらみます。私は思わずぎゅっと目をつぶってしまいました――――――――



 次に目を開けた時、私は知らない部屋に立っていました。ここは慣れ親しんだ我が家のリビングではありません。

「こ、ここは……」

 床も壁も石でできていました。部屋中にひんやりとした空気が漂っていますが、その石材のせいかもしれません。

「……ここがイギリス?」

 科学の力は日進月歩と言いますが、まさか一家庭のリビングから外国に旅行できるようになるなんて! これが旅行会社の本気なのでしょうか。感動です。

「いや、ここはイギスアルヘイドだ。……あれ? ファレントだっけ?」

 私の言葉に応えたのは若々しい少年の声でした。
 そんなわけありませんよね。そんなトンデモ技術聞いた事がありません。ですが私がこうしてリビングから知らない部屋に連れてこられているのは紛れもない事実です。
 ……で、いぎすあるへいどってどこですか? イギリスの仲間? それとも五十洲或平戸(いぎすあるへいど)? ……石川県ですかね。

「ファレントだ。俺達が国に帰れるわけがないだろう」
「あれから二十年近く経ったとはいっても、やっぱりイギスアルヘイドに帰るのは勇気がいるんだよね。まだわたし達の事を覚えてる人だっているだろうしさ」

 ですが、その少年の言葉を否定するように、低く渋い男性の声と落ち着いた女性の声が響きます。
 ファレント? ふぁれんと……漢字に変換できそうにないですね。イギスアルヘイドですらギリギリだったのに、『ファ』は少し厳しいものがあります。

 石造りの部屋には、私の他に五人の姿がありました。ですが、全員知らない人です。……皆さん色素が薄いのでしょうか、あるいはカラコンやヘアカラーの愛用者なのでしょうか。
 一人目。壁にもたれて座る、銀髪紫眼の渋いおじ様。イケメンという言葉よりハンサムという言葉が似合うような彼からは、ハリウッド俳優もかくやという色気が滲んでいます。やだ何この美中年。
 二人目。おじ様の隣に佇む、はしばみ色の髪のおば様。……いえ、おば様というと怒られそうなので、ここはお姉さんでいきましょうか。お姉さんは下手な女優なら裸足で逃げ出すような美人さんです。これが美魔女という奴なのでしょうか。
 三人目。きらきらと目を輝かせてこちらを見つめる、藍色の髪と目をした男性。人好きのする笑顔を浮かべた、穏やかそうな人です。

「へえ、ここがファレントなのか!」
「久しぶりね、皆」

 四人目。周囲の皆さんに挨拶をする、銀髪紫眼の美少女。どことなくおじ様と似ていますが、おじ様の娘さんなのでしょうか。年は私と近いようですが……どことは言いませんが明らかに私のほうが劣っています。何を食べたらあんなに育つのか、ぜひご教授願いたいものです。
 五人目。物珍しげに周囲を見渡す、黒髪黒目の少年。この中では唯一、私とカラーリングが同じです。まずその事に安心しますが、年も同じぐらいに見えるので安心感も倍増です。仲間意識のようなものが勝手に芽生えました。
 なぜか少年と美少女は、棺桶のようなものから起き上がっていますが……。棺桶で寝ていたんですかね。
 ちなみに私を除いて、この場にいる人達はレイヤーさんなのか、それとも何かの撮影をしていたのか、中世ヨーロッパ風ファンタジーな衣装に身を包んでいます。……自分で言っておいてなんですが、中世ヨーロッパ風ファンタジーな衣装ってどんな衣装なんですかね。たとえが曖昧すぎましたか。

「はぁ……。やっぱり、身体ごと持ってくるのは一人が限界だな。……ちーとも【言語理解】を再現するのが精一杯、か」

 疲れた表情のおじ様が呟きます。身体ごと持ってくる……一人……。

「お父さんとお母さんは!?」

 そうです、周りをゆっくり観察している場合ではありませんでした。
 ここにはお父さんとお母さんがいません。周囲にいるのはまったく知らない人達だけです。

「え、真昼?」

 黒髪の少年が私の名前を呼びます。どうして彼は私の名前を知っているのでしょうか。

「あたし達ならここにいるわよ?」

 銀髪の美少女が首をかしげます。悪いですが、あなた達がどこにいようと今の私にはどうでもいいんです。

「もしかして……その恰好じゃわかんないんじゃない?」
「あ! そういえばおれ達、若返ってるんだったな!」
「《不死の棺》は成長を促進するのではなく、成長を止める事で生命を維持させるものですから、アキトさん達だけ昔の姿のままなんですよ」

 お姉さんが少年と美少女の身体を指さします。男性は苦笑を浮かべていました。

「向こうの世界に永住するにあたって捨てたこっちの世界の身体に憑依したから、以前の姿に戻っていたのね……」

 そう呟いた美少女は咳払いをして、神妙な顔で私に話しかけます。

「真昼、あたしがお母さんよ。こっちがお父さん」
「……は?」

 何を言っているんでしょう、この人達は。

「おれが召喚された時のシステムは少しややこしくてさ。おれとミリは当時のシステムを利用してこの世界に来たから、勇者だった時の年まで若返ってるんだよ。あ、真昼は最新のシステムで来たから大丈夫だぞ!」
「最新というか、神の召喚術を元に俺が開発した空間系の最上級補助魔法だ。これなら意識だけでなく身体ごと召喚できる。術者である俺自ら被験体となって臨床試験もしたし、安全面についても問題はない。……トウキョウは中々面白かったぞ」

 少年とおじ様が何やら説明めいたものをしてくれますが、私の頭ではちんぷんかんぷんです。
 この言葉を使うのはもう何度目になるでしょうか。それでも私はあえて使いましょう。――――――――意味がわかりません、と。

「アキトさんとミリさんが向こうの世界に残してきた身体にも干渉はしておきましたよ。……一週間ぐらい飲まず食わずでも、問題はないと思います」

 男性がさらっととんでもない事を言っています。なんなんですか、これは。

「……あの、どこの局ですか? 素人をドッキリにかける番組なんて、ありましたっけ?」

 もうわけがわかりません。きっと、これは夢かなにかなんです。仮にこれが現実だとしたら、スケールの大きいドッキリ企画なんでしょう。
 私がそう訊いた途端、おじ様が微かに笑いました。やだエロカッコいい。私はオヤジスキーというわけではありませんが、胸にぐっとくるものがあります。

「確か最初に召喚された時、アキトも同じ事を言っていたな。……さすがアキトの娘だ」
「うう……。あの時はテンパってたんだよ! 事前に説明されたとはいえ、もう何が何だかわからなくなっててさ」

 そのまま五人は、あの時はああだったとかこうだったとかと昔話に花を咲かせはじめました。……貴方達、私の存在覚えてます?

「ちょ、ちょっと待ってください! 貴方達は誰で、ここはどこなんですか!」

 すかさず私は声を張り上げました。置いてけぼりはごめんです。

「だから、ここはファレント聖教国。ミリの……母さんの実家がある国だ」
「……実家と言っても、あたしにはここで暮らしていた記憶なんて残っていないけどね」

 お父さん? が、私に向かって喋りだします。……どう見ても同い年にしか見えない少年を父と思うのは無理がありますね。
 私は地理が得意なほうではありません。ファレント聖教国という国を知らないのは、私が不勉強だからでしょうか。

「そこの銀髪の魔導士がエルギアルで、その隣が元王女のロシェルクス。お前の伯父さんと伯母さんだ」

 どうやらおじ様はただのおじ様ではなく伯父様で、お姉さんもおば様ではなく伯母様だったようです。確かに伯父様の髪色や目色はお母さんと同じですから、お母さんのお兄さんなのでしょう。
 ……魔導士? 王女? はて、一体何の事やら。私はそんな単語は聞いていません。聞いていないったら聞いていないんです。

「で、こいつが神官のケイル。ここにいるのは全員、父さんが勇者だった頃のパーティメンバーだ」

 藍色の髪の男性の肩を叩き、お父さん? が自慢げに胸を張ります。パーティ……メンバー……。

「……あの、お父さん? が勇者だったという話は……まさか……」

 恐る恐る尋ねると、お父さん? はさも当たり前という風に頷きました。

「だから、本当だって言っただろ?」

 私はその場にへなへなと座り込みます。私が今まで積み上げてきたものとは何だったのでしょうか……。

 がらがらと音を立てて崩れ去った常識への未練を断ち切る事ができずにうずくまっていると、部屋の扉が開きました。

「父さん、そろそろ来てくれないか? 皆、早く叔父さんと叔母さんに会いたいってよ。……じい様も、二人の顔が見たいらしくてすごくそわそわしてるし」

 入室したのは二十歳半ばぐらいの青年です。彼の顔立ちは伯父様と少し似ていました。ようするにイケメンです。不覚にも胸が高鳴りました。
 上の息子のレークだ、と伯父様が彼の事を紹介してくれます。という事は、この人は私の従兄ですか……。

「皆? 誰か来ているのかしら」
「ユージ達を呼んであるの。せっかくだから招待したんだ。<大和撫子>の人達とか、解放軍の元メンバーの人達とかも来てるよ」
「お、姉ちゃんもいるのか! 真昼、伯母さんと従兄妹にも会えるぞ!」

 さっぱりわかりません。どちらさまですか? というか、まだ異世界に親戚がいるんですか?
 立ち上がる事もできずにいると、誰かが手を差し伸べてくれました。優しげな微笑を浮かべた、従兄のレークさんです。

「ようこそ、マヒル。願わくばこの一週間が、君にとって素晴らしいものになりますように」

 突如異世界に召喚されてしまった事で頭がパンクしてしまった私は、もう何も考える事もできずにその手を掴みました――――――――

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