ヘンナ……はげ
むっむ~。
白髪が気になる。髪の毛もぼうぼうだし。
染めにいかないとだめだなぁ。でも染めるとぱさぱさになるんだよなぁ。
鏡とにらめっこする私の足元をロボット掃除機が通過していき。
「だまれはげ」はげてないっ?!
「円形脱毛症」うっさいっ! ストレス原因ッ?!
ま、良いけど。悩みを素直にぶっちゃける相手がいると、改善するらしいしね。
あ~あ。髪の毛ぱっさぱさ。染めるといためるし。
「染めなければ良いだろう」最近は皆染めているもん。
「髪の毛ならまだ良いが、皮膚が痛むならカラー剤が合わないから即美容師に言えよ」うん。
皮膚につけないようにヘアカラーは使えばいいんだよね「皮膚を傷めるからな」むう。
ゲヘナとかいいっていうけど。
「ヘンナだろう。それは地獄だ。間違えた名前を言うな。お前は『美俺』ちゃんか」
全国の美俺ちゃん。強く生きてください。
シャンプー。いいの使ったほうがいいのかな。
「皮脂がちゃんと落ちていて、保湿しているのなら問題ないのではないか? 変に洗いすぎるのも良くないだろう。ライオンはシャンプーしないがフサフサだ」へぇへぇ。
「お湯とマッサージで九割落ちるそうだぞ」ふうん。まぁ私は伸ばさないけど御母さんに聞いてみようかな。あの美魔女、今でもツヤツヤだし。
「昔の乙女は米の砥ぎ汁を使っていたそうだ」昔の人も苦労してたんだ。
私は珈琲を飲み終わるとプランタに砥ぎ汁を注ぐ。
新しく買ってきたハーブやパセリはツヤツヤと輝いていた。
面接いってくるね。
「掃除機にキスするな」いいじゃん。
ほのかな香りを惜しみながら、私は部屋から駆け出す。
私の名前は昆野澄香。現在再就職活動中。
『特技は珈琲を飲むと、掃除機の言葉がわかることです』
な~んてねっ。
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