免責:自分ではできてないことを書きます。
技術者が起業にするにあたって解決したい問題点
「いいものが売れるわけではない」という言説に対する考え方
これは「いいもの」の定義がズレていることが挙げられます。
必ずしも「問題点をただしく解決するもの」が、ユーザーにとってハッピーであるとは限らないというところから来ていると思います。
解決の鍵ですが、例えばデザイン思考のプロセスにおいては、メンタルモデルが重要視されています。
メンタルモデルとは、「人間が実世界で何かがどのように作用するかを思考する際のプロセスを表現したもの」などと言われていますが、もう少し簡単に言うと、
見た瞬間、触った瞬間に、「あ、これいいよね」って思ってもらえること。
「あ、いいよね」というのは共感のことです。
つまり頭のなかで、その製品の使い方や、使ったイメージが湧いてワクワクしてもらえる、ということです。
これは「技術的なただしさ」とは必ずしも一致していなくても良いというのが肝です。そこがエンジニアが思う「かくあるべし」とのズレの原因になるのではないでしょうか。
特にコンシューマー製品であればあるほど、その部分を製品性は解決しているかどうかがカギと言えるでしょう。
もしあなたの考えていることが、周りの人が考えていることと比べてズレていると思う時には、チャンスなのかもしれないし、不利かもしれません。その辺りで「自分のやりたいこと」とセットで見極めることが大切です。
その上で、成功しそうなパターンについて書いてみたいと思います。もし、これのどれかに「自分のやりたいこと」が一致するのであれば、頑張れば成功するかもしれません。
なお、別にこれが全てではありませんので、そこだけはご注意を。
成功しそうな起業デザインパターン
1.卓越した技術で、誰も成し得てないことを実現する
これは簡単に真似できない高度な技術を作れる人の起業戦略と言えるでしょう。機械学習の花型であるGunosyやSmartNewsさんが今は挙げられるでしょうか。
2.B2Bで「技術的なただしさ」を下支えするプロダクトを作る
これはオープンソースのライブラリにも言えることですが、プロが求める製品やツールを提供するのが楽しいと思えることです。
TreasureDataさんとかが、1も含めてこの辺に位置するのでしょうかね。
「何かを簡単にする」「セキュリティ」「スケーラビリティ」あたりがキーワードになるような気がします。
なお、BASEが目指しているのはここだと思っています。受託業務もここだと思います。
3.始めた当初は世の中とズレていても、後から時代がついてきたパターン
ツイキャスは、1と3のセットのような気がします。
技術者が何かを始めたタイミングに、投資市場も含めてマーケットがついてきてない可能性はあります。それをしっかり形にできるように我慢しつづけるかは、相当難しいことで、まさしくイノベーションは「忍耐」なのだと僕はツイキャスを運営するモイでは学びました。
4.正攻法で人に共感されるものを作れる人
いわゆる「マーケティングも開発もできる人」という奴でしょうね。特に今どきのスタートアップには結構いる。ピボットして試行錯誤しながら辿り着くケースもあるので、最初からそうじゃなくても良いかもしれません。
が、その場合は資金を集める力が必要かもしれませんし、そもそもピボットは理念や哲学を変えるものではないので、哲学が相応に優れていることは必要ですね。つまり、誰をどう幸せにするのか?というのは固定した上で、製品コンセプトや実装を変更するのがピボットという意味だと僕はとらえています。製品開発において「コンセプト」が一番下のレイヤーではないことを理解していることが必要です。
5.技術的瞬発力で、当たってる市場についていける人
サービスの哲学は、製品カテゴリやプラットフォーマーが担っていて、その中の1プレーヤーとして生きていく道です。
モバツイなんかがそうだったかもしれないし、周辺機器メーカーが、こういうパターンだったりするでしょうね。偉大な成功例で言うと、ゲームもここに入るのではないでしょうか。
それまで「売れなかった、1」が解決される瞬間だったりもしますね。Gumi社が自分のプラットフォームでオープンソーシャルを作っていたら、mixiプラットフォームで花開いたのも、そこだったように思えます。
6.徹底的に他社をパクる
僕は苦手ですが、これも1つの戦略なのかもしれません。
パクるのがうまい人は、製品理念に対するコダワリをあまり持たないことで、常に美味しいところに行けることが強みです。しかしそれが故に「先頭に立つと失速する」という問題があるようにも思えます。つまり常に偉大な先行者がいると非常に強みを発揮します。
逆にコダワリが強い人は、こういう瞬発力や柔軟性はありません。技術者起業の場合は、コダワリが強い可能性が高いので技術者でありながら、柔軟性を持っている人は、結構凄いと思います。
個人的に思うこと
いずれにせよ思うのは、製品において「いかに目立つか」というのがすごく難しくて、そのための戦略だとも言えます。
・目立つために「卓越した技術」で何かを解決する
・目立つために「プラットフォームを利用する」
・目立つために「技術的なただしさ」を追求する
・目立つために「パクる」
まずは起業するにあたっては「目立つために」という枕詞を置いてやることを書き出してもいいのかもしれません。もちろんそれだけじゃないですが、この部分を乗り越えられない人(苦手な人)は、あんまり起業しない方がいいんじゃないかなぁと思ったりもします。
「目立つ」のは運の要素も結構、大きいです。運というのは時代のタイミングに合致するという意味で、製品開発に時間がかかる以上は、バットを振ったタイミングにボールが来ているか?というのは、どんなに実装スピードが早くても、やっぱり運だと思うのです。僕個人のことで言うと、モバツイが目立ったのは相当、運でしたよね。運を引き寄せる方法や選択肢があるのは知ってますが、最後は運です。
(これは余談ですが、組織に集まってきた人の出会いもまた運です。だから、その運は手放してはいけないとは、以前ある経営者に言われたことがあります。)
また「目立つ」というのは広告に対する費用対効果が高い、というのもあります。製品に対してキャッチーな見出しがつけられて、それがユーザニーズをくすぐることができる。そういう製品を作れるかどうか。マーケティングと言うより、もっと本質的なことを書いているつもりです。それは技術者じゃないと作れないものも沢山ありますし、同時に、技術者という役割では、これまで訓練していなかった可能性も高い部分です。
その辺の微妙なところを乗り越えた人だけが成功するのだろうなと思ったりします。僕の立ち位置は、そういうのは「チームみんなで成功すればいいじゃん」という立ち位置ですが、それは相応に時間とお金を使って実感した部分でもあります。特に「目立つ」ためのビジョンや企画力というのが自分にないのであれば、手助けする側に周った方が、トータルバランスが取れるというのが神の視点からは思われることでしょう。
しかし、サービスやアプリが作れる技術者が、自分の腕を試したいというのは、特にスタートアップという不確実性にチャレンジしている人なら、誰しもが思うことだと思うので、そこは応援したい。とはいえ、何も確証もなく自信だけで行くのも、失敗確率を上げる気もするので、こういう文章を書いてみました。
もちろん、これが正解だと思ってるわけではありません。故に、僕が間違ってる部分は、ブログ記事を書いていただければ本当にうれしいですし、はてブコメントにでもご指摘いただけると大変勉強になりますのでよろしくお願いいたします。