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いじめられっ子に捧ぐ俺の青春。(上) 作者:神部大

第二章 不良道

かっこいい不良になるには 2


 日々の筋トレから自信の付いてきた俺はクラスでも目立つグループに参入していた。


 授業中に騒いだり、授業をサボったり、時には消火器を発射させた強者もいた。


 当然俺もそのグループの一員だ。

 それなりの武勇伝を立てねばなるまい。


 ということで、手始めに隣のクラスの窓ガラスを蹴破ってやった。

 (解: 廊下で遊んでいた際、ちょっとジャンプし過ぎて足が窓に当たって割れてしまったと言う事故。)



 更にはクラス内の嫌われ者の頭を、蛍光灯でかち割わる。

 (解: 教室でそのグループの奴らがサッカーボールを蹴っていた所、たまたま拓也の足に当たったボールが蛍光灯を貫き、更にはそれがクラスの嫌われ者である山口君の頭上に降り注いだ奇跡的な事故。)



 という偉業も成し遂げた俺はあっという間に学年の中で知らぬものはいない程の知名度を得たのだ。



 「おぃ、拓也ぁ。 あれ行こうぜ。」


 おいとそのクラスの不良グループは何人かに声をかけると、教室からズンズンと出ていく。


 『あれ』とは…

 多々ある不良の条件の中でも最上級に位置付けされるそれは…即ち『タバコ』だ。



 危険過ぎる事だが、折角のお誘いだ。

 これを避ければ俺は晴れて、いじめられっ子に大逆転間違いなし。


 …行かねばなるまぃ。


 不良グループは恒例のトイレに集まり一本のタバコを何人かで回して吸ったり、個人で買ったものを吸ったりとまぁ、今トイレの中はギャングのアジトと化している…

 (解: そこまでひどくない、豊かな日本の少年達である。)


 「お、拓也はねーの!? おい橋本、一本やれよお前。」


 グループのリーダー格がそうメンバーの1人に声をかけた。

 そいつは橋本と言って、金持ちのボンボンであるためカートンでタバコを常備している。


 「ん? おお、ほら拓也。」


 「ああ、ありがと。 でも悪い、俺タバコは吸わない主義でさ。」



 「…あ!? 」

 目を丸くしてリーダー格がこちらを見る。

 (目線が怖い… だがしかしっ、ここで何か1つ自分には譲れないものがあるという事を見せつけねば今後もナメられたまま、ただの一員になってしまう。 俺は譲らんぞぉ。 ダメ、ぜったい。)



 「悪いな。 ちょっと今、ボクシングやっててさ。 タバコは止めてんだ。」


 ははっ、と笑いながらとんでも無いパチをこいてしまった。

 しかし、もう後には引けない。


 「おっ!! そうなのかょ!! マジか、スゲーな!! 俺もさ、昔空手やっててさぁ〜」


 今度一緒に話そうぜと肩をバシバシやりながら「筋肉あんなー、やっぱボクシングのお陰か」などと、楽しそうに話しかけてくる。


 …うむ。

 筋トレはどうやら役に立ったようだ。

 嘘八百でとにかくリーダー格と仲良くなった俺は、そのグループの中でも一目置かれる存在になった。



 俺、着々と不良になってるぜー!!






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