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R18清楚な美少女の優等生だって、簡単にAV女優になっちゃうんだよ♡ 作者:Summer Fruits

第一篇 夏菜子のなつ――はじまりのなつ――

007 初めてのギャルメイク (4)

「いいんです。あたし、決めたんです。今年の夏祭りは、真希みたいに、
この街の女の子たちらしく、はじけるんだって。どうせだったら、いちばん目立つような髪にして、思いっきり楽しんじゃおうって。それに、終わったら黒く戻せるんですよね」

「うん、それは任せておいて」
「じゃあ、安心です。思いっきり金髪にして、思いっきりくるくるにしてください。」

やるからには徹底的にやるのが夏菜子の性分だった。何事に対しても精一杯臨み、何者に対しても容易に媚びたりしない。一流大学への推薦が決まって、口うるさいママの軛からも逃れることができた時、美少女の願望は、今までなったことのない自分への変身を求めた。

「夏菜ちゃんが祭りに気合入れてるの見たら、おじさんたち喜ぶだろうねー」
真剣に目を見開く夏菜子を見て、友梨はつい、そんなことを口にしてしまう。

「な、なんですか、それ?」
しまったと思い、取り繕おうとする友梨だったが、いらないことを更に口走ってしまう。
「い、いや、結構評判いいのよ。女子を気合入った顔にしていくと。おじさんたちにはね。守谷さんなんか、喜ぶんじゃないかなー」

「守谷さん?なんで守谷さんなんですか?」
夏菜子は胸のどこかをきゅん、とくすぐられたような気がした。
「いやー、別に守谷じゃなくてもいいんだけどね」
「守谷さんって、あんまりおじさんって感じしないよね。あたしたち子どものころから、おにいさんって感じで」

真希が話に加わってきた。
「まー、あいつも若作りだからねー」
話をどこかにそらそうとする友梨に思いもよらない助け舟が現れた。

「うぃーっす」
不意に、若い男の声が店に響いた。
「あっ、和宏。来てくれたんだ。だめー、まだ見ちゃだめだよ。夏菜子が可愛くなっても浮気なんかしちゃダメなんだからね」

「あ、夏菜子さん、こんにちは」
「こ、こんにちは」
メイク中の顔を、男の子に見せるのが嫌で夏菜子は鏡越しに伏し目がちな挨拶を和宏と交わした。
和宏は、友梨の美容室にいることを、真希のメールで知らされてやってきた、ということになっていたが、その実、今日からの祭りのあとに行われる、夜の祭り――「宴」とか「若者会」とかそういう隠語で呼ばれることも多い――に饗されるであろう、二人の女の子の様子を見にやってきて、祭りのあとの段取りを友梨と話しあうためにやってきたのだった。

和宏は、一昨年、中学校3年生の頃から「宴」に参加していて、その男としての成長を友梨を始めとする町内会の女たちに晒すことで、夏菜子がいなくなって以来、中学校のアイドルとして君臨し、高校でも学年一の美少女だった真希を容易に篭絡するテクニックを叩きこまれた。
その意味で筋金入りのギャル系男子だった。

浅黒い肌も、坊主の髪の毛も、野球部と言われれば納得してしまうが、女の扱いに関しては、真希が想像もつかない怪物だった。

「それじゃ、真希さん、後でまたメールください。夏菜子さんも、今日も頑張りましょう」
「は、はい。じゃ、じゃあね」

和宏が怪物であることは、この何日か、真希とともに逢っただけで、いつの間にか夏菜子がときめきを覚えてしまっていることでも証明されているようだった。伏し目がちに別れの挨拶をする夏菜子の鼓動がはやくなり、顔が紅潮する一瞬を、友梨は見逃さなかった。

「あんたも、その頭、何とかしなさいよ」
そんな夏菜子を見ながら、若い男が好きな友梨も和宏にはときめかずにはいられないのだった。野球が終わってから2週間、伸びっぱなしになっている和宏の坊主頭を、しっかりと男らしく剃ってこい、という意味だった。

また、後でね、といやらしい誘いの視線を投げかけると和宏は、はいはい、というように流し目で友梨に返事をした。

「じゃあねー」
これから、まっきんきんの金髪のギャルに変身した自分と対面するとおもうと、どきどきとする胸の鼓動が収まらない夏菜子と、無邪気に、携帯を見ながら答える真希。二人の優等生が町の男たちの慰みものになる時が、すこしずつ迫っていた。

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