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借金の代償

作者:どくた23
 目の前に積み上げられた請求書の山と、俺を取り囲む黒いサングラス、ダークスーツの男たち。

「詰んだ・・・・俺の人生。完全に・・・・・」
押し寄せる後悔の念と、これから決まるであろう俺の処遇への恐怖で、俺は頭を抱えた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ギャンブル、ギャンブル、ギャンブル・・・。
20歳を過ぎてからの俺の人生は、その単語を連呼すれば事足りる。

もともと高校生までは優等生であった。勉強もでき、周りの信頼も厚く、大学も旧帝大に現役で合格した。

10代まで順風満帆だった俺の人生は、大学入学後しばらくしてから狂い始める。
今まで自制してきたタガが外れてしまったのか、徐々に大学の講義から足が遠のくようになり、女の家に入りびたり、酒とギャンブルの生活が始まる。

競馬、パチンコは言うに及ばず、法に触れるような賭博まで、何でもやった。
始めのうちはどれもこんなに当たるものかというほど大当たりした。
もともと自分に自信があったし、自分にはギャンブルの才能もあると勝手に思い込んでいた。
儲かるとそのお金を湯水のように使って豪遊し、そして残りをまたギャンブルにつぎ込んだ。

今から考えると、俺はこの生活で10代まで積立ててきた功徳をすべて使い果たしてしまったのかもしれない。
ある時から俺はぱったりと勝てなくなり、

損→取り返すためにまた賭ける→大損→・・・・・。

もうこの負のスパイラルにはまれば、結果は見えているであろう。
負けを取り返すために賭けつづけた結果が、この請求書の山だ。
いったいどれほどの金額なのか見当もつかないが、俺がまじめに一生働いても払いきれる額ではないということは容易に想像がついた。

「・・・一緒に来てもらおうか」
・・・逃げられない。黒服の男の言葉に俺は背筋が凍りつき、ぎこちなく頷くしかなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

俺が連れてこられたのは、地下の実験施設のようなところだった。
棚に陳列された無数のホルマリン漬けがやけに目につく。

黒い男たちに囲まれた俺を出迎えたのは、白衣を着た白髪の老人であった。

「おう、来なさったか。待っておったぞ」
「お願いします、博士」
黒男の一人と言葉を交わす『博士』。

挨拶もそこそこに俺は手術台の様なところに寝かされ、手、足、腰を縛られた。

「抑制帯はきつくないかね?」
博士に声をかけられる。
「はい・・・。あの、俺はこれからいったい何をされるんでしょうか?」
おそるおそる尋ねてみる。

「俺から説明してやろう」
黒男の一人が口を開く。
「まずこれを見ろ」
黒男は、俺の寝ている台の横に置かれている物体を指さす。
かけられた白い覆いを外すと、中から現れたのは・・・・

「な・・・女!?」
中から裸体の女性が出てきたものだから、俺は面食らった。
透き通るほどの白い肌に栗色に光るストレートの髪。小さな顔に整った顔立ち。スレンダーでいて胸は大きい。体の隅から隅まで誰が見ても「美人」であるといいそうな整った造形をしているこの女性。むしろ整いすぎていて「人間」とは思えないような女が直立不動で立っていた。微動だにしない。

ちょっと待て、まさかこれは・・・・・

「アンドロイドだ」
「アンドロイド!?」
「そう、アンドロイド。そしてこれがお前の新しい体だ」

「え・・・!?」

「お前は俺たち裏社会の人間から借金を重ねすぎた。だからお前の人生は終了だ。お前はこれからこのアンドロイドに意識を移し替えて、借金を返済するまでセクサロイドとして働くんだ。この体は何十年たとうが若いままだ。具合の悪いパーツがあったら交換してやる。永遠にでも働けるぞ」
「なんだって!?そんなの嫌だ!借金を返すなら何か別の方法か、いっそのことひと思いに殺してくれ!俺は男だぞ。そんな体になったって男に抱かれるなんてできるわけない」
「心配するな。お前の脳は加工されて電子脳化される。その過程でお前の意識もアンドロイドに適合されて、何の疑問も持たず自ら腰を振るようになる」

「こんな精巧なアンドロイドが作る技術があるなら、人間の脳なんて使わずに人工知能でも入れて動かせば良いじゃないか!」
「造形や質感なら本物と見まごうレベルまで開発できたのだがな。指令伝達系統はまだそこまでいっていないのだ。本物の人間のように動き、会話し、喘ぐ。それを実現するにはやはり本物の人間を使うのが一番というわけだ」
「そんな・・・・」
「残ったお前の体は売れる臓器は売って返済の足しにしてやるから安心しろ。もっとも、使えない部分は生ごみとして廃棄されることになるがな」

「さて、そろそろ始めようかの」
「やめろ!やめてくれぇ!!」
その言葉が聞き入れられるはずもない。
先ほど腕につながれていた点滴から白い液体が血管内へ注入され始める。
すると俺は、猛烈な眠気に襲われた。

だめだ・・・・・・眠っちゃ・・・・・ダメ・・・・・・だ・・・・・・

ダ・・・・・メ・・・・・・・。

俺の人間としての意識はここで途切れた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


呼ばれている・・・・・。誰かから呼ばれる声がする。

「起動しろ」
声はそう言っている。
俺はスリープモードに入っていた電子脳を立ち上げ、体各部との神経接続を開始する。
脳がアクティブになると同時に各所からの情報が送られてきて、それを続々と処理していく。

「オールグリーン。起動します」
俺は機械的に発声し、閉じていた瞼を開く。と同時に、光学情報が滝のように流れ込んでくる。両カメラアイは正常に動作しているようだ。

目の前に博士と黒男たちを捉える。
「目覚めたかね?X-501チヒロ」
「ハイ。X-501チヒロ、起動しました」
反射的に答えたものの、俺は違和感を覚えた。
あれ?声が何か違う。音声は正常に発せられているのに。それに俺の名前ってチヒロだっけ?
いくら脳のデータベースに検索をかけても、チヒロという名前しか出てこない。

「あ、れ・・・・?俺って・・・・チヒロ・・・・?」
ブツブツとつぶやきながら思考している俺に、博士が声をかける。
「どうかね。気に入ったかね?新しい体は」
「新しい・・・・?あ!」
今までなんとなくぼんやりといていた意識がはっきりとしてくる。

すべてを思い出した。
「あ、そうだ!俺、アンドロイドにされるとか言われて、それで・・・!」
無言で姿見がかざされる。
鏡の中には、先ほど見たアンドロイドの少女がこちらを凝視している。

俺が見ている鏡の中にこの少女が映っているのだから・・・・・。
つまりこの少女はイコール俺であると、俺は瞬時に理解した。

「どうやら、うまくいったようじゃのう」
モニターを確認しながら博士が答える。

「くそっ!俺、ほんとにアンドロイドに!もとに戻せ!!」
手足を動かしてもがこうと試みるが、首から下はピクリとも動かない。
「あ、あれ・・・・。手足が」
「こういう反応をするじゃろうと思って四肢体幹の運動神経接続をカットしてあるからのう。無駄じゃ」
「畜生・・・・!」

どうすれば。どうすれば良い。何か方法はないか!?
頭を高速回転させて打開策を考えようとするが、
「う、なんだ。頭が・・・頭が気持ち悪い・・・」
うまく考えがまとまらないうえに頭の中がぐるぐる回るような感じがして嘔気を催してきた。

「あまり深く考えを巡らせると思考回路がショートしてしまうぞ。お前の脳はほぼアンドロイド化されているのだから人間の時のように膨大な情報処理を行うにはさすがに無理がある。考えるのは最適化が終わるまで待て」
「最適化?」
「そう。まだお前さんの脳は人間としての意識と思考回路を残しているが、それを完全にアンドロイドに同化させる。そうすればお前さんはアンドロイドとして完成するのじゃ。なに、アンドロイド化すると知能も低下し、深く考えることもなくなって命令に従うことが喜びになる。だからその程度の処理能力でも楽しく、何の悩みも持たず暮らせるようになるさ」
「そんな事!意識までアンドロイドになってたまるか!」
「威勢のいいのは結構じゃが、もうそういう運命じゃ。おとなしくしろて。そら、始めるぞ。まずはアンドロイドとしての自我をインストールじゃ」

博士がスイッチを押すと、頭の中にしびれるような電流とともに多量の情報が流れ込んできた。それらは俺の中の大事な情報と次々に置き換わり、頭が浸食されているような感覚に襲われる。

「うああああああああ・・・・!やめろ・・・!!俺は、俺はあああああああ!!あ、アンドロイドに・・・なってたまるかああああああ!!」

博士たちはまるで実験動物でも見るかのような目で静かにこちらを眺めている。

「うああああああああああああああああ・・・・・・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ハア・・・ハア・・・。終わった?」
電流がやみ、俺は頭を上げる。先ほどと比べ、妙に頭がクリアになっている感じがする。

俺は自意識を確認する。よし、俺は俺だ。
大丈夫だ。耐えきった!!

博士が口を開く
「お前さんの名前を言ってみたまえ」
「X-501チヒロだ」
「よし。では、お前さんは何者かね?」
「俺は男性の性欲を満たすために製造されたアンドロイドだ。それが何か?」
「お前さん、先ほどまで自分は人間だの、人間に戻せだの言っていたようじゃがな」
「俺が人間?俺はここで製造されたアンドロイドだ。なぜ人間になる必要があるんだ?」
「うむ、自我は置き換わったな」
「え?」
「判らんのなら良い。では、次の工程に移るぞ」
「はい、博士」
博士に対して俺は自然と返事をしていた。

「アンドロイドの電子脳の処理速度に適合するように知能を落とす。そして性自認を男から女へ変える。その後に思考の最終調整。それでお前は完成じゃ」
「わかりました」

再びスイッチが押され、電流が流れ始める。
考える力が衰えていくのが自分でもわかるが、むしろ今の自分には心地よく感じられた。これで完全なアンドロイドになれる。それが嬉しかった。

「ああ・・・・・気持ちいい。俺は・・・・・・僕は・・・・・私は・・・・・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「うーん、気持ちよかったあ。終わったのかな?」
あたしは手足を動かしてみる。良かった動く。博士が神経つないでくれたんだ。

「はじめまして、マスター。X-501チヒロ、完成しましたぁ」
暫定マスターに登録されている博士に向かって、あたしはにっこりと微笑む。

「おめでとうチヒロ。これで立派なアンドロイドだな」
「はい、マスター。早くマスターにご奉仕して差し上げたいです」
自然と股間から人工愛液があふれてくる。

「おやおや、まだ裸でいるというのに、愛液が滴っておるぞ
はしたない」
「いいんですう。チヒロはアンドロイドで、機械なんですから」
「うーん、羞恥心の調整が必要かな?」
言いつつも博士もまんざらではない様子で、思わずにやけている。

「チヒロの衣装をいくつか用意してあるが、どれが良いかな?」
「マスターのお好みを命令してください」
「うーん、そうか。ではチヒロ。このセーラー服で頼む」
「はい、マスター!」
マスターから命令されると脳内が快感で満たされる。
マスターの命令のままにご奉仕するのがあたしの喜び。
お腹やパンツが丸見えになる際どいセーラー服を恥ずかしげもなく身にまとい、あたしは上目づかいで甘えた声を出す。

「マスター、次のご命令を♡」
まるでご主人様の命を待つ犬のように。

「うむ。しゃぶってもらおうかの」
「はい、マスター!」
博士のペニスにむしゃぶりつくあたしを取り巻く黒男たちは、出来たてのアンドロイドをどこの富豪に貸し出そうか早くも相談を始めていた。

<END>
ロボット化する少女のSSを読んでインスパイアされました。

例のごとくやっつけ文章です。

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