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首相、長崎のあいつさつも使い回し? 

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 安倍晋三首相が9日に長崎市で開かれた平和祈念式典で行ったあいさつは、文章のおよそ半分が昨年と同じ表現だった。6日に広島市の式典で行ったあいさつも、冒頭部分が昨年とほぼ同じで「コピペ(文章の切り貼り)だ」と批判を受けたばかり。被爆者からは怒りの声が上がった。

 長崎でのあいさつの冒頭部分では、原爆の犠牲者を悼み、長崎を復興させた人たちの努力に触れた。この中で昨年と表現が違うのは、原爆投下からの年数だけ。昨年のスピーチで「被爆68周年」だったのが「被爆69周年」に、「68年前の本日」が「69年前の本日」にそれぞれ変わったが、ほかの部分は一字一句違わない。

 核兵器廃絶への誓いを述べる末尾の部分も、昨年とほとんど同じだった。

 広島でのあいさつが批判された後、加藤勝信官房副長官は「一年一年、中身を吟味しながら犠牲者や平和に対する思いを盛り込んで作っている」と釈明。しかし、長崎でも昨年と同じような表現が目立ったことで、あいさつ文作りがおざなりである印象が強まった。

 こうした式典でのあいさつは通常、秘書官や担当省庁が作成し、首相が最終的な文言調整を指示して完成させることが多い。施政方針演説などのように閣議決定を経るわけではないため、安易に使い回された可能性がある。

 これに対し、長崎の被爆者からは批判が相次いだ。

 式典後、首相と被爆者5団体との面談では、長崎原爆遺族会の正林克記(まさばやしかつき)会長は「私もちょっとがっかりというか、被爆者みんながびっくりした状態だ」と目の前の首相に不満を伝えた。

 式典で首相のあいさつを聞いた長崎原爆被災者協議会の山田拓民(ひろたみ)事務局長は、本紙の取材に「秘書官が書いたのか首相が書いたのか知らないが、そっくりそのまま読ませる方も読ませる方だし、読む方も読む方だ。ずさんすぎる」と批判。「被爆者のことを少しでも意識していれば、同じあいさつをするわけがない。広島の式典でも追及されたのに、長崎でも繰り返すのはわれわれを侮辱している」と怒りを隠さなかった。

(中日新聞・木谷孝洋)

 

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