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2014年1月10日

カメムシを生で食べてみた!! 食感はメントス、味は...? ~ハードル高めの昆虫食~

 バイクや車で気持ちよ~く走っていたら、口の中にカメムシが飛び込んできて、ギャアァ!!!! "カメムシあるある"のひとつであるこんな体験をしたことがある方は、ご安心(?)を。なぜなら「カメムシを生で食べる」食文化は世界に存在しているのだ。焦ることはない。

 古今東西で、1,900種以上の虫が食べられているという「昆虫食」。その中でも、「ホントに食べられるの!?」と特にびっくりされる虫のひとつは、カメムシだろう。

 カメムシは「へ(屁)っぴり虫」という不名誉な呼び名を持つことからも知られるように、外敵への防御物質として放出するニオイによって、ゴキブリに次いで嫌われがちだ。ところが所変わればこのニオイも調味料へと早変わり。


■世界の食文化に貢献するカメムシ臭

 ラオスではカメムシと香辛料を一緒に潰し「チェオ」と呼ばれる調味料が作られ、メキシコではタコスのスパイスとして生のままはさんで食べるという。また、生食だけでなく乾燥させたものや串焼き、炒めものなどでも食べられいるので、「あら、野菜にカメムシがついていたわ」なんてことになったとしても、そのまま食べて問題ないハズ。

 ......なんて偉そうに紹介しておきながら、実は筆者"生カメムシ"は未体験。軽く茹でてから食べた時は青リンゴのような香りを感じたのだが、生だとどうなのか。

 そこで食用昆虫科学研究会の吉田誠氏に聞いてみると、タイの市場で食べたことがあるという。

■体験者が語る、生食カメムシ

 吉田氏によると、タイとラオスの国境沿いに位置するルーイ県の市場では、食用として生きたカメムシが売られているという。

 竹筒から取り出されたヘリカメムシに驚いた吉田氏が「食べられるの?」と聞くと、細長い体をプチッと2つ折りにしたものを、差し出されたそうだ。

 えっ、えっ。コ、コレ生で食うのか?

 ...と、一瞬ひるんだものの、断れる雰囲気ではないと空気を読み、ひょいパクと口へ。そしてプチッとかみつぶす! すると...

「口の中に爽やかな香りが広がった! と思ったとたん、舌がビリビリしてくるんですよ」(吉田氏)

「青リンゴのような香り、と言われれば確かに近いかもしれません。もしくはメントスを食べた時の感覚とも似ていました(笑)」(同上)

 とのこと。しかしながら、ヘリカメムシは日本でよく見ることができるコロッとした五角形のカメムシとは違う。さらにヘリカメムシの中でも種類によって、爽やかな臭いのものもあれば、臭いものもあるので、一概に「カメムシは青リンゴフレーバー!」とはいえない可能性がある。


■立ちはだかるカメムシの刺激の壁

 ちなみにビリビリは、自分の中で"カメムシ踊り食い"への壁である。

 カメムシのニオイに含まれる成分(アルデヒド類)は刺激物で、接触した場合軽い皮膚炎や色素沈着を起こすケースは少なくない。筆者はわりと刺激物に弱いので(精神的な刺激物はまた別のハナシだけど)、虫も極力マイルドな食べ方でないと難しい。ただし、食べ物と体の相性は体調や体質で個人差があるので、ハバネロのビリビリ感がたまらない! という人や、ワサビの"ツーン"がヤミツキになるという刺激物ラヴァーなら、生カメムシもおいしく味わえるかもしれない。

 『食べられる生き物たち:世界の民族と食文化48』(丸善出版)に掲載されている野中健一氏の記事によると、カメムシのニオイのキツさ度合いは「キュー」と表現するとのことで、「あ、このカメムシはキューすぎる」「絶妙なキューだね」というように使うといいようだ。

 刺激物に強く、さらに白魚やイカの踊り食いが嫌いじゃない方は、ビリビリ感も楽しめる"生カメムシ"という次のステップへと進んでみてはどうだろう。そしてぜひ、食通の極み(?)となり得るカメムシ"キュー談義"に花を咲かせてみては?
(文=ムシモアゼルギリコ)

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