| 長崎原爆の日を前に、慰霊と平和の明かりに包まれた爆心地公園=8日夜、長崎市松山町
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被爆地長崎は9日、原爆投下から69回目の「原爆の日」を迎えた。来年の被爆70周年や核拡散防止条約(NPT)再検討会議の開催を控え、田上富久長崎市長は「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」で、核兵器廃絶への歩みを前進させるよう平和宣言で訴える。また、集団的自衛権の行使を認める閣議決定に関し、不戦の誓いが揺らぐのではないかという国民の懸念に向き合うよう政府に求める。
台風11号が九州に接近しており市は8日、同式典について協議。会場の平和公園に設置済みだった大テントは、強風対策で撤収した。9日の開場は午前8時半に1時間繰り下げ、献茶式など式典前行事は中止。雨天の場合、5千人分のレインコートを参列者に配布する。早朝、風雨で参列者の安全が確保できないと判断した場合、式典は中止し、平和宣言や被爆者代表の「平和への誓い」の読み上げは別途、検討する。
平和宣言では、核兵器を非合法化すべきだとの機運の高まりや、核保有国や「核の傘」依存国が非合法化に難色を示している状況を踏まえ、多国間の協議の場の設定を求める。また田上市長は、「(安全保障環境の)状況を示す表現」として、広島市が同宣言で言及しなかった「集団的自衛権」の文言を盛り込むことを表明している。
式典には過去最多の51カ国の代表や安倍晋三首相などが参列予定。式典終了後、被爆者5団体と安倍首相は市内ホテルで面会する。5団体は集団的自衛権の行使容認を批判する方針だ。
全国で被爆者健康手帳を所持する人は3月末時点で初めて20万人を切った。県内は5万269人、前年同期比2468人減。平均年齢は長崎市78・93歳、同市外79・99歳で、高齢化が一層進んでいる。