東京レター
東京で暮らす外国人たちが、手紙スタイルでつづる「東京生活」
【社会】集団的自衛権 若者や子ども脅かすな「戦争は戦争を呼びます。日本の未来を担う若者や子どもたちを脅かさないでください」。原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で平和への誓いを読み上げた城台美弥子さんは、安倍政権による集団的自衛権の行使容認に反対する意思を明確に示した。 (小松田健一) 台風11号接近の影響による強風と強い日射しの中、城台さんは時折髪を風に舞わせながら、はっきりとした口調で言葉を連ねた。 城台さんは小学校教員を退職後、長崎を訪れた修学旅行生らを原爆遺構へ案内するフィールドワークに取り組むなど、語り部として精力的に活動してきた。 読み上げの依頼は昨年十二月、遺族会関係者から受けた。「自分よりもふさわしい人がいる」といったんは断ったが、入念な準備が必要で、緊張を強いられる読み上げは高齢化した被爆者に重い負担となる。比較的若い自分の責務ではないかと考え、引き受けた。 被爆直後、福岡や大分へ一カ月間疎開したためか、成長後も放射線障害が出ることはなかった。しかし、同級生や友人たちは成人後にがんや心臓、脳疾患などで次々と命を落とした。 最もショックだったのは、十六年前に孫娘が生後六カ月で突然亡くなったことだ。被爆と因果関係はないと医師から説明を受けた。それでも「自分が被爆しなければ、あるいは…」と自分を責めてしまう。 親しい人々を奪った戦争と原爆。その戦争へ再び進もうとしているのではないか。許してはいけない。そうした気持ちで、原稿を書いた。 思いを込めた草稿は十五分の長さになり、縮めるのに苦労した。 集団的自衛権をめぐる「限定的な行使容認」という言葉には、違和感を覚えるという。「戦争が始まれば、限定的なんてありえない。新たな被爆者を出さないためにも、海外で戦う国にしてはいけない」。世論で国を動かすためには、今が踏ん張りどころと考えている。 PR情報
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