安倍首相:集団的自衛権「見解の相違」…被爆者団体代表に

毎日新聞 2014年08月09日 20時25分(最終更新 08月09日 23時29分)

被爆者団体を代表して、安倍晋三首相(左)に要望書を手渡す谷口稜曄さん=長崎市で2014年8月9日午後0時23分、金澤稔撮影
被爆者団体を代表して、安倍晋三首相(左)に要望書を手渡す谷口稜曄さん=長崎市で2014年8月9日午後0時23分、金澤稔撮影

 安倍晋三首相が9日、被爆者団体代表と長崎市内のホテルで意見交換した際、長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長が「集団的自衛権については納得していませんから」と述べたのに対し、「見解の相違ですね」と応じる場面があった。

 川野氏が記者団に明らかにした。会合終了後、首相に語りかけた同氏に答えたという。集団的自衛権の行使を容認した7月の閣議決定に対しては世論の批判が強く、首相はこれまで、国民に丁寧に説明する考えを繰り返し表明していた。

 川野氏は「本音が出たと思う。国民を説得して理解を求める意欲は感じなかった」と語った。

 会合では、行使容認の閣議決定に対し、長崎県の被爆者5団体が「近隣諸国との緊張を高め、危機を増幅する」として、撤回を求める要望書を首相に手渡した。

 また、長崎原爆遺族会の正林克記会長は「平和憲法こそが安全、安心、命、暮らしの要だ。政府の緊張緩和への確かな取り組みさえあれば、火に油を注ぐような集団的自衛権はいらない」と訴えた。

 これに対し、首相は「外交努力を積み重ねながら、さまざまな課題を解決するのが基本的姿勢だ。武力行使を目的とした戦闘行為には参加しない。(集団的自衛権は)限定的な行使にとどまる」と改めて強調。会合後の記者会見では「丁寧に分かりやすく説明する努力を続けることで、必ず(国民に)理解してもらえる。歴史の検証に耐えうる自信を持っている」と述べた。【大場伸也、樋口岳大】

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