川内原発:「合格」1号 10月にも再稼働

毎日新聞 2014年07月16日 12時07分(最終更新 07月16日 14時55分)

九州電力川内原発1、2号機が「新規制基準に適合している」とする審査書案をまとめ、田中俊一委員長(奥左から3人目)らが出席して開かれた原子力規制委員会=東京都港区で2014年7月16日、喜屋武真之介撮影
九州電力川内原発1、2号機が「新規制基準に適合している」とする審査書案をまとめ、田中俊一委員長(奥左から3人目)らが出席して開かれた原子力規制委員会=東京都港区で2014年7月16日、喜屋武真之介撮影
再稼働を目指す川内原発1号機(右奥)と2号機。画面右下は防水対策工事中の海水ポンプエリア=鹿児島県薩摩川内市で2014年7月5日、本社ヘリから須賀川理撮影
再稼働を目指す川内原発1号機(右奥)と2号機。画面右下は防水対策工事中の海水ポンプエリア=鹿児島県薩摩川内市で2014年7月5日、本社ヘリから須賀川理撮影

 ◇規制委が審査書案「新規制基準に適合」

 原子力規制委員会は16日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、「新規制基準に適合している」とする審査書案を定例会で了承した。今後、30日間の意見公募などを経て審査書を決定する。川内1、2号機は、東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、安全対策を強化した新規制基準をクリアする初の原発となる。再稼働に向けた手続きが本格化するとみられるが、地元の同意手続きや設備の使用前検査なども必要となるため、再稼働は10月以降になる見通しだ。

 現在、川内1、2号機を含め、12原発19基が規制委の安全審査を受けている。

 審査書案は約420ページ。九電が示した地震や津波の想定、事故対策などを個別に検討した。想定する地震の最大の揺れ「基準地震動」は、活断層の知られていない場所で起きた過去の地震を新たに考慮に加え、従来の540ガル(ガルは加速度の単位)から620ガルに、想定する最大の津波の高さ「基準津波」も約4メートルから約6メートルに引き上げたことをいずれも妥当とした。

 火山対策については、九電が周辺の39火山のうち14火山を「将来活動性がある」「活動性を否定できない」とし、各火山の過去の噴火間隔やマグマだまりの膨張傾向などから「安全性へ影響する可能性は小さい」と判断したことを受け入れた。ただし、審査の過程で過去に川内原発の敷地内に火砕流が到達した可能性が否定できないことが分かり、規制委は継続的なモニタリングを求めた。

 また、福島第1原発で起きた炉心損傷や全電源喪失などの過酷事故への対応は、幅広い事故の想定▽事故時の作業要員の確保方法▽機能喪失を防ぐ設備の準備▽対応手順−−などを求め、九電が示した対応策をいずれも了承した。航空機が施設に落下した場合やテロ対策についても対応の手順書や体制、設備の整備方針を認めた。

 規制委は意見公募と同時に原子炉等規制法で定められた原子力委員会と経済産業相への意見聴取の手続きにも入り、これらを反映した審査書を完成させる。

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