ワールドガイド
序

――蒼空に浮かぶ不思議な島スカイドラグーン。
今日からここが、君達の住まいとなり、冒険の舞台となる。
まずは、スカイドラグーンについて説明しよう。
スカイドラグーンが発見されたのは今から約350年前。
冒険家のエリック・クラプリンは魔法の乗り物で旅行中、暴風雨に巻き込まれて無我夢中で飛ぶうちに未知の島に辿りついた。
島は手付かずの原生林に覆われ、草木が生え放題だった。
人が住んでいないにも拘わらず、そこには古代のものと思しき建物が存在していた。
何より驚くべき事に――淵を覗き込んだ彼は、遥か下に青い海が広がり、島から流れ出た小川の水が滝のように落ちているのを見た――その島は空に浮かんでいたのだ!
発見以来、世界各地からルミナの才をもつ者がスカイドラグーンにやって来た。
ほどなくして、スカイドラグーンでは時の流れが非常に緩やかである事が判明したのだ。
スカイドラグーンは謎に包まれている。
第一に、この島は空を飛んでいる。原理は未だ不明だ。島を構成しているブラン鉱石と関係があると私は踏んでいるがね。
第二に、多種多様な精霊(Seely)が住んでいること。
地上では稀有な存在である精霊がここでは主人のように振る舞っている。
その長が謎の少女メルだ。彼女が何者なのか興味がそそられるが、詮索しない方が賢明だ。彼女や精霊達にちょっかいをかけた者はスカイドラグーンから追い出されるから。実際、ここで暮らすならメルや精霊達とは仲良くした方が良い。
第三に、スカイドラグーンには人間もしくは人型の存在が暮らしたと思える建物や道具が遺されている。
にも拘わらず、我々が入植する以前にコモンは1人もいなかった。
スカイドラグーンはなぜ作られたのか? ここで暮らしていたのは何者か? 彼らはどこへ消えたのか?
全ては謎だ。
第四に、スカイドラグーンでは時間の流れが極めて緩やかになる。
今までの経験から地上世界の30分の1であるということが判明している。
つまり、スカイドラグーンで1日過ごす間に地上では約1ヵ月が過ぎているのだ。
時間の流れについて述べたが、スカイドラグーンの住人――ドラグナー(竜宮人)――は宿命として、生まれ育った故郷や親しい人と隔絶してゆくことになる。
ではなぜ、君はドラグナーになったのかね?
ドラグナーとなって、人々の悩みを解決したり、助けるため?
スカイドラグーンの謎と神秘を解き明かし、世界の理を追究したいから?
スカイドラグーンのどこかに眠っているという、秘宝を手に入れるため?
争いとしがらみに満ちた地上を脱して、楽園を築きたいから?
答えは――自分の胸に持っていることだろう。
さあ、心の翼で力強く羽ばたけ、ドラグナーよ。
心弾む冒険が、驚くべき発見が、感動の出会いが、君を待っている――
∇ティルノギア(Tir-no-gear)
スカイドラグーンに眠っているといわれる宝物。
常若の国にある、人が望みしもの。
選ばれた者のみが知り得る秘密。
お伽噺ではいろんな表現をされている。
でも、具体的にそれが何なのかは、誰も知らない。
魔法使いは言う。太古の偉大な魔法ではないだろうか?
盗賊は言う。使いきれない金銀財宝に決まってるだろ!
聖職者は言う。世の理、永遠に至る道ではあるまいか?
騎士は言う。朽ちる事無き誉れ、永遠の名声であろう。
錬金術師は言う。失われた謎の素材じゃないかな!?
それは君達、ドラグナーによって明かされる時を待っている――かも知れない。
英雄
君は「ルミナ(Rumina)」の力を持つ英雄だ。
ルミナとは守護精霊のことである。精霊は森羅万象を司り、人々に恵みをもたらしている偉大な存在だが、精霊は近しい存在にその力を託すこともある。
ルミナには6種類ある。地は実りをもたらし、水は癒しの流れ、火は熱を生み、風は空を巡り、陽と月は昼夜私達を見守っている、といった具合だ。ルミナの力を持つ者はいずれかの特徴をもった魔法を使うことができるのだ。
ルミナの力を用いるには、媒体が必要となる。どの様に力を発揮するかで様々な媒体が存在するが、これには必ず聖なる印であるX型の意匠が施されている。その為、Xの意匠は英雄であることの証となっている。
遠い昔に闇の王が倒されたとはいえ、いまだ世界では様々な怪事件が起こっており、往々にしてそれらは魔法の力でなければ解決できない。
そんな時、頼りになるのは、ルミナの力をもつ君たち英雄なのだ。
∇精霊合身
魔法に加えて、英雄にはもう一つ、とっておきの力がある。
それは自分の体に守護精霊を宿らせて力を解き放つ「精霊合身」だ。
精霊合身した英雄の体には守護精霊の力が直接流れ込み、常人を凌駕する力を得て、特殊な能力を行使できるようになる。
効果は守護精霊によってまちまちだが、一人の英雄は一種類の守護精霊としか契約できず、一度契約を交わした守護精霊とはルミナの力が枯渇しない限り、生涯繋がりが変わることはない。
これほど強力な精霊合身だが、一つだけ弱点がある。英雄と守護精霊の双方にとって大きな負担となるため、精霊合身は限られた時間しか行えないのだ。
精霊と深く関わった英雄がいつの間にか居なくなってしまう――といった伝承・伝説は世界各地に残されている。
これは、精霊合身を繰り返し過ぎた英雄が精霊と完全に同化してしまうことへの暗示、警告ではなかろうか?
世界に迫る脅威

※画像から、詳しい世界情報へ進むことができます。
この世界は、コモンの暮らす世界‥‥『コモンヘイム(CommonHeimr)』と呼ばれている。
広大で、同時にまだ見ぬ知識に満ちたこの世界は、造船や測量、錬金の技術の進化と共に急速に広がりつつある。
かつてない繁栄を誇るコモンだが、問題が無いわけではない。むしろ、平和を享受している世界に密かに脅威が迫っていた。
その新たな脅威の名は――カオス。
カオス(Chaos)については不明な点が多い。何処から来たのか、何故生じたのか、そもそも何なのか、誰も知らない。
ただ、コモンクルスの精神を歪め、狂わせ、暴走させる根源が概念的にそう呼ばれている。
古き時代に人々を恐怖させた闇の王との関連を指摘する学者もいるが、実証はされていない。
確かなのは、カオスが発生した地域では必ず不可解な混乱や凄惨な事件が起きるということだ。
よって、カオスは全コモン共通の敵であり、カオスへの対処は最優先事項なのである。
∇霊魂共鳴
「それ」の前に立った時、不意に視界がぐらりと揺らいだ。
なんだこれは?
飲み過ぎた夜の翌日のように頭が痛む。耳の中で滅茶苦茶に金属を掻き鳴らすような不協和音が鳴る。
やめろ!
気持ちが悪い。胃がひっくり返りそうだ。
やめてくれ!
俺の中の何かが捻じ曲げられ、壊されてゆく。
誰か、助けてくれ!
だれ‥‥
た‥す
‥
力ガ溢レ出ル出ル出ル出ル出ルゾオオオオォォ!!
ンンンン素ンン晴ラジイ゛イィィー!
何カキタァーーーーーッ!!
オデ‥‥何デモデキルウゥゥー!
邪魔スル奴ハ‥‥ブチ壊スウゥゥーーッ!!
くぁwせdrftgyふじこlp
英雄募集
「わらわは、そなたを英雄として求める! スカイドラグーンに来るのじゃ!」
こんな妙な手紙が届いたのが、始まり。
あるいは、亀のような何かを助けたらお礼に良い所に招待しましょうと案内され。
またある者は、巨大な竜が出てくるヴィジョンを見て使命に覚醒し。
別な者はスカイドラグーンにあるという秘宝を追い求めて。
きっかけは様々。
でも、スカイドラグーンに昇った者に共通しているのは、ルミナの才を持つことと、精霊合身が出来ること。
これは、10000人に一人とも言われる非常に希少な資質らしい。

「ドラグナーさんはこちらへどうぞー」
「並んでくださーい」
80cm位の亀のような何かが、スカイドラグーンにやって来た君達を整列させ、手続きを済ませてゆく。
「亀がお役人か‥‥妙な所だぜ」
荒くれ男が傷のある頬を歪めて苦笑いすると、
「三食住居つき、衣服とか生活必要品もくれるし、その上、長寿も手に入るらしいよ。いい所じゃない!」
魔法の杖を持った少女がのほほんと言うと、荒くれ男は顔をしかめた。
ドラグナーとしてここにいると、謎の少女メルから依頼を受けることがあるという。その際に、場合によっては遠く離れた地上への行き来を求められる場合があるらしく‥‥。
「地上に行くの、めんどくさい?」
見透かした少女が笑う。
「でも、このスカイドラグーンには古代文明の便利な遺産があるんだよ」
話だけではわかりにくいから実際に見よう――と、少女は男を豪華な門に連れてきた。
「この『セブンフォースゲート』を使えば、いつでも自在に月道(ムーンロード)を開くことができるの。一瞬で依頼先の地に行けるんだよ」
説明を聞いて驚く男の前で、少女は門をくぐる。すると、不可思議な揺らめく光が広がった。
「地上の活動内容、依頼の成功不成功にかかわらず、翌日、依頼に出向いたドラグナーは呼び戻される決まりになってるから。帰りの足も考えないで、安心して行けるんだよ」
そう言うと少女は揺らめく光に飛び込んだ。
男はそれを唖然と見送るのだった。
冒険と新しい生活! 期待に胸を膨らませ、ドラグナーになった君は何をする――?
∇ドラグナーの掟(Dragoon-Law)
「ところで、ドラグナーには守るべき法がある。なに、そんなに難しいもんじゃない、聞いてくれ」
あなたより少しだけ先にスカイドラグーンに来たと言う男が、訳知り顔で、メルや精霊達が定めたという掟を説明する。
一 スカイドラグーンはメル様の物なのだ。スカイドラグーンにある物を壊したり、勝手に売っちゃダメ。
「だそうだ。ちなみに、スカイドラグーンで売買されている物品は許可を得ているよ」
二 ドラグナーは人助けがお仕事。地上からの困り事を解決しよう。
「メル達は様々な依頼をドラグナーに斡旋している。ドラグナーは依頼をこなして報酬を貰う。ギブアンドテイクさ」
三 ドラグナー同士のいざこざは常識で判断。
「ドラグナーはコモンローの庇護下にある。殺すな犯すな盗むなといった一般常識だな。犯罪者は当然、裁かれる事になる」
四 その他こまかい事は、スカイタートルたちの指示に従うように。
「亀みたいな連中が、我々、ドラグナーの世話役らしいな」
「――以上だ。簡単だろう? では、快適なドラグナーライフを送ってくれ!」
クラス
ルミナ才能を持つ者は、4つの「クラス」に振り分けられる。
クラスは各人の資質とルミナ(身体に宿る守護精霊)の方向性を表しており、彼等は何れかのクラスに属している。
・ヴォルセルク(Wolserkr)――狼を纏う者
身体能力に優れた者。武器と防具を装備して敵に立ち向かう戦士である。
魔法は、格闘攻撃を強化するなど、直接戦闘に役立つものが多い。
X意匠は自らの身に施した刺青であり、顔や腕など見える場所に彫られる必要がある。
※ヴォルセルクは、自由設定または肖像画(STARS商品)によって、刺青の形や箇所を明示していなければ魔法を使えません。
・エンダール(Endall)――神秘を知る者
知性と精神力に優れた者。治癒や防御の術を得意とする癒し手である。
魔法は、傷を癒したりするなど、生死を司るものが多い。
X意匠はペンダント型のホーリーシンボル(CROSS)であり、これを装備しないと魔法を使えない。
※エンダールは、アイテム「CROSS」を装備していなければ魔法を使うことができません。必ず購入するようにしてください。
・パドマ(Padmas)――四季を操る者
知性と知覚力に優れた者。精霊の力を直接的に扱う魔法使いである。
魔法は、自然現象を操り精霊の力を行使する、派手で強力なものが多い。
X意匠は握りの部分に意匠が施された専用の杖であり、これを装備しないと魔法を使えない。
※パドマは、アイテム「魔法の杖」を装備していなければ魔法を使うことができません。必ず購入するようにしてください。
・ホーキポーキ(Hokeypokey)――奇術を披露する者
器用かつ俊敏な者。有り得ない何かを生み出すトリックスターである。射撃やシーフ技術にも向いている。
魔法は、奇術や錬金術といった独創的・摩訶不思議なものが多い。
X意匠はドラゴングラスと呼ばれる竜の鱗から作った眼鏡であり、これを装備しないと魔法を使えない。
※ホーキポーキは、アイテム「ドラゴングラス」を装備していなければ魔法を使うことができません。必ず購入するようにしてください。
∇X意匠品
X意匠品とは、ルミナ才能を持つキャラ達が、身に宿る守護精霊の力を引き出すために必要とする、一種の魔法媒体である。クラスごとに異なったそれらを紹介しよう。
・Xの刺青
ヴォルセルクは武器を取り扱う関係上、両手を自由にしておく必要があることから、見える場所に刺青としてXの意匠を施している。下記は一例であり、顔や腕、首元など、人それぞれである。
・CROSS
エンダールはX意匠の施されたペンダント型のホーリーシンボル(通称:CROSS)を持つ。形は様々である。
・魔法の杖
パドマは常に専用の魔法の杖を持ち歩いているのが特徴だ。木の枝のような杖の握り部分に革が巻かれており、その部分にX意匠が施されている。
・ドラゴングラス
ホーキポーキは、その特殊な力を発揮させる都合上、ドラゴングラスと呼ばれるドラゴンの鱗から作った眼鏡を掛けている。上位のドラゴンから採取したものほどレンズ部分が薄く細長いという特徴がある。
様々な種族
この世界(コモンヘイム)には様々な妖精族が存在する。
妖精族とは、体の大きさに違いはあれど、おおむね人間と同じような姿かたち、メンタリティや知性をもった異種族のことである。たいていの場合はコモン語を解することができ、一部の知性の低い妖精族を除き交流は可能。
説明中の身長・体重は男性(20歳)の標準的な値である。女性はおおよそ男性より5〜15%小さい。また、身長体重には個人差がある。
・人間(Human)
いわゆる人間。身長170cm体重60kgほど。
髪は黒・茶・赤茶・金・銀、肌は黒・褐色・黄色・肌色・白、瞳は黒・茶・青・碧、のいずれかである(ごく稀に色素欠乏で白髪・赤い瞳の者がいる)。
この世界でもっとも繁栄してしている種族であり、先進的、急進的なものの見方が得意。
特に苦手なところも突出したところもなく、オールマイティーである。
・フィルボルグス(Firbolgs)
身長190cm体重100kgほどの大柄な妖精族、いわゆる巨人。
屈強な体と濃い体毛をもつ。見た目通り、非常に力が強くてタフである。髪・肌・瞳の色は人間と同じ。
情に厚く、自分の言葉を違えることを恥とする。フィルボルグスは仲間にすれば頼りになるが、頭脳労働はあてにしない方が良い。
手先は不器用で、細かい作業にも向いていない。また、俊敏とも言い難い。
・パラ(Para)
身長130cm体重35kgほどの妖精族。耳がやや尖っているのを除けば、10代前半の人間の子供のようである。髪・肌・瞳の色は人間と同じだが、金や銀の瞳をもつ者がいる。外見の変化は緩やかで、50〜60になって初めて子供の顔のまま皺が増えていくため、大抵の場合実年齢よりも若く見える。手先が器用で身のこなしも素早いが、体力では劣る。難しい事を考えるのも苦手である。性格は気さくで好奇心旺盛、陽気な者が多い。
パラは大きな集団を形成せず、たいていは個人または家族単位で生活する。
・ライトエルフ(Lightelf)
論理的で功利主義な、身長170cm体重50kgほどの妖精族。世界中に広く分布している。
体の色素が薄く、黒髪・色黒な肌・黒や茶の瞳をもつ者はおらず、金や銀の瞳をもつ者がいる。
自然と調和した生活を好み、戦争を始めとした野蛮な行為は好まない。雑食であるが暴飲暴食はせず、野菜類や果物の方を好んで食べる。
寿命は人間のおよそ3倍で200年程度。0〜25歳までは人間と同程度の成長をするが、そこから急激に成長(老化)が緩やかなものとなる。
・ドワーフ(Dwarf)
頑固で生真面目な、身長150cm体重70kgほどの妖精族。
体の色素が濃く、金や銀の髪・白い肌をもつ者はいない。体毛(特に髭)も濃く、子供も女性も髭を生やす。最長50cmにもなる髭は種族としての誇りでもあり、女性たちの多くはおしゃれを楽しむように編みあげたりしている。
伝統に対して非常に頑固であり、古い体制や礼儀作法を重んじる。
・ケットシー(Caitsith)
身長120cm体重35kgほどの直立歩行する猫に似た妖精族。身軽でジャンプ力と着地バランスに優れる。
金や銀の瞳をもつ者がいる。また、猫の時の毛色は実在する猫と同じバリエーションが存在する。
人間の子供に変身できるが、耳と尻尾は猫のままである。
猫のような瞳を持ち、夜目が利く、顔を洗う、爪を研ぐ、マタタビで酔う、鼠をとるなどの猫らしい習性を備えているが、一応TPOを弁える理性はある。
基本的に自由奔放で気分屋な者が多い。
∇ケットシーの飲食、飲酒
・ケットシーが食べてはいけないもの
原則、猫に準じる。ただし、個体差や体調によって若干の違いがある。
以下は一例。
・脂身:膵臓障害を引き起こす可能性あり
・アルコール飲料:中毒、昏睡、死に至る可能性あり
(注:マタタビやキャットニップを用いたケットシー向けの酒ないし酒もどきが存在する)
・貝類の肝臓:食べて日に当たると重度の皮膚炎をおこす可能性あり
・イカ、タコ、スルメ:加熱すれば食べられるが消化不良の恐れあり
・きのこ:ショック症状、死に至る可能性あり
・(大量の)塩:体調不良を起こす恐れあり
・柑橘類:嘔吐を起こす可能性あり
・ジャガイモの茎と葉:消化器、神経系、泌尿器系に障害を起こす可能性あり
・トマトの茎と葉:消化器、神経系、泌尿器系に障害を起こす可能性あり
・たまねぎ、にんにく、リーキ:貧血を引き起こす可能性あり
・ショコラ、コーヒー、お茶などカフェイン含有物:心臓や神経系に異常をきたす可能性あり
・糖分過多なもの:肥満、虫歯、糖尿病を引き起こす可能性あり
・生魚(偶になら大丈夫):食欲減退、卒中、重症になると死に至る場合もある
・生卵:皮膚や皮毛を傷める可能性あり
・葡萄、レーズン:腎臓に障害を与える可能性あり
・ミルク、乳製品:下痢を引き起こす可能性が高い。個体によっては体内に分解酵素をもち耐えられる場合も
・大量のレバー:筋肉や骨に影響を及ぼすビタミンA中毒を引き起こす可能性あり
・ケットシーと飲酒
世間一般に、ケットシーにとって酒は毒だと言われている。それでは、どれくらいの量を飲むと死に至るのか?
ローレック学園にて、勇敢なる被験者の協力と万全のエンダール魔法救護体制の下、興味深い実験が行われた。
以下はその実験結果をまとめた論文の抜粋である。
『‥‥よって、ケットシーの致死量は蒸留酒だとゴブレット1杯、ビールだと大ジョッキ2杯程度である』
大方の予想に反し、一口飲んだからといって即死するわけでは無いらしい。それどころか、量を注意すれば十分飲酒可能にも思える。
ただし、と論文は続けている。
『これは飽くまで致死量であり、そこまでいく前に普通は、深刻な体調不良を引き起こすか意識を失う。個体によっては急性中毒を起こし、わずかな量でも死に至る可能性があるので、マタタビ水で安全に酔える以上、ケットシーがリスクを冒して飲酒するメリットはない』
この実験で実証されるまで、ケットシーの間では、飲酒は禁忌とされてきた。
考えてもみれば、ケットシーは自由奔放で気分屋、悪く言えばノリノリになると後先を考えない種族である。
酔っ払ってイイ気分になってセーブが効かなくなり不幸な犠牲者が出るという悲しい事件が過去に多々あって、ケットシーの間に飲酒を禁じる風習が生まれたのだろう。
ちなみに、ヒューマン成人男性の場合、蒸留酒大ジョッキ1杯、ビールだと大ジョッキ6杯程度が致死量である。
※大ジョッキ=1リットル、ゴブレット=0.4リットル
・変身の副作用
ところで、ケットシーには同性の人間に変身できる能力がある。人間に変身した状態でケットシーが苦手な飲食物を摂取することは可能だろうか?
実は可能である。しかし、変身を解いた瞬間に(胃袋や腸に残っている)飲食物の影響を受けてしまうし、精神的な拒否感や忌諱する習慣は変わらないので、やはり、苦手な飲食物を避けるケットシーは多い。
・メロウ(Merrow)
身長160cm体重50kgほどの、上半身が人間で下半身が魚という半人半魚の妖精族、いわゆる人魚である。海洋を始め、ほぼ全ての水域に生息する。
やや色素が薄く、黒髪・黒い肌・黒い瞳をもつ者はいない。紫・青・碧の髪をもつ者、金や銀の瞳をもつ者がいる。
水中行動を得意とするが、人間の姿に変身して歩行することもできる。
食事は生の魚介類や海藻などを食べる。人間の食べ物も食べられるがあまり好まず、恒久的に食べ続けると栄養バランスの点で問題が生じる可能性がある。
人間に対して警戒心を抱く者も多いが、稀に人間に恋する者もいる。
・ハーフエルフ(Half-elf)
人間とライトエルフの間に生まれた、身長170cm体重55kgほどの妖精族。
両親の中間的な体格に、やや尖った耳、オッドアイ、人間のような髪と肌を持ち、男性は髭が生える。
優れた心身を持つものの、周囲から呪われた血と揶揄されることもある。
実際、女神の加護が弱く、呪い系のアイテムに強いという特徴がある。
・シフール(Sithfool)
背にトンボのような羽根を生やした身長50cm体重1.5kgほどの小さな妖精族。
かつては小鳥と同じくらい頻繁に見られたらしいが、シーリーヘイム(精霊界)との繋がりが失われたコモンヘイムでは非常に稀な存在となってしまった。
ところが、スカイドラグーンにおいては多く見られる。どこかにシフールの里があるのかも知れない。
・ゴブリン(Goblin)
人間の子供ほどの知性、凶暴な本能、猿のような外見の妖精族。社会性は皆無で、人里でゴブリンを見かけたら「野盗行為の最中と思え」と言われるほど。その多くは犯罪者であるが、妖精族であり人権を持つ為、アルターオブスタプナーを利用することで種として長らえてきた。
宝石などの綺麗なものを集めることが好き。
・その他
これら以外にも、セントール、カーン、コボルトなどの様々な妖精族がおり、その種類は100を超えているともいわれている。
世界の常識
・年中行事やお祭り
| 1月 | 1〜7日 | 新年祭。聖所などで一年の無事を祈ったり厄払いをする。カスティラ地方ではゼスアレオ国王杯(新年闘牛や競技)が行われる。 |
| 2月 | 14日 | 愛の日。一年で一番男女が結ばれやすい日。未婚者は告白のチャンスであり、若い既婚者は子作りに良いと言われている。長年の夫婦は愛を確かめ合う。グレコニアのヴェニッツ共和国で仮面舞踏会、レンの海でメロウパレードが行われる。 |
| 3月 | 14日 | 白の日。恋人にお菓子を渡す日。あるいは愛の日のお返しをする日。 |
| 春分 | この日より種まきを開始し、豊かな収穫を願い、歌や踊りを女神に捧げる。この日、暦の調整がなされる。 |
| 29〜31日 | 断食。日の出から日没まで。日没を過ぎれば水とパンは食べてもよい。また、7歳未満の子供、病人、旅人、戦いに赴く者は含まれない。パルージャでは大勢が断食に参加する。 |
| 4月 | 1日 | 開放日。もともとは断食開けを祝う日だが、現在は断食と関係なくパーティーをし、ちょっとした嘘をついてもいい日となっている。カスティラで愚人祭(仮装ありの無礼講なお祭り)、パルージャでシュガー祭(甘いお菓子の祭典)、アフリックでウンボ祭(大鍋を囲んで踊って飲み食いする)、アルピニオのライトエルフがナトゥーラエルデ(春の祝祭)を行い、ウーディアでもカーニバルが盛大に祝われる。 |
| 第4週 | ローレック市国で桜祭り(精霊暦1013年のデュルガー王討伐を記念するもの)。 |
| 30日 | 魔女の夜(ヴァルプルギスナハト)。アルピニオ地方ブロンケン山にデュルガー残党が集まった故事から。篝火を焚いて魔を祓う祭り。リムランドにも同様な祭りがある。 |
| 5月 | 1日 | 5月祭。アルビオン王国で盛大に祝われる。 |
| 第2週 | 花祭り。土曜日にはペイント玉を投げ合ってみんなでカラフルになって遊ぶ。パルージャでは犠牲祭(家畜を神に捧げ、その肉を皆で食べる。街中ケバブだらけ)と魔法大祭(魔法や錬金を披露するイベント)が行われる |
| 6月 | 全日 | ジューンブライド。6月に結婚した花嫁は女神の祝福を受け、幸せな結婚生活を送れるといわれる。 |
| 夏至 | 太陽が死ぬ日。精霊の守護が弱くなっていく日。神代七代終戦日。スケイルラントでは戦勝記念祭が行われる。リムランドでは白夜祭(徹夜で競技を行う)が行われる。 |
| 7月 | 7日 | 逢瀬の日。ユグドラシル神話由来の祭り。高い樹を札やリボンで飾り、贈り物を贈り合う。 |
| 第1週 | クルクプナル。パルージャでレスリング大会が行われる。 |
| 中旬 | 海開き。水の精霊を祭る行事。グレコニアでは海祭りが盛大に行われる。スラヴォで夏祭りが祝われる。 |
| 22日 | ポルスカの再建国祭。邪鬼を含むコモン諸種族が飲めや歌えやの大騒ぎ。 |
| 8月 | 中旬 | サンドラで夏のパン祭り(創作パンを観賞し、ビールを飲む)が行われる。 |
| 28日 | カスティラでトマト祭(トマトの収穫を祝い、料理を振舞う)が行われる。 |
| 9月 | 13〜14日 | 光祭り。グレコニアでグレコニアングラス製の灯篭で街を飾り、幻想的な祭りをする。 |
| 下旬 | カスティラでワイン祭り、スケイルラントでグレートトーナメント(大武術大会)が行われる。 |
| 10月 | 第1週 | オクトーバーフェスト。アルピニオでビール祭りが行われる。 |
| 下旬 | 鎮魂祭(ハロウィン)。最後の日は死者の魂が帰ってくる日であり先祖を供養する。邪な霊も出てくるので、特に彼らの好物である子供は魂を抜かれないよう、魔物に変装をしたりする。グウィネズ連合でハロウマスの火祭り(人形を焼く祭り)が行われる。 |
| 11月 | 上旬 | 火炎祭。厳しくなっていく冬に対し、火の加護をなくさないようにと火を燃やし祈る祭り。 |
| 第3週 | 栄光の三日間。ウーディアでワインのお祭りが行われる。 |
| 12月 | 冬至 | アルピニオでユール祭(死者の霊に晩餐を供え、家族で食事をする)が行われる。スラヴォでは篝火を焚いて冬至を祝う。 |
| 24日 | ノルン降臨日。ノルンが地上に降りてオーディアに恵みを与える一年で最初の日。 |
| 31日 | 大晦日。一年の最後の日。 |
・言語
この世界には、神代七代の大戦の後に体系付けられたコモン語という言語があり、ユーロ圏とオリエント圏の共通言語となっている。
そのため、コモン語さえ修得していれば、ユーロ圏とオリエント圏においては会話に不自由することはない。A〜Zまでの26種類のアルファベットの組み合わせによる文字文化もある。
それ以外では、インドゥラ地方で使用されているインドゥラ語、グリーヴァ圏で使用されているグリーヴァ語が存在する。
また、古の文字であるルーンや、未だその解析が終わっていないいくつもの古代語も存在する。
・農作物
[麦]ユーロ圏において主食であり、領主達によって価格統制されている。その他ビールを造るためと馬の飼料に大麦。飢饉に備えた食料としてオーツ麦やライ麦が栽培されている。
[米]グリーヴァ圏において主食であり、酒を造るためにも使われる。水田栽培で高い収穫を得る事ができるが、温暖湿潤な気候が必須である。インドゥラ、オリエント圏でも栽培されている。
[トウモロコシ]高温や乾燥に強いため、ファンシェン、インドゥラ、南ユーロにかけて広く栽培されている。
[ソバ]冷涼で乾燥した土地でも育つため、グリーヴァ圏からユーロ圏にかけて広く栽培されている。グリーヴァでは麺、その他の地域では粥にして食べることが多い。
[ジャガイモ]痩せた土地でも収穫が期待できる優秀な作物。広く栽培されている。
[豆]広く栽培され、保存が利く重要な食物。水を張った皿の上で発芽させたスプラウト(新芽)は、安価で一年中手に入る生鮮野菜であり、広く食されている。
[ビート]丸くて赤い根菜。古くは薬として用いられた。サラダにしたり、茹でたり蒸したり。スープの具によく使われる。スラヴォ地方で盛んに栽培されている。
[すいか]種を食用とする他、品種改良により甘みがある果肉は水分と糖をとれる果実として食される。主にオリエント圏、インドゥラ、グリーヴァ圏で栽培されているが、ユーロ圏の温暖な地域でも栽培可能。
[リンゴ]単にフルーツと言えばこれを指すほどポピュラーである。生食のほか、スライスしてチップスにしたり、果汁を煮詰めてジャムにする。
[ベリー類]ベリー類は主にジャムにして使用する。
[ブドウ]主にワインを造るために栽培。乾しブドウは貴重な携行保存食。
[イチジク]生食の他、乾し固めてブロックにして保存食として使用する。
[トマト]生食よりも濃縮してケチャップとして使用される。
[ナシ]主に生食用。やや縦長で下側がいびつに膨らんだ独特な形をしている。熟したものは香りが強く、酒のように芳醇で甘い。
[リーキ]レンの海沿岸原産の野菜。オーディアでは紀元前から栽培されており特産品の一つともなっている。紀元前のオーディア島を治めていた賢人王オーディアがとくに珍重していたとされ、リーキを使用した様々な料理や民間療法、競技があった。また、賢人王オーディアの国の国花・国章であった。更に、彼は、国の軍人に、戦場で敵味方の区別をするために帽子にリーキをつけさせた。それにちなみ、9月の収穫祭の時には、リーキを身につける習慣がある。
[カボチャ]10月末に地上の一部で行われる鎮魂祭に於いては、カボチャのランタンを飾って先祖を供養する。
[カブ]広く栽培されている根菜。ユーロ圏では家畜の飼料にも使われる。
[ニンジン]東西問わず古くからある野菜。食用あるいは薬用として。
[タマネギ]古くからある野菜。猫やケットシーには有害。煮たり炒めたりして食される。
[ニンニク]香味野菜として使われる。滋養強壮に良いとされ、その臭いはバーヴァンを遠ざけるといわれる。
[カエデ]カエデ科の樹木で、樹液が採取され、煮詰めたものが甘味料として利用されている。メイプルシュガーはユーロ圏に流通し、農家の貴重な副収入原として広く作られている。
[デーツ]ナツメヤシの実。オリエント圏では非常にポピュラー。生食の他、干して保存食や甘味料(デーツシュガー)にしたり、ジャムにしたり、発酵させて酒や酢を造ったりと用途は広い。種は家畜の飼料に、油は石鹸や化粧品に用いられる。
[サトウキビ]イネ科の植物で、茎に糖分を含んでおり搾り汁から甘味料(ケーンシュガー、いわゆる砂糖)が作られる。インドゥラ原産だが、近年、パルージャでも栽培が始まっている。
[シナモン]サンドラ産の香辛料。シナモンの木の樹皮から作られる。独特な芳香をもち、古代サンドラでは権力者の埋葬にも使われた。
[コショウ]インドゥラ産の香辛料。肉の臭み消し、食糧の長期保存に役立つ。パルージャの陸路貿易の主要取引品で、ユーロ圏では高値で取引されている。
[トウガラシ]強い刺激と辛味をもつ植物。古くから錬金素材として用いられてきたが、勇敢にも香辛料として利用する者が後を絶たない。南ユーロ、インドゥラなど温暖な気候で栽培されている。
[コーヒー]アフリック原産の嗜好品。種子を焙煎して挽き、水や湯で成分を抽出した汁を飲む。サンドラ商人の主要取引品。精霊暦11世紀にはユーロ圏にもたらされていた。
[紅茶]ファンシェン、インドゥラ産の嗜好品。葉を乾燥発酵させ、湯で抽出した汁を飲む。大昔はサンドラ商人が扱っていたが、今ではパルージャ商人が扱っている。
・牧畜酪農
[馬]労働力と乗用、戦争の道具として。乳や肉を得るためにも。ゴルハン人など遊牧民にとっては非常に重要な家畜。
[牛]労働力と乳の為に。乳からはバターやチーズなども作られる。自作農は最低牝牛1匹を所有している。
[豚]肉を得るために。森や休耕地に放たれ飼育されている。
[鶏]肉と卵を採る為に。
[兎]肉と毛皮を取る為に飼う。餌代が殆ど掛からないのが特徴。
[羊]主に毛を採る為に。羊肉食は歳を取った羊か祝い事に使われる当歳の物に限られる。
[駱駝]乗用、肉と乳の為に。乾燥や飢餓に強く、サンドラやパルージャで重宝される。
[蜥蜴]乗用、肉と皮の為に。戦争の道具として。乾燥や飢餓に強い。二足歩行の大型蜥蜴パルリザードはパルージャ地方独特のもの。
・成人と公職年齢
この世界においてコモンクルスは15歳で成人とみなされ、婚姻(アルターオブスタプナーの利用を含む)や飲酒などの制限がなくなる。
しかし、公職に就ける年齢は社会経験を積んだ25歳からであり、職人が親方になれるのも、公式に領主や王として自分で政治を行えるのも25歳からである。
・婚姻と子作り
コモンクルスの子供はアルターオブスタプナーによって誕生する。
アルターオブスタプナーはコモンヘイムに広く普及した女神教の教会によって管理されており、2人のコモンクルスが子供をしっかりと育てられる環境を持っている、すなわち、結婚して家庭を築いている場合にのみアルターオブスタプナーを利用させる決まりになっている。
・邪鬼問題
ローレック学園(ローレック市国)と女神教は協力してアルターオブスタプナー(以下AOSと略す)を普及させていったが、その過程で大きな議論が起きた。邪鬼や妖獣と呼ばれる敵対的な妖精(エルフィン)にAOSを使用させるか否かという問題である。
「害を為す輩どもを繁殖させる必要はない」とAOS使用に反対な者も少なくなかったが、「知性をもった妖精は等しく女神の子であり手を差し伸べるべき」という女神教の精神に則り、邪鬼にもAOSを使わせる事になった。
女神教の聖職者と護衛役のダーナ達の努力により、邪鬼達は誕生の秘蹟の意味を理解し、「誕生の秘蹟を担う女神教聖職者に危害を加えてはならない」という不文律さえ出来上がったのである。
なお、妖獣は自然出産できる事がわかりAOS普及の対象から外された。
・邪鬼の生きる道
AOS普及が契機となり、邪鬼にも変化が生じ、女神教に帰依したり、他種族に友好的に接したりする個体が現れた。この背景には、人里離れた荒野に住みついて野盗行為を働く「昔ながらの」邪鬼がしばしば討伐されて、絶滅の危機に瀕していたという事実がある。
しかし、精霊暦13世紀のゴルハン台頭、14世紀のユーロ百年戦争と、コモンヘイムで戦争が頻発し、破壊と暴力を好む邪鬼は、わずかな金と食糧を与えられれば、喜んで傭兵になった。ゴブリン兵やオーク兵はなりふり構わない権力者にとっては使い捨てできる安価な雑兵であり、それなりに役立った。
さらに、追い風となったのは黒化病大流行である。多くのヒューマンやエルフィンが死んだ事で、相対的に邪鬼の地位が向上し、知力に秀でた個体が傭兵隊長となって雇い主と交渉するケースもあったくらいだった。ユーロ百年戦争においては邪鬼傭兵団がいくつも組織され、悪辣な戦いぶりと略奪行為で人々から恐れられた。
だが、戦争が終結して多くの邪鬼兵は失業し、再び賊と化した。
精霊暦16世紀の今日において、邪鬼を積極的に受け入れる特殊な国や地域はあるが、邪鬼の主な生業は相変わらず野盗か傭兵である。