PSA検診,「学会」が「研究班」を批判
「ガイドライン解説」に死亡率低下のエビデンス反映されず
市町村ベースの前立腺特異抗原(PSA)検診体制を推進してきた日本泌尿器科学会と,これに否定的な平成19年度厚生労働省(厚労省)がん研究助成金の研究班(濱島班)。
これまでも両者はPSA検診のエビデンスを巡り,双方で議論を展開してきた経緯は周知の通りである。このほど,厚労省研究班「前立腺がん検診ガイドライン解説」が一般向けに公開されたが,最近発表されたPSA検診による死亡率低下の結果は反映されなかった。
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いろんなガイドラインが出ていますが、
論文を猟集してエビデンスレベルを示していくという
作業を行い、ガイドラインを作成します・・・
論文のエビデンスレベルを評価しながらなので相当に
大変な作業になります・・・
ま、泌尿器科学会と厚労省が対立していますね・・・
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PSA検診で前立腺がん死亡リスク44%減少,発見率は1.64倍に
男性2万人が対象のスウェーデン研究
前立腺特異抗原(PSA)による検診は,前立腺がんによる死亡リスクを減らす方法の1つとして定着している。
こうしたなか,スウェーデン・イェーテボリ大学のJonas Hugosson氏らは,男性約2万人を対象とした研究の中間解析で,PSA検診を受けることによって前立腺がん死亡リスクが44%減少することをLancet Oncology7月1日オンライン版に報告した。一方で,前立腺がん発見率は1.64倍に増加している。
2009年に発表された欧州のERSPC試験※1で対照群に対する検診群の前立腺がん死亡率比が0.80,同年発表の米国のPLCO試験※2では前立腺がん死亡率の低下が認められなかった。そのため,同氏は「今回の研究は,過去のものを上回る死亡率低下が示された」とした。
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はい、検診が推奨される根拠として
新しい研究結果が出ましたね・・・
従来はERSPCで有効
PLCOで無効・・・
それぞれの研究結果についてのコメントとして
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PSA検診による死亡率低下効果が認められなかった米国のPLCO(Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian)試験は,対照群のPSA検診受診率(コンタミネーション率)がエントリー段階で44%,研究開始後6年間で推定52%にのぼるなどの問題点があることから,同氏は「ランダム化比較試験(RCT)として破綻している」とした。
一方,PSA検診による死亡率低下効果が認められた欧州のERSPC(European Randomized Study of Screening for Prostete Cancer)については,検診群のコンプライアンスが82%,コンタミネーション率は推定20〜30%であることなどから,「非常に優れたRCT」として,その結果を重視している。
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試験デザインが一見ちゃんとしていても
分析してみると証拠能力として疑問が残る論文は
トップジャーナルにも当然あります・・・
因みに
ERSPCは
New England Journal of Medicine(2009; 360: 1320-1328)
PLCOは同号の(2009; 360: 1310-1319)
今まで何度も出てきましたね・・・
皆さんは健診は多くの人にやればやる程見つかる病気が
でるので、命を助けられる・・・
だから、出来るだけ網を広げて待ち受けるべきだ
と考えるのが、分かりやすいと思いませんか・・・
見逃すよりは良いんじゃないかと思うでしょ・・・
ところが
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一方,研究班の分担研究者で,前立腺がん検診ガイドライン作成委員会委員を務めた金沢医科大学(呼吸器外科)教授の佐川元保氏は,検診を採用する際に起こりうる“誤り”として,
(1)実際は有効なのに採用が遅れて死亡者が増える,
(2)実際は無効なのに採用してしまい,不要な検査と不利益(死亡者含む)が発生する—
の2つを紹介。
臨床医は患者に対して(1)を避けて(2)をやむなしと考える場合が多いとしつつ,
健常者を対象とした検診では(2)を絶対に回避すべきと発言。
特に対策型検診では,有効である確証がないうちは無効と考える「推定無効」が原則とした。
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病気を見つけたら、今度は精密検査を受けることになります
ところが精密検査には死亡を含めた健康被害が発生する可能性が
あります・・・
医療ですから合併症が起きることがあります・・・
結果として健康な人を精密検査で死亡させることは
断じてあってはならない・・・
従って検診は推定無効が原則・・・
やるなら厳しい証拠が必要という訳です・・・
本人が心配とか、症状があるなどの場合は
医者と話し合いながら検査を進めていく・・・
これは通常の診療ですから、合併症も止む無し・・・
検診での合併症は出来るだけ避ける・・・
これが考え方ですね・・・
さてと・・・
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イヌを訓練して前立腺がんスクリーニングに応用
将来はVOCsの特定に期待
Cornu氏らは,PSAスクリーニングまたは直腸指診で前立腺がんが疑われ,針生検を受けた66例のうち,前立腺がんと診断された33例と除外診断された33例の尿検体を冷凍保存し,イヌを訓練した。
イヌを用いた今回の前立腺がん判別訓練では,感度100%,特異度91%,陽性的中率は92%,陰性的中率は100%であり,概念実証研究としてはよい結果が得られたと言える。
しかし同氏は,別のイヌで同様の実験を行ったところ,完全な失敗に終わったことも明らかにした。
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最後は犬かよ・・・(-_-メ)
泌尿器科学会、厚労省上等だ〜〜〜わん(@_@)
ま、犬が誤診しても損害賠償を誰に請求するかという問題が・・・
病院でも犬に診断させてそれから医者が治療する
これなら医療ミスも減るかも・・・
最後に
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米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)は8月5日,75歳以上の男性に対する前立腺がんスクリーニングを「実施すべきでない」とのグレードD勧告を発表した(Ann Intern Med 2008; 149: 185-191)。
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前立腺癌は比較的ゆっくり成長しますからね・・・
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