サッカーのW杯ブラジル大会を見ていて、あらためてサッカーの持つパワーのすごさを見せつけられた。世界中を熱狂させる魔力。その一方で、開催経費は天井知らず。試合で名を売ったスーパースターのギャラは高騰する。サッカー選手はプロ中のプロなのだろうが、4年に1度のファンの熱狂の裏側には、そうした金にまつわる話も潜む。
こうした状況はスポーツ界だけではない。経済界にも“経営のプロ”はいる。高額報酬を「もらって当然」と胸を張る。そこには義理や人情が入る隙間はない。もうかる物しか作らない目先の経営は、逆に将来を危うくしているようで違和感がある。「金もうけをしようと思ったら、貧乏人を相手にしなければだめ。下は無限なんです」。自称・プロ経営者が言った言葉には返事に窮した。
W杯で報酬を返上した代表チーム。「私の国はまだ貧困」とギャラを母国に寄付したスーパープレーヤー。こんな話に心が癒やされた。武士道は立って半畳寝て一畳。宮沢賢治は一日に玄米4合とみそと少しの野菜…。世界のアスリートに武士道文化が少しでも浸透してくれればと思う。 (格闘技評論家)
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