兵士集団暴行死、反省の色ない被告らに傍聴人の怒り爆発

兵士集団暴行死、反省の色ない被告らに傍聴人の怒り爆発

 「軍隊は人を殴るところなのか? どうして反省の色がないんだ! 運が悪くて捕まったんじゃなく、本当にひどいことをしたんだ!」

 5日午前10時20分ごろ、京畿道楊州市にある陸軍第28師団の普通軍事裁判所。一等兵(23)が集団暴行を受けて死亡した事件をめぐる4回目の公判が終わるや、傍聴席に座っていた数十人の傍聴人が前に詰めかけ、一等兵を死なせた被告らに怒りをぶちまけた。憲兵の副士官が「裁判は終わったので退場するように」と求めたが、傍聴人たちの怒りはなかなか収まらなかった。ある50代の男性は「第28師団の人を見てうっぷんが爆発し、我慢できなかった」と、唇を震わせながら語った。弁護団が立ち去った後に残された被告たちは、口をつぐんだままだった。

 この日の公判は、事件の残酷さがマスコミで報じられて以降、初の裁判だったが、わずか20分で終了した。裁判官は軍検察による起訴状の変更要請を受け入れ、主犯の兵長(25)の罪状に軍刑法上の「軍人などへの強制醜行(わいせつ)」罪を追加した。検察官は「一等兵が倒れた4月6日、性器に消炎鎮痛剤を塗るよう強要した行為を強制わいせつと判断した」と説明したが、被告らへの殺人罪の適用については言及しなかった。また、検察官は裁判官に「第3軍司令部の普通軍事裁判所への管轄移転を申請する予定」と述べ「事実関係と法理をさらに検討する必要がある」として公判の延期を要請した。裁判官は申請を受け入れ、公判はすぐに終了した。

 木製の長いす3脚に分かれて座っていた6人の被告は、いずれも戦闘服を身に着けていた。終始無表情を貫き、前を見ているか、あるいはうつむいて動かなかった。最前列で公判が始まるまで目を閉じていた主犯の兵長は、背筋を伸ばして座り、正面をじっと見詰めていた。にきびの浮き出た顔に丸い眼鏡をかけた兵長は、時おり手をいじっただけで、傍聴席には目もくれなかった。被告らは公判後、傍聴人からなじられても全く動揺するそぶりを見せず、その場に座っていた。

 傍聴に訪れた人の多くは、息子が軍隊で服務中の親たちだった。息子(24)が服務中だという女性(59)は「加害者たちは平凡な顔つきをしており、人間以下の暴力を振るうようには見えなかった。軍隊では誰でもあんな風に悪魔になり得るのだと思うと、息子がとても心配だ」と話した。また、京畿道軍浦市から傍聴に訪れたという女性(53)も「空軍にいる息子が先輩から毎日のように体罰を受けているとしても、息子が乗り越えるべきことだと思っていたが、今ではどんなことをされるのか、とても怖い。すぐにでも軍隊から連れ戻したい」と心配そうに語った。

 午前10時40分にようやく法廷を出た傍聴人たちは、部隊の鉄門に紫色の風船とリボンを結び「もうちょっと抵抗しないと」「守ってやれなくてごめん」「暴力のないところで安らかに眠って」などと記した一等兵へのメッセージを貼った。

 この日、裁判所の前は、一等兵への暴行の悲惨な実態を暴露した市民団体「軍人権センター」が募集した法廷監視団のメンバーや、個人的に訪れた市民、取材陣、軍関係者らで混雑した。20坪(約66平方メートル)に満たない小さな法廷に設けられた20席ほどの傍聴席は満員だった。席のない傍聴人たちは廊下に立って公判を傍聴した。10時に開廷すると、裁判官は「傍聴人が多すぎて進行が難しい」として5分間休廷した後、公判を再開した。

楊州= キム・ギョンピル記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 兵士集団暴行死、反省の色ない被告らに傍聴人の怒り爆発

right

関連ニュース