フォア文庫なので使用漢字や文体的にも児童向けです。
日本の反戦プロパガンダ映画や小説は銃後の話がほとんどですが、一方的に被害者的な視点のみでは戦争について考える契機とはなっても、では自らが何をすべきかという発想につながりにくいように思えます。
本書は兵隊だった著者の一人称で進行しますので、敵をやっつけもするし、仲間を見捨てたりもします。けれどそれが本当の戦争の姿であって、勧善懲悪の図式に当てはまらないからいまでも戦争がなくならないのではないでしょうか。
テレビゲームや映画でよくみられる血と涙と友情のドラマは、つい60年ほど前に日本でも実際あったことであり、むしろそちらがオリジナルなのだという事実を知るだけでも価値のある一冊だと思います。