理化学研究所の前北京事務所長が、無断で公印を持ち出し、さらに事務所の預金約1200万円を個人口座に不正送金したとして、理研は返還や損害賠償を求めてさいたま地裁に提訴した。また、中国でもすでに提訴しており、警察当局にも被害届を出しているという。
前所長は2010年9月から3年間の雇用契約を結び、12月の事務所開設時から所長に就任した。昨年8月末に雇用終了となったが、前所長はこれを不服として銀行口座の暗証番号などの引き継ぎなどに応じず、金庫に入っていた現金十数万円や公印などがなくなった。12月には事務所の口座から約1200万円の預金を無断で自身の個人口座に送金したという。これに対し前所長は「正当な報酬」だと主張している。
理研は中国の公安局に被害届を提出し、人民法院に返還などを求めて提訴した。今年の3月に受理されたが、裁判書類が前所長に届かず裁判が開かれる見込みが立たないということで、日本でも提訴した。さらに今年の2月には埼玉県警に窃盗と電子計算機使用詐欺のい容疑で被害届を出しており、受理された。
理研によると、前所長は2001年から研究者として理研に勤務しており、2010年9月からは事務職員として3年契約で雇用された。中国出身で日本国籍の男性だという。
出典:時事ドットコム/サンスポ