理化学研究所:「前北京事務所長が着服」と地裁に提訴
毎日新聞 2014年08月08日 21時27分(最終更新 08月09日 04時38分)
理化学研究所(本部・埼玉県和光市)は8日、前北京事務所長の男性(48)が事務所の運営資金を不正に自身の口座に送金し、金庫内の公印や銀行印などを持ち出したとして、公印などの返還や約1200万円の損害賠償などを求めてさいたま地裁に提訴した。
理研によると、前所長は中国出身で日本国籍。2010年12月開設の北京事務所は所長と現地派遣社員の2人が勤務し、金庫の鍵などはすべて前所長が管理していた。理研は開設準備期間だった10年9月から昨年8月までの3年間、前所長と雇用契約を結んでいた。
しかし、前所長は事務所が開設された10年12月から3年間が任期だとして、昨年9月以降も金庫や銀行口座の暗証番号などの引き継ぎに応じず、同年12月5日にインターネットで事務所の銀行口座から約1200万円を自身の口座に送金。「(9月以降分の)自分の給与だ」と主張しているという。
理研は12月9日に中国の公安当局に被害届を提出。今年3月には前所長に公印などの返還と損害賠償などを求める民事訴訟を中国の人民法院に起こしたが、訴状などを前所長の住所に送っても届かず、裁判の見通しが立っていなかった。埼玉県警朝霞署にも今年2月、被害届を出した。【川畑さおり】