2014.8.8 18:03

理研が前北京所長を提訴 1200万円不正送金したとして

 理化学研究所(本部・埼玉県和光市)は8日、北京事務所の前所長が公印を持ち出し、事務所の預金約1200万円を自身の口座に不正送金したとして、返還や損害賠償などを求め、さいたま地裁に提訴した。既に中国でも提訴し、日中両国の警察当局に被害届を出したという。

 理研によると、前所長は中国出身で日本国籍の男性(48)。2010年9月から3年間の雇用契約で、同年12月の事務所開設時から就任した。

 しかし前所長は昨年8月末の雇用終了を不当として、銀行口座の暗証番号などの引き継ぎをせず、金庫に入っていた現金十数万円や公印などが無くなった。12月には預金のほぼ全額が前所長の個人口座に送金された。前所長は「正当な報酬」などと主張した。

 理研は、中国の公安局に被害届を提出。中国の裁判所に当たる人民法院に返還などを求め提訴、今年3月に受理された。だが、前所長の住所に裁判書類を送っても届かず、裁判が開かれる見込みが立たないため、日本でも提訴した。

 今年2月には、埼玉県警に窃盗と電子計算機使用詐欺の容疑で被害届を出し、受理された。

 北京事務所は中国の研究機関と共同研究する際の協定締結の交渉事務などをしており、職員は所長を含め2人。理研の宍戸博総務部長は「極めて遺憾。ご心配をお掛けし申し訳ない」と話している。(共同)