日本原子力発電と東芝、丸紅の3社は29日、カザフスタン政府と、同国の原子力発電の導入に向けた調査と技術で協力すると発表した。3社がプラントを提案、これを受けてカザフは導入の検討を進める。日本とカザフは3月に日本から原発機器を輸出できるようにする原子力協力協定を結んでおり、今回の協力をテコに将来の建設受注につなげたい考えだ。
3社はカザフの政府機関である国立原子力センターと都内で覚書を結んだ。中央アジアのカザフには現在、原発がなく、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)と呼ばれる原発に関心を示している。ABWRは1996年、東京電力が柏崎刈羽原発6号(新潟県)で運転を開始。従来の原発を大型化して安全性も高めたのが特徴で、中部電力、北陸電力も導入している。
電力会社が出資する原発専業の日本原電は、プラントの建設費試算や法令整備などを提案する。東芝はプラントの概念設計や仕様の検討、丸紅の原発事業子会社である丸紅ユティリティ・サービスは資金調達や経済的に成り立つかの試算をそれぞれ担当する。カザフ政府は3社の提案をもとに原発導入を検討する。
カザフは原発燃料ウランでオーストラリアに次ぐ世界2位の埋蔵量がある。ウラン資源を輸入に頼る日本は「将来、国内のウラン需要の3~4割をカザフから調達する」(経済産業省)方針。東電、東芝や丸紅などは同国で国内需要の約3~4割に相当するウラン鉱山権益を獲得済みだ。
日本の原発は世界最高水準の技術を誇り、原発の最大利用国である米国で東芝と三菱重工業が受注を決めている。一方、原発の運転や法体系整備に関して包括的な支援体制が欠かせない新興国向けなどの受注では出遅れている。アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国での原発商談は韓国に、ベトナムでの第1期プロジェクトはロシアに受注をさらわれた。
今回、カザフでの原発建設協力で日本は一歩先行した格好だが、カザフには他国も原発分野で秋波を送っているもよう。官民一体の売り込みは韓国なども強化、ロシアもカザフとの関係を深めており、日本勢による受注につながるかどうかは不透明だ。
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