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 広島市で6日にあった平和記念式典で、安倍晋三首相のあいさつの冒頭が昨年とほぼ同一だったため、ネット上などで「コピペ(引き写し)ではないか」と批判が広がっている。

 首相は冒頭部分で「69年前の朝、一発の爆弾が、十数万になんなんとする、貴い命を奪いました」と述べた。昨年は「68年前」で、それ以外は2段落分が一字一句同じだった。多くの犠牲の上にある戦後の平和と繁栄をうたう3段落目も「せみしぐれが今もしじまを破る」が抜けただけ。式典は昨年は炎天下だったが、今年は雨の中だった。

 東京都世田谷区の上川あや区議(無所属)が首相あいさつを昨年と比べ、短文投稿サイトのツイッターに書き込むと、6千以上のリツイート(転載)があった。

 「コピペ」疑惑について、加藤勝信官房副長官は8日の会見で「核軍縮や被爆者援護など、1年間の施策の進展が盛り込まれている。(昨年と)全く同じものではない」と説明した。

 一方、ツイートした上川氏は「政府は自らの立場の説明に終始していて、同じ文言のあいさつを聞かされる被爆地の方々への想像力が抜け落ちているのではないか」と批判している。(藤原慎一)