独ダイムラークライスラーのベンツの生産が、北京汽車集団との合弁で許可され、05年から生産開始され、08年の北京五輪以前の“乗用車特需”に乗り遅れてしまった。中国の自動車市場の驚異的進展の中で、トヨタだけがシェアを落とし続けた。これは間違いなく,トウ小平の呪いによる中国政府の意識的トヨタ冷遇の結果であると言われている。 このように、中国はトヨタを始め日本の自動車メーカーの中国進出を嫌ったが、それでもなおかつ、中国は、トヨタを始めとする日本メーカーのHV(注1)やEV(注2)の技術を渇望していた。自国で苦労して開発せず、他国の技術をひどく欲しがる中国の曲がった思考パターンが見え隠れする。彼らは自国で開発の努力を支払わず、ひどい場合には外国技術を盗もうとする。かつて米国のステルス戦闘機F35の設計図をハッカー行為で盗み取ったのは余りにも有名な話である。 中国は、日本からHVの技術を奪い取るために、HV車が、そのハイテク製品であるモーターなどの製造に不可欠とするレアアース(希土類)を提供する代わりに、モーターの製造も含めたHV車を中国で現地生産することを求めた。中国には、捨てるほどに有り余っているレアアースの提供と引き換えに、HV車に関する日本の基幹技術を盗み取ろうとしている。 この結果2012年4月23日、「北京モーターショー2012」で豊田社長は、HV車の現地・一貫生産を表明し、ホンダはHVの基幹技術を中国の自動車メーカーに供与することを公表した。 このようにして、我が国「日本」の汗と涙の結晶である優れた基幹技術が、中国に奪い取られる。資源のない我が国の悲しさである。このような中国の無理難題を避けるためには、 @レアアースの中国以外の国からの調達、 Aレアアースに依存しない新技術の開発、 しかない。 @については、日本、カザフスタン両政府がレアアース(希土類)鉱山を新規開発することで、4月に既に合意したそうである。 Aについては、既に日立製作所や、本田技研、東芝などが、レアアースに依存しないモーターの開発に成功しており、有力な新技術として浮上しているそうである。 これらについては別に報告したいと考えている。 ******************************************** (参考1)トヨタが中国でうまくいかないのはケ小平の呪い? レアアースと引き換えにHV技術を中国に売るトヨタ・ホンダ (2012.10.03) Business Journal (http://biz-journal.jp/2012/10/post_787_2.html) ●中国による国ぐるみの交渉に譲ったトヨタにホンダ トヨタが中国で出遅れた理由ははっきりしている。中国政府が合弁事業を許可しなかったからだ。同社が天津汽車集団との合弁会社、天津トヨタを設立できたのは00年。だか、結局天津汽車は赤字続き。02年に中国自動車最大手の第一汽車集団が、天津汽車を買収して仕切り直しとなった。その後、04年にどうにかカローラの生産にこぎ着けたが、時、すでに遅し。中国市場で同社は、独VWと米GMの2強の背中さえ見えなくなっていた。 欧米のライバルに大きく水を開けられたトヨタもこの時、巻き返しに一歩踏み出した。中国第4位の広州汽車集団との間で合弁会社、広州トヨタを設立した。北米市場で大ヒットしたカリムを生産して、中国市場参入の突破口にするつもりだった。だが、エンジン製造の許可は得たが、乗用車製造の許可は下りなかった。 一方で、独ダイムラークライスラーのベンツの生産は、北京汽車集団との合弁が異例の早さで許可され、当初06年の予定だったベンツの生産開始が05年に繰り上がった。広州トヨタがカムリの生産を開始するのは06年5月。08年の北京五輪に先立つ“乗用車特需”に乗り遅れてしまった。中国の自動車市場が爆発的に伸びるなか、トヨタだけがシェアを落とし続けた。中国政府によるトヨタのいたぶりかと疑われるほどの事態だった。 それでも中国は、日本メーカーのHV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)の技術が喉から手が出るほど欲しかった。そこでHV技術の取り込みの切り札としたのは、レアアース(希土類)である。レアアースはHV車のモーターなどハイテク製品の生産に欠かせない。日本は、そのほぼ全量を中国からの輸入に頼っていたが10年、同国が大幅な輸出規制に乗り出した。レアアースの輸出を対日外交カードとして切ったのである。 日中経済協会訪中団の張富士夫団長(トヨタ自動車会長)と最高顧問の米倉弘昌・日本経団連会長らは11年9月6日、中国の李克強・筆頭副首相と会談。レアアースの中国側の供給削減に懸念を表明した。これに対して中国側は、安定供給の見返りとして、レアアースを使う製品の現地生産を求めた。ハイテク製品を中国で生産すれば、レアアースを供給するという交換条件を出してきたのだ。充電池メーカーから技術流出を懸念する声が挙がったが、日本勢は中国側の提案に乗った。 12年4月23日に開幕した「北京モーターショー2012」で豊田社長は、HV車の現地での一貫生産を表明した。ホンダもHVの基幹技術を中国の自動車メーカーに供与すると明らかにした。トヨタ、ホンダという2強が、中国政府の要請を受け入れたのである。 (参考2)レアアース鉱山、カザフと新規開発 日本政府が合意2012.4.30 05:00(http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120430/mca1204300502001-n1.htm) 日本、カザフスタン両政府がレアアース(希土類)鉱山を新規開発することで合意する見通しとなった。政府関係者が29日明らかにした。電気自動車用モーターなどに不可欠な「ジスプロシウム」で、国内で必要とされる量の1割強が確保できるようになるという。レアアースは約9割を中国に依存しており、戦略的に輸出規制に動いている中国への依存度を下げ、安定供給を確保する狙いがある。 経済産業省によると、ジスプロシウムの国内使用量は年間500〜600トン程度。従来の計画ではカザフからの供給量は20〜30トンの予定だったが、新たな鉱山開発が実現すれば約60トンに高まるという。 カザフではすでに住友商事や東芝が、カザフ政府関係企業である原子力公社カザトムプロムと共同でウラン鉱山などからレアアースを回収。新規開発するチタン鉱山から出る残土を精製し、レアアースを作る工場を6月にも稼働させる。 |
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