福島県側に3000億円余の交付方針伝える8月8日 18時44分
福島県内の除染で出た土などを保管する中間貯蔵施設を巡り、石原環境大臣は、8日、福島県の佐藤知事などと会談し、風評被害対策や原発事故からの復興などのため、総額3000億円余りの交付金を県や自治体に新たに交付する方針を伝え、建設の受け入れに理解を求めました。
政府は、東京電力福島第一原子力発電所の周辺の福島県双葉町と大熊町に中間貯蔵施設を整備する計画で、石原環境大臣と根本復興大臣が、郡山市を訪れ、佐藤知事や2つの町の町長と会談しました。
この中で、政府側は、地元が地域振興策として求めている交付金の規模を初めて提示し、総額3010億円を県や自治体などに新たに交付する方針を伝えました。
具体的には、双葉町と大熊町を中心に、中間貯蔵施設の整備に伴う風評被害対策など、幅広い事業に使える新たな交付金として1500億円を県と2つの町に一括交付するとしています。
また、中間貯蔵施設の整備だけでなく、原発事故の影響を受けた被災地をはじめ、福島県全域の復興のための事業に使える新たな交付金として1000億円を県に交付するとしています。
さらに、原発の立地自治体に交付されている交付金のうち、福島第一原発については、廃炉となることを考慮して、年間17億円を上乗せし、30年間で合わせて510億円増額して交付するとしています。
福島第一原発の立地に伴う交付金は、現在、交付されている67億円も30年間継続されるとしていて、今回、提示された新たな交付金と合わせると、総額で5000億円余りの規模となります。
石原大臣は会談で、「今後、県や2つの町の議会で国の方針を説明し、住民の皆さんの理解を得たい。それを踏まえたうえで判断をいただきたい」と述べ、改めて中間貯蔵施設の建設の受け入れに理解を求めました。
これに対し、佐藤知事は「国の新たな財政措置は、地元の意向を踏まえて検討していただいたものと受け止めている。きょう示された内容は今後、精査していきたい」と述べました。
これまでの協議で政府は地元の要望を受けて、建設用地を買い取って全面的に国有化する方針を改め、希望に応じて地権者に所有権を残したまま国が土地を利用する手法も取り入れるとする方針を示しています。
8日、地元が要望していた新たな交付金の規模が提示されたことで、今後、県と2つの町が中間貯蔵施設の建設の受け入れについてどのような判断を示すかが焦点となります。
復興大臣「使いみちは自由度高い」
会談のあと、根本復興大臣は交付金の使いみちについて、「地元の要望を受けて風評被害の対策や医療体制の拡充など、自由度の高いものだ」と述べ、地元に配慮した内容にしたことを強調しました。
環境大臣「最大限の数字を提示」
石原環境大臣は環境省が所管する1500億円の交付金について、「両町中心に双葉郡と県全体で考えたいという地元の話を受けて、最大限の数字を提示させていただいた。地元側はこれから精査したいという話だったので、今後要望に対応したい」と述べました。
福島県知事「町としっかり協議したい」
会談のあと佐藤知事は、今回提示された金額が今後の受け入れの判断にどう影響するかについて、「初めて金額が示されたばかりでさらに精査をして双葉・大熊両町ともしっかり協議をしたい」と述べるにとどめた一方で、「金額が提示されたことは前進だ」と述べました。
また今後の対応については、「県議会に対しては県から説明するが、国も説明する機会を持ってほしい。また、この財政措置がいつまで続くのかということが今後の課題だ」という見解を示しました。
大熊町長「検討の余地はまだある」
会談のあと大熊町の渡辺利綱町長は、「これまでの交渉の中で初めて交付金の規模が出てきたので、その点については評価するが、用地の補償額などは提示されておらず、検討の余地はまだある。住民や議会から再度の住民説明会を求める声があり、町としても説明会の開催を国に対して要望はしているが、最終的に判断するのは国であり町としてはきょう提示されたことを県や双葉町などと精査していく」と話しています。
双葉町長「総額初めて出たことは前進」
また双葉町の伊澤史朗町長は「交付金の総額が初めて出たことについては前進したと感じている。しかし、用地の補償についてはこれまでと同じ内容だったので地権者に誠意を持って対応してほしい。拙速に判断せず、県や議会とも中身を一つ一つ丁寧に検討していく」と話しています。
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