【ジュネーブ=原克彦】世界保健機関(WHO)は8日、アフリカ西部で死者が増加しているエボラ出血熱について開いた緊急委員会の結果、「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」との認識で一致したと発表した。感染が広がっている国に対しては緊急事態宣言を発するよう要請。原因不明の発熱などがないか、すべての出国者を検査するよう勧告した。
感染者が増えた国と国境を接する国は、原因不明の発熱や、発熱による死亡が集団的に起きていないかを調査すべきだとした。感染の疑いがあると確認された場合は、24時間以内に対応し、感染の拡大を防ぐよう求めた。
一方、それ以外の国・地域には渡航や貿易の制限はすべきでないと指摘。対象国への渡航者にリスク情報を提供するなど正しい情報を伝えるべきだとしている。
緊急委員会は感染症の専門家らが参加し、6~7日に開催した。記者会見したWHOのマーガレット・チャン事務局長は、感染が広がった国では「医師や看護師が不足し、防護服も十分にない」と指摘。「国際的な団結が必要だ。国際社会に早急に支援をさしのべるよう求める」と話した。
エボラ出血熱の感染を確認、または疑いがある死者が出たのはギニア、シエラレオネ、リベリア、ナイジェリアの4カ国。8月4日時点で死者は932人に達しており、エボラの感染では過去最悪の規模だ。支援活動に従事していた米国人やスペインの司祭も感染し、それぞれ帰国し治療を受けている。
WHO、エボラ