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コラム:期待通りに世界経済が回復しない理由

2014年 08月 8日 10:54 JST
 
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Edward Hadas

[ロンドン 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 国際通貨基金(IMF)はこのほど、今や年中行事と化した成長率見通しの下方修正を行った。世界の国内総生産(GDP)伸び率見通しが引き下げられるのは4年連続だ。

下方修正の幅はさほど大きくないとはいえ、成長率が一貫して失望を誘っていることに多くのエコノミストは居心地の悪さを感じている。

ラリー・サマーズ元米財務長官はこうした富裕国の問題に説明を与え、「長期停滞」と呼んでいる。彼の主張には複数の要素があるが、中心的な論点は、約20年間にわたって投資が不足しており、その原因は金利が高過ぎ、かつ政治家が十分な大きさの財政赤字を許してこなかったことに求められる、というものだ。

2008年の金融危機以来の年月に見られるように、金融バブルが存在しない時には常に成長率が痛ましいほど低かったという彼の示唆は、物議を醸している。

金融・財政政策に対するサマーズ氏の不満は度を越しているように見受けられる。危機の前、各国中央銀行は世界中にインフレを伴わない着実な成長をもたらしたと称賛を浴びていた。彼らの政策が厳しすぎたなら、そうはいかなかっただろう。しかも危機以降の多くの先進国の財政赤字は、GDP対比で見て平時として過去最大で推移してきた。不十分とはとても思えない。

期待通りに世界経済が回復しない理由としてもっと信じられそうな金融面の説明は、20年以上に及ぶ借金の膨張によりバランスシートがゆがんでいたことに原因を求めるものだ。この結果、家計、企業、政府の多くは金融的に圧迫された。負債をごっそりそぎ落とさない限り、これら主体の支出は抑制されたままだろう。負債削減の方法は償却、新たに生み出したマネーによる返済、あるいはインフレによる浸食などさまざまだ。

金融・財政政策に関するサマーズ氏の主張の正否に関わらず、こうした議論は危機後の成長率低下の主たる原因を覆い隠す恐れがある。主たる原因とは、良好な雇用が着実に減っていることだ。   続く...

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