日本貿易振興機構(ジェトロ)は7日、2013年の日本の対外直接投資が12年比10.4%増の1350億ドル(約13兆8000億円)と、5年ぶりに過去最高を更新したと発表した。中国向けは32.5%減の91億ドルとなったものの、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けが2.2倍の236億ドルに急増。日本企業が景気が減速する中国より東南アジアを進出先として重視していることが浮き彫りになった。
ジェトロがまとめた「世界貿易投資報告」の14年版に盛り込んだ。12年は中国向けがASEAN向けを上回っていた。今回、逆転して差が2.6倍まで広がった背景には、日中関係の悪化や中国での人件費上昇があるとみられる。
ASEANでは自動車工場の新増設など製造業の進出が相次いだ。三菱東京UFJ銀行によるタイのアユタヤ銀行買収も押し上げ要因となった。投資先の資産から得られる収益率も13年はASEANが中国を上回った。
ただ、ASEANでも人件費や不動産価格が上昇しており、「タイからベトナムやカンボジアなど周辺国へ進出するタイ・プラスワンの動きも見られる」(海外調査部)という。
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