東京レター
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【社会】対岸の花火 どこまで負担? 主催の調布「運営費協力を」2014年8月8日 13時54分
対岸の花火見物に応分の負担をお願いします−。多摩川河川敷で二十四日に花火大会を催す東京都調布市が、対岸の川崎市に運営費の負担を求めている。川崎市側の見物客の警備などに多額の出費を余儀なくされるからだ。狛江市も来年夏の大会で、川崎市の協力を模索する。しかし、川崎市は「運営は主催者責任が原則」として費用の支出は拒んでいる。 (竹島勇) 調布市の花火大会は今年で三十二回目。市の試算では昨夏の大会で約三十五万人が来場し、このうち川崎市多摩区側から見学した人が八万〜十万人に上る。 大会運営費に九千万円をかけたが、多摩区側に配置した警備員の委託費や仮設トイレ設置費、ごみ収集費などに一千万円近くかかった。市職員約四十人も多摩区側で見物客の誘導にあたった。 運営費は調布市の予算のほか、企業の協賛金などを充てている。市産業振興課の田波利明課長は「財政は厳しくなるが見学者の安全徹底を求める警察からの要請は強くなっている。川崎市に協力をお願いしないとたちゆかない」とこぼす。 川崎市は例年、消防署員を出動させているほか、今年から警備用備品の貸与や交通規制情報の周知などで協力を約束した。だが「費用負担はできない」と調布市に回答した。 一方、狛江市は来年夏、五年ぶりに大会を復活する計画だ。市が二〇一一年にまとめた前回大会の報告書によると、見学者十万三千人のうち、川崎側は三万六千人と試算。「川崎側市民の享受した利益は大きく、経済効果もかなりあったものと推察される」とし、川崎側の企画参加や協賛金集めへの協力など「相応の負担」の必要性を指摘していた。 狛江市の高橋都彦(くにひこ)市長は今年二月、川崎市との共同開催構想を提案したが「現時点では難しい」と断られた。高橋市長は「費用負担まで求める考えはないが、地域の団体を紹介してもらうなど何らかの協力をお願いしていく」と話した。 対岸の花火で、交通規制や花火の音を迷惑に思う川崎市民がいるのも事実。川崎市の小松宏吉・多摩区副区長は「主催者責任を果たしてもらうのが川崎市の方針であり、費用負担や職員の派遣はできない。区民に関係する範囲で協力したい」と話している。 ◆川崎、世田谷とは分担 川崎市としては、既に自前の花火大会を多摩川対岸の世田谷区と分担しながら例年同じ日に開催しているという事情がある。今年は今月二十三日に川崎市が下流側、世田谷区が上流側で開催する。東急田園都市線の鉄橋を境に、上流部の両岸を世田谷区が、下流部の両岸を川崎市が担当し、警備やごみ収集を別個に行うルールが確立している。 首都圏では、花火大会が川を挟んで同日開催される場合、双方の自治体が協力して効率的に運営するケースはほかにもある。東京都板橋区と埼玉県戸田市は今月二日に荒川で「いたばし花火大会」と「戸田橋花火大会」をそれぞれ開催。打ち上げ場所は異なるが、板橋区は区側を、対岸は戸田市が担当した。 同じ二日には江戸川河川敷で、東京都江戸川区の「江戸川区花火大会」と、千葉県市川市の「市川市民納涼花火大会」が開かれた。大会としては別だが、江戸川区側河川敷の同じ場所で同時に行われた。花火費用を分担し、警備なども区と市がそれぞれ持ち場のエリアを担当している。 (東京新聞) PR情報
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