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断てるか兵器密輸ルート 「正恩氏の工作機関」は外貨稼ぐ生命線

産経新聞 8月8日(金)7時55分配信

 兵器密輸などに絡む秘密資金ルートは北朝鮮の“生命線”とされ、国際社会が制裁を強めながら、決定打に欠け、工作機関の暗躍を許してきた。日朝合意に基づく拉致被害者らの調査が進む中、日本政府の対応も注目される。

 北朝鮮は今年3月以降、短距離弾道ミサイルやロケット弾発射を十数回にわたって繰り返し、国営メディアで金正恩第1書記が指揮する様子も報じてきた。韓国の専門家は「中東諸国やテロ組織に技術力を売り込む“ショー”だ」との見方を示す。

 米下院本会議は7月末、北朝鮮の大量破壊兵器拡散やマネーロンダリングに関わった外国の銀行を対象に金融制裁を強化する超党派の法案を可決した。ロイス外交委員長(共和党)は、外貨源という「金正恩体制の最弱点を狙った」と強調した。

 相次ぐ北朝鮮のミサイル発射や核実験を受け、国連や欧米は制裁を強めてきた。特に米政府は2010年8月、兵器密輸などに関わったとして、北朝鮮最大の工作機関「偵察総局」トップや傘下企業を標的にした経済制裁を発動した。同年3月の韓国哨戒艦撃沈事件の関与も理由とされた。

 偵察総局は、金正恩氏後継体制を見越して09年2月に朝鮮人民軍偵察局や朝鮮労働党作戦部など工作機関を統合して創設された、いわば「正恩氏のための工作機関」だ。哨戒艦撃沈など武力行使も辞さないが、5千人以上とされるIT専門要員の大半が所属するサイバー部隊も擁する。金第1書記が「サイバー戦は万能の宝剣だ」と鼓舞したとされ、韓国政府は、金融機関やメディアが度々見舞われるハッカー攻撃は同部隊の犯行だと分析している。

 対北情報筋によると、サイバー攻撃と並び、IT技術を駆使した外貨稼ぎも最大の任務だという。10年の米制裁に対抗し、部隊が開発したのが、FXを隠れみのに資金洗浄を行う特殊ソフトだったとされる。「この手口により米制裁の実質的打撃をほとんど受けなかった」(情報筋)という。

 秘密資金の流れは、外国為替市場という“海”に沈み、追跡がほぼ不可能になるが、今回の摘発は対北制裁の抜け道をふさぐ鍵につながる可能性がある。 (宝田良平、桜井紀雄)

最終更新:8月8日(金)14時12分

産経新聞

 

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