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■大団地、30年後の湾岸映す

 東京湾岸にタワーマンションが並ぶ東京・豊洲(とよす)地区。夕方、保育施設の前は子どもを迎えに来た親でごった返す。ITコンサルタントの浅見純一郎さん(39)も仕事を切り上げ、5歳の次女を迎えに来た。

 浅見さんは埼玉出身。千葉・浦安に一時住んだが、「子どもと長く過ごしたい」と6年前、30分以内で通勤できる52階建てのマンションに越してきた。

 高層住宅の建設ラッシュで、豊洲の人口は10万7千人と10年前の1・8倍に増えた。東京五輪の会場予定地にも近く、他の地域から人を集めて膨らんでいる。

 浅見さんの10歳の長女が通う江東区立豊洲北小の児童数は1168人。都内一のマンモス公立小だ。春の運動会では、校庭に入りきらない親が校舎の窓から声援を送る。校庭の一角には3棟目の校舎を建設中だ。

 豊洲から北西へ約20キロ。中高層の集合住宅が64棟ひしめくように立つ東京都板橋区の高島平団地がある。29年前、この団地の人口構成は、現在の豊洲にそっくりだった。

 かつて子どもの遊ぶ声が響いた校庭は昼間でもがらんとしている。住民の陳情で建った高島第七小は2007年、開校28年で閉校になった。

 1970年代、「東洋一の巨大団地」と呼ばれた高島平は、中流層が一気に流入し、満杯の小学校は校庭にプレハブ校舎を建ててしのいだ。幼稚園に入る抽選には長蛇の列ができた。だが、この30年で地域の人口は3分の2に減り、4割弱が65歳以上だ。