米NPO:「省エネ大国、日本」もはや幻想 中国より下位
毎日新聞 2014年08月08日 09時42分(最終更新 08月08日 10時47分)
日本のエネルギー政策は主要国で第6位−−。こんな評価を、非営利組織(NPO)「米国エネルギー効率経済協議会」が7月、公表した。石油ショック時に日本の省エネは大きく前進したが、その後の努力は不十分との専門家の指摘もある。各国の政策評価から、日本が学ぶべき環境保全と経済成長の両方に有効な政策をみた。
同協議会は1980年に設立され、ワシントンに本部を置く。環境配慮型の建物や車、産業の普及を目指し、各国のエネルギー事情や政策などを分析している。今回の調査は2012年に続いて2回目で、世界の国内総生産(GDP)の約8割を占める16カ国・地域を対象に、建物や車、産業での省エネ政策や導入率など31項目を評価し、100点満点で点数化した。
◇米NPOが政策など分析、主要国中6位に後退
日本は英国と並ぶ6位で、前回の4位(対象は12カ国・地域)より下がった。火力での発電効率は最も優れているほか、エコカーの開発などで世界をリードしていると評価する一方、商業ビルでの面積当たりの消費エネルギーが多く、コージェネレーション(熱電併給)システムの普及も不十分と分析。「日本は省エネ分野で長くトップを走ってきたが、脱落している」とした。
最も高い評価を得たのはドイツだ。政府は、08年に比べてエネルギー消費量を20年までに20%、50年までに50%削減する目標を掲げている。また、商業ビルや住宅に省エネ型設備の導入を加速させているほか、コージェネレーションシステムで得ている電力量を、現在の13%から20年までに25%に引き上げる政策を打ち出している。
4位には中国が入った。マンションの面積当たりの消費エネルギーが最も優れていたほか、20年までに電気自動車とプラグインハイブリッド車の販売台数を500万台に引き上げる政策などが好印象となった。ただし、エネルギー効率改善のための研究開発は「まだ不十分」とした。
世界最大の二酸化炭素排出国の中国が日本より上位に入ったことについて、分析をまとめたレイチェル・ヤングさんは「中国は、オフィス、住宅とも建物の省エネ化が進み、結果として上位に入った。日本は政策・技術ともに優れているが、改善率は他国の方が加速している」と述べた。