日本ワイン:自民、法整備を検討 新たなクールジャパンに

毎日新聞 2014年08月08日 08時00分(最終更新 08月08日 12時07分)

 自国のワインの品質を政府が保証する新法「ワイン法」(仮称)の制定に向けた準備が自民党内で進んでいる。ワインの製法や原料を細かく規定することでブランド力を高め、国際競争力を向上させるのが狙いだ。これまで、日本にはワインを定義する法的な枠組みが存在せず、国際市場で日本のワインは「低質なワイン」と見られてきた。自民党は来年の通常国会でワイン法案を議員立法で成立させ、海外での普及促進につなげたい考えだ。

 日本の酒税法はワインを「果実酒」と規定している。ブドウ以外の果実を使った「ワイン」を販売しても違法ではなく、輸入ブドウが原料でも国内で醸造すれば「国産ワイン」となる。このため、国内産のワインのうち国産ブドウを使ったものは6%程度にすぎず、9割超は外国産のブドウを輸入して日本で醸造しているのが現実だ。2013年には約20万リットルの「ワイン」を輸出したが、ブドウを原料としたもの以外も混じっており、法の不備から正確な統計すら得られない。

 ワイン愛好家の間では原料となるブドウの品種や産地にこだわる人が多く、「日本のワインは定義があいまいで信用できない」との不満の声が多かった。こうした現状が災いし、「日本の一部ワインは高評価を得ているのに、世界市場でのシェアはごくわずか」(輸入業者)にとどまっている。

 一方、欧州の主要なワイン生産国のほか、米国やチリ、アルゼンチンなど新興ワイン生産国にも、ブドウの品種や原産地、醸造方法などを規定するワイン法がある。基準を満たさなければその地のワインを名乗ることはできず、フランスの名産地「ボルドー」や「ブルゴーニュ」などのワインはいわば「国家の品質保証」を受けている形で、愛好家に長く親しまれてきた。

 日本でもワインのブランド力を高めようと、日本ワイナリー協会などが表示に関する自主基準を設けている。ただ、法的な拘束力がなく、「ブランド力の強化には至っていない」(自民党議員)。

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