全日空の割引商品「旅割75」で購入した航空券のキャンセル料は高すぎで無効として、佐賀市の弁護士が全日空を相手取り、キャンセル料の全額8190円の返還を求めて、佐賀地裁に提訴、7日に会見した。

 訴状などによると、富永洋一弁護士は4月17日、羽田発佐賀行きの7月31日の航空券を、搭乗日75日前までなら大幅な割引価格で購入できる「旅割75」を利用し、片道の通常運賃4万3890円のところを1万3290円で購入した。

 しかし、便を変更する必要が生じ、搭乗日62日前の5月30日にキャンセルしたところ、8190円のキャンセル料がかかった。

 「旅割75」では「搭乗日の74日前以降のキャンセルは運賃の約63%の取り消し手数料がかかる」と規定しているが、富永弁護士は、消費者契約法9条では「契約の解除で事業者に生じる平均的な損害額を超える違約金」は無効であるとしていることを根拠に、「少なくとも搭乗日の60日前までであれば代わりの乗客を容易に確保でき、全日空には損害が生じず、キャンセル料はいらないはずだ」と主張している。

 富永弁護士は、国交省が定める旅行業約款では、国内旅行の場合、旅行業者が求めることができるキャンセル料は、旅行開始前日の20日前は旅行代金の20%以内などと定めていることから「全日空のキャンセル料は常軌を逸している」と話している。

 全日空は「係争中のためコメントは差し控える」としている。「旅割75」はLCC(格安航空会社)との価格競争の激化を背景に、今年1月に発売を始めた。(松川希実)