|
いろいろなものを接写していくうちに面白いことに気がつきました
いちおう写真を撮ることを生業にしているが、接写というものはやったことがなかった。小さいものやものの表面を拡大して撮ることだ。団地や工場の写真で手一杯だったし、接写ってすごくたいへんだと聞いていたから、手を出さなかったのだ。
しかしなんでも経験だ。やってみよう。 で、やってみたら、面白いことに気がついたよ。 > 個人サイト 住宅都市整理公団 これらをなんてことなく食べてるかと思うと不思議な気分なんで接写なんてやってみる気になったか、自分でもわからなかったが、今この文章書いてて思ったのは、昨年あたりからいよいよぼくも老眼が始まったので、近くのものをちゃんと見てみたくなった、ということなのかもしれない。悲しい。
ともあれ、以下はすごく不勉強なままてきとうなやり方で試行錯誤している顛末なので、接写に詳しい方が読んだら「ったくなにやってんだよ」と舌打ちのひとつもしたくなるような内容だと思います。たぶんイライラするだけだと思うので接写のプロの方は読まないほうがいいです。 と、言い訳をしておこう。 いやー、なんせ天体と接写はもともとうるさがたの多い写真界の中でも輪をかけて職人気質の分野なので怖いんだよね。それも今までぼくが手を出さなかった理由だ。おそるおそるやってみる。 まずどんな感じのものが撮れるのかを見て頂こう。 千円札の野口英世さんの目。マンガ「NARUTO」の登場人物のような渦巻きの瞳。
「接写」で検索するとお札の写真いっぱい出てくる。接写しがいがあり、かつ撮りやすい対象だからなんだな、と今回自分でやってみてよく分かった。どういうことかは後述。
それにしてもこんな目をしていたのね、英世。 ちなみにどれぐらいの倍率かというと、この定規の目盛りを撮ってみると…
こんなふうに写る。5mm強が36mmのセンサーいっぱいに写るので、このレンズはだいたい7倍ということだ。いまこの記事をiPhoneで見ている方は、画像の横幅が42mmぐらいなので、8.4倍の大きさで見ていることになる。
さて、これは何でしょうか。(倍率は上と同じ。以下同様)
プチトマトの断面です。
あと接写写真の作例では野菜や果物もよく登場する。これもやってみると撮り甲斐があるんだよなー。なるほどなー。
こちらも食べ物です。
しめじ。かさの際のところを撮ると、上のように。
これも食べ物だけど、この部分は食べない。
ハマグリでした。いい模様してるよねえ、こうやってみると。
おもしろい。こんなディテールをもったものをしれっと食べてるかと思うと不思議な気分だ。
あと思ったのは、人間の秘部を接写して公開したらどうなるのか、ということ。皮膚の拡大にしか見えないので、解説入れなければ何の写真か分からないだろう。7倍という倍率は法律の解像度を越えるのだ。たぶん。 ともあれでもまあ、こういう画像ってもうあんまり珍しくはないので(秘部はおいといて)、とくに驚きはないと思う。撮るのたいへんだったんだけどなー。 せっかくなので、どうやって撮ったかを見て頂こう。 レンズって逆にしていいんだ!接写撮影の方法にはいくつか種類がある。いちばん簡単なのは接写専用のデジカメを使うことだ。1万円ちょっとで買える。いい時代になった。
だけど、ちゃんとしたクオリティで撮りたいとなるとかなりやっかいになってくる。顕微鏡に一眼のカメラを取り付けるとか。 ぼくの場合は何百倍もの倍率で見たいわけではないし、そんなにお金かけたくないので、そこそこの接写方法をとった。 なんとレンズを逆に付けるのだ! 20mm以下の短焦点(広角)のレンズを使います。
「リバース・アダプター」などと呼ばれるこういうものがありまして(今回初めて買った)。
これをレンズの対物側につけると…
なんと逆向きに付けることができるのだ!
なんか内臓がむき出しになっているようなやばい感じ。
広角のレンズを逆向きに付けると超接写ができるのだ。なぜそうなるのかの説明はややこしいので割愛。
ぼくがおもしろいなあと思うのは、そのためのアダプターを公式にカメラメーカーがつくっているという点。邪道なやり方だと思ったらそうじゃないってことなんだね。 向かい合わせでカメラつないだらおもしろいかも、と思ったけどなんか壊しそうなのでやめた。
さあ、これで接写ができるぞ、と意気込むわけですが、ここから先がたいへんなのだ。
|
|
▲デイリーポータルZトップへ |