ストラトフォアによると東ウクライナのドネツクとルハンスクに追い詰められた親ロシア分離主義者の部隊は、シベリア出身のロシア人将校、ウラジミール・アンティユフェイエフ暫定司令官によって指揮されているそうです。

これまで親ロシア分離主義者を指揮してきたアレクサンダー・ボロダイはモスクワに呼びつけられ、そこで司令官の地位を解かれた模様です。

ボロダイの後任に、ボロダイの直属の部下でドネツク出身のアンドレイ・パーギンが抜擢されず、モスクワの指示でロシア人が座ったことは、新ロシア分離主義者の苦しい実情をうかがわせます。

まず親ロシア分離主義者はかれらの地元であるドネツクやルハンスクの市民から余り支持されていません。人気が無いので、「銃を取れ」という呼びかけに対しても応じる市民が少なく、新ロシア分離主義者はリクルートに苦心しています。

そうするうちにもドネツクとルハンスクという、最後の砦に対するウクライナ政府軍の包囲は迫っており、ウクライナ政府軍は、ここで親ロシア分離主義者を徹底的に叩き、反対勢力を根絶しようとしているのです。

親ロシア分離主義者はロシアから流入してくる義勇軍に次第に依存するようになっています。義勇軍を構成するのは1990年代にチェチェンなどで活躍した、40代から60代の熟年職業軍人であり、新ロシア分離主義者の軍隊が若者で構成されているのと対照的です。

ロシアは、当初この熟練戦争請負人たちを要所要所に配置するというカタチで親ロシア分離主義者を支援してきました。しかし親ロシア分離主義者は戦場での火事場泥棒的略奪など、軍紀の乱れがあり、地元民から鼻つまみ者扱いされています。そこでロシアは劣勢の親ロシア分離主義者を立て直すにはもっと組織力を高める必要があると判断し、トップを挿げ替えたというわけです。