(cache) 月刊 現代農業2014年5月号 タマネギに感涙
月刊 現代農業
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●巻頭特集 タマネギに感涙

巻頭写真

野菜の品目別・年間一人当たり購入量ランキング第2位。
日頃、お世話になっているタマネギは、
こんなにもおいしくて、
身体によくて、
おもしろい野菜だった。

「たらふく食べる」コーナーより

タマネギ農家おすすめ
タマネギが主役のレシピ

兵庫・浅田美奈子

そのおいしさに魅了された

 脱サラして大阪から淡路島に移住、農業を始めて3年目の新米農家です。 

 淡路島といえばタマネギ! 健康野菜としても最近注目されていますが、淡路島でタマネギをつくるようになり、そのおいしさにも魅了されています。会社員時代は毎日の調理が面倒で、今とは比べられないくらいの量しか食べていませんでした。今では、簡単でしかもタマネギのおいしさを活かしたタマネギ主役の食べ方を、日々考えながら調理しています。

筆者(左)と、主人の佳男。面積は約1ha
筆者(左)と、主人の佳男。面積は約1ha

まるごと&タマネギだけ料理

 その極め付きは、やはり、まるごとタマネギ料理やタマネギだけのシンプル料理です。

▼まるごと蒸すだけ

 じつは私がタマネギのおいしさに出会ったのは、移住前に旅行で訪ねた淡路島の直売所で、地元の農家と思われるおじいさんから、「ラップでレンジしてポン酢で食べるとおいしい」と教えていただいたのが最初でした。淡路島タマネギの甘みとポン酢がよく合い、気がつくとタマネギ大好き農家になっていました。

 まるごと料理は時間がかかりますが、切り目を入れてレンジだと数分です。小さめのタマネギがあればぜひ「まるごと蒸し」を。オーブンに入れるときは皮つきのまま入れ、皮が焦げるくらいじっくりと30分以上焼くと、中が蒸されてトロトロになります。

30分ほど蒸し器で蒸して、ポン酢、ゴマ油、七味唐辛子をパラッとかけたもの

まるごと蒸しタマネギ

30分ほど蒸し器で蒸して、ポン酢、ゴマ油、七味唐辛子をパラッとかけたもの

▼まるごと焼くだけ

 タマネギを1cmくらいの厚みにスライスして中火でじっくり火を通すと、お肉に負けないくらいおいしいステーキになります。オリーブオイルと塩コショウ、粉チーズをかけるとワインにぴったりです。

▼揚げると甘みは最高潮に

 タマネギは油と相性がよく、揚げるとタマネギの甘みは最高潮に!

 超スピード料理「タマネギの1分かき揚げ」は、タマネギスライスに小麦粉を振り入れ、くっつく程度の水を入れます。180度の油へ落として、途中裏返して約1分でできます。うどんにのせてもおいしいです。

▼まるごと煮こむ

 淡路島は夏のハモが特産で、名物の「ハモすき」ではスライスしたタマネギをたっぷり入れます。一方、私はおでんに小さめのタマネギをまるごと入れてみました。ポトフのように最初から入れて煮込んだところ、和風だしとも合い、とてもおいしい出汁になりました。

新タマネギなら、ダブルオニオンサラダ

 新タマネギの時期に作りたいサラダを紹介しましょう。

 当園ではネット販売もしていますが、新タマネギの人気は高く、その時期が終わってからもたくさん問い合わせをいただき、2人ともびっくりしました。4月から出荷していますが、年が明けると早くも予約が入るほどです。

 苦みが少なくてみずみずしい新タマネギの食べ方といえば、「オニオンスライス」が王道です。たっぷりの鰹節とポン酢で食べます。酢がタマネギの苦みをまろやかにして甘みと旨みを引き出してくれます。そして、旬の食材と合わせるとボリュームのあるサラダができます。オリジナルのタマネギドレッシングをかけるとダブルオニオンサラダになります。

 毎日少しずつでもタマネギを食べるには、タマネギのスライスを酢に漬けこんだ「酢タマネギ」を作っておくと重宝します。酢のもの、サラダ、マリネなどに酢ごと使います。

レタスのダブルオニオンサラダ

レタスのダブルオニオンサラダ

すりおろしたタマネギ1個、酢とサラダ油をそれぞれ1カップ、醤油とみりんをそれぞれ2/3カップ、塩小さじ1、砂糖大さじ1を混ぜ合わせ、タマネギドレッシングを作る。レタスとオニオンスライスにかけるとダブルオニオンサラダ。さらにフライドオニオンをのせるとトリプルサラダに

たくさん使いたいなら、豚肉ミンチとのトロトロ炒め

 普段のメイン料理にもタマネギはよく使いますが、私はどうやったらタマネギをたくさん使えるかを考えて工夫しています。

 例えば、「豚肉の生姜焼き」では、先にタマネギを中火で炒めてしんなりさせてからいったん取り出し、炒めた豚肉と最後に合わせます。こうすると2人でタマネギ1個は軽く食べられます。

豚肉ミンチとタマネギのトロトロ炒め

豚肉ミンチとタマネギのトロトロ炒め

豚肉ミンチとショウガのみじん切りを、ミンチの水分が抜けてパチパチと音がするまで炒める。串切りにしたタマネギを加えて軽く炒める。醤油とみりんを同量(タマネギ1個で大さじ各1〜1.5ほど)入れ、中火で汁気がなくなるまで炒め煮する。こうすると、タマネギがトロトロしてきて、ミンチとよくからみ合う

 また、「ハンバーグ」にも2人分で1個使います。つなぎのパン粉と片栗粉を多めに入れたハンバーグのタネをこねた後に、みじん切りのタマネギを炒めずに入れます。中火でじわじわ焼くとタマネギの甘みがたっぷり。炒めずに入れるので歯応えもしっかりあり、タマネギの存在感がスゴイです。

 おすすめは「豚肉ミンチとタマネギのトロトロ炒め」。中火で炒めていると、つなぎもないのにトロトロしてきてご飯にぴったり!

朝はオニオントースト

 タマネギが少し余ったときは(わが家ではまず余ることはないので、わざわざ切りますが)、スライスしてタッパーに入れておけば数日持ちます。味噌汁に入れる他、「オニオントースト」はうちの主人のお気に入りです。タマネギをたっぷり使うのがポイントです。

オニオントースト

オニオントースト

食パンにオリーブオイルを塗り、スライスしたタマネギをたっぷりのせる。塩コショウ(あればハーブソルト)をかけ、さらにオリーブオイルを少々かける。ピザ用チーズをのせてトースターで焼く。火を通すとボリュームがなくなるので、タマネギはたっぷりのせたほうがおいしい。しかもスライサーではなく、包丁で切ったほうが歯応えがあって好き

 タマネギは和洋中と万能。出汁もとれて主役にもなれて生活習慣病予防の味方と、いいことずくめの野菜だと思います。タマネギの魅力を伝えつつ、おいしいタマネギづくりに励んでいきたいと思っています。

(淡路島あさだ農園 兵庫県南あわじ市)

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2014年5月号
この記事の掲載号
現代農業 2014年5月号

特集:タマネギに感涙
疎植で増収/誘引と仕立てでガラリッ/ラクラク受粉で着果よし/育苗ハウスや転作田でキイチゴ/飼料米 牛にどこまで食わせられる?/カルチを制する者、草を制する/父ちゃんたちのイモづくりが熱い/オレ達の販路開拓 ほか。[本を詳しく見る]

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