焦点:エボラが奪う西アフリカの「生命力」、内戦からの復興に打撃
[モンロビア/ダカール 6日 ロイター] - 貧困、内戦、そして今度は死に至る伝染病───。国連の人間開発指数などで下位に位置し、世界最貧国グループに属するシエラレオネ、リベリア、ギニアは、今回のエボラ出血熱が流行する前は、悲惨な内戦の影から抜け出し、アフリカの経済成長に乗る兆しを見せていた。
死者数900人以上と過去最悪の感染規模となったエボラ熱は、資源に依存する西アフリカ3カ国の経済に打撃を与えている。
当局者らによれば、エボラ流行は地域の旅行業を直撃するのみならず、人や物の往来が減り、農業と鉱業も停滞を余儀なくされ、海外からの投資拡大に支えられていた国内総生産(GDP)の伸びにもボディブローのように効き始めているという。
世界銀行でアフリカ地域総局の副総裁を務めるマクタール・ディオップ氏は「これら3カ国に共通する特徴は、いずれもぜい弱な国家ということだ」と指摘。「つまり、通常時でも国際社会からのサポートを必要としており、今回の危機で一段と追い込まれている」と語った。
リベリアのアマラ・コネー財務相はロイターに対し、エボラ熱はすでに、4─6月の同国経済に1200万ドル(約12億円)の打撃を与えたと説明。国家予算の2%に相当する経済損失であり、従来5.9%としていたGDP伸び率予想を下方修正せざるを得ないと述べた。
同相は「われわれは今回の危機対応に奔走している。もし封じ込めができなければ、国家経済に深刻な影響をもたらす」と危機感を募らせる。
1989─2003年の内戦の傷跡がまだ残るリベリアの首都モンロビアでは、エボラ感染者の遺族らが政府当局の指示を無視し、遺体を路上に放置する問題も持ち上がっている。
一方、シエラレオネのサムラ・カマラ外相は、エボラ対策に回せる予算はほとんどないと厳しい財政状況を吐露。ワシントンを訪問中の同相はロイターの取材に「資源やエネルギーを(エボラ対策に)回さなくてはならない。降ってわいた病気と闘うために、経済発展の他の側面が犠牲になっている」と語った。 続く...