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 美しい太陽が昇るポナペ島(現ポンペイ島)。1944(昭和19)年2月、島に戦火が近づき、少年のくらしは一変する――日本統治下の南洋諸島での爆撃や沖縄での地上戦をくぐり抜けた語り部の体験を元にした漫画が生まれた。戦争の記憶が薄れる中、語り部たちのわかりやすく後世に伝えるための努力が続く。

 漫画の元になった「戦場の小さな証人」と題された物語の少年は、上江洲(うえず)清さん(75)=兵庫県尼崎市。39年に南洋諸島で生まれ、引き揚げ船が空襲で沈没。漂着したトラック諸島で爆発によって負傷し、そして帰り着いた沖縄で地上戦を経験した。滋賀に住んでいた10年前から大阪や京都など関西各地での語り部活動を始めた。2012年10月には、「より多くの人に知ってもらいたい」との思いでB6判、約100ページの物語を書いた。

 同じく大阪府内各地の小中学校などで戦争について語る活動をしていた竹村健一さん(77)=堺市西区=が知人の仲介で上江洲さんを知り、物語のイラスト化を申し出た。およそ1年かけて完成。今月末には初めて、大阪市内で漫画を使った上江洲さんの講演を試みる。