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田中均の「世界を見る眼」

直面する「2015年問題」を前に考えよう
日米関係は大丈夫か?

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第35回】 2014年8月7日
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靖国や対中政策に見る米国からの注文
日本外交の基本となる日米関係への懸念

 日本の対外関係の中で、将来に向けて最も懸念すべきは、実は対米関係ではないかという危惧を持つ。困難な状況にある対中、対韓関係ではなく、対米関係を最も懸念するというのは、奇異に響くかもしれない。

 尖閣諸島問題で象徴的に見られるように、尖閣が安保条約の対象であるとして米国がその防衛義務を明確にしたことが、中国との関係で日本の大きな助けとなったことに如実に示される通り、日米関係が強固であることは日本外交の基本である。

 ところが、たとえば昨年12月に安倍首相が靖国神社参拝をした後、米国政府は間髪を入れずに「失望した」という声明を出したが、公に同盟国の首相を批判するのは異例であった。

 また、尖閣諸島の問題では、日米安保条約の対象であることを明確にしつつも、米国は現在の日本の対中政策を明確に支持するわけではなく、中国を過度に刺激すべきではない旨を、様々な場面で指摘してきている。米国のメディア、特にニューヨークタイムズのようなリベラル紙は、その社説で繰り返し日本を批判的に論説してきている。

 日本は米国が民主党政権より共和党政権である方が、日米関係にとって好ましいと考えているという議論や、リベラルなオバマ民主党政権と保守的な安倍政権とは相容れない面が多いという議論があるが、このような議論が的確だとは思えない。

 何故ならば、クリントン民主党政権期の1996年、97年にかけて米軍普天間基地の返還や日米安保共同宣言、日米防衛協力のガイドライン策定といった、日本の安全保障にとって極めて重要な課題について大きな前進が図られたように、歴代の米国民主党政権と日本の自民党政権は、順調に日米関係をマネージしてきた。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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