「ハイスコアガール」でスクウェアエニックスが著作権侵害で家宅捜索を受ける、この事態を予言していた人も

南無エニ子。

また変なパターンを・・・。

スクウェアエニックスが家宅捜索を受けたというニュースがありましたね。

スクウェアエニックス側から次のようなプレスリリースが出ています。

『当社が発行する出版物の一部内容について、著作権法違反の疑いがあるとして、2014年8月5日に、警察当局による家宅捜索を受けました。 』(スクウェアエニックス オフィシャルサイトより)

いったい、どういう出版物なのでしょう?

今回、刑事告訴をしたのはSNKプレイモアです。「キングオブファイターズ」シリーズや「餓狼伝説」シリーズなどで有名ですね。

同じくプレスリリースが出ていますので紹介します。

『株式会社スクウェア・エニックスは、当社の許諾を受けることなく、当社が著作権を有する多数のゲームプログラムのキャラクターを複製使用した漫画「ハイスコアガール(著者:押切蓮介氏)」を出版し、当社の著作権を侵害しました。当社は、重大な違法行為を厳重抗議すべく、株式会社スクウェア・エニックスに対し、「ハイスコアガール」の電子書籍、単行本、月刊誌その他の販売の即時停止を再三申入れましたが、なんら誠意ある対応がなされませんでした。

当社としましては、本来、著作権等の権利を守り、その侵害に厳格に対処すべき大手上場企業のグループ会社による極めて悪質な本件行為を看過するわけには参りません。そこで、当社は、やむを得ず、株式会社スクウェア・エニックス及び同社出版部門の関係者を、著作権法第119条第1項により刑事告訴した次第です。』(SNKプレイモア オフィシャルサイトより)

「ハイスコアガール」という漫画に対しての刑事告訴というわけですね。

amazon.co.jpでは書籍版は品切れになりました。

絶版の可能性もありますので、やはり買う人が増えていると思われます。

絶版の可能性もありますので、やはり買う人が増えていると思われます。電子書籍版はまだ購入可能です。

これはどういった漫画なのでしょうか?

読んでいないから知らないが、帯の説明を見る限りでは1990年代の業務用ゲームも絡めた内容なのだろう。

で、その際に漫画にゲームキャラクターを載せて、それに対してSNKプレイモアが問題視したわけですな。

すでに5巻まで発売されているのにいまさらな気がしますが・・・。

報道では、アニメ化するに際し、アニメ制作会社がSNKプレイモアに権利はどうなっているかを訪ね、それでSNKプレイモアが無断使用されていることに気が付いたという話です。

去年の夏あたりに問題が発覚し、対応を求めたものの、対応されなかったことにより、今年5月に告訴し、8月の今、家宅捜索を受けたという流れになっています。

かなり告訴まで猶予はあったわけだね。

出版停止などを求めたものの、スクウェアエニックス側はアニメ化も決まっているのでそういった対応をしたくなかった、というのが問題の要因なのだろう。

即座に対応していれば犯罪企業というレッテルを張られずに済んだのに。

何やってんだか。

スクウェアエニックスの著作権絡みの問題はドラゴンクエスト10でもありましたね。

ケーキの画像を無断で加工し、利用した件がありましたね。

2月17日『DQ10、サラリーマン化した絵描きの起こした問題をさまざまな角度で見る』で取り上げました。

ドラゴンクエスト10に関しては最近でも衣装をネット画像から流用したのでは、という話も出ているし。

「とこなつチャイナ」ですね。

これは公開時には「とこなつハッピ」と名称を変えて、見た目は同じものが登場しています。

名称を変えればいいとかいう問題でもないんだけどね。

こちらに関しては権利がどうこういうつもりはないが、何でもかんでも安易にパクろうとする姿勢を問題視しておきたい。

話を戻しますが、今回のハイスコアガールの件はどうなのでしょうか?

中にはこれくらいいいのでは、と存続を望む声もあるようですが。

良いか悪いかは権利者が決めることであって、外野が言うことではない。

そして、権利者がダメだって意思表示をしているのだから、駄目だろ。

SNKプレイモアも宣伝になっていいんじゃないか、という人もいるが、それもSNKプレイモアが決めることであって、外野が言うことでも著者やスクウェアエニックスが考えることでもない。

もし、これらの画像が一部の当時の様子を描くだけで使われたのであれば、引用の範囲内と言えなくもないが、単行本5巻くらいで100点以上のSNKプレイモアの著作物が載っているという話もある。

さすがにこの数は異常だよ。

明らかに人の著作物で商売していると言える。

巻末に著作権表記のコピーライト表示があったという話もありますが、これで問題は解決しませんか?

コピーライト表示で勘違いしている人がいるけど、コピーライト表示は、権利者を表示するだけの話なので、これを付ければ勝手に人の著作物を使っていいというわけではない。

また、もう一つ勘違いしている人もいるのだが、このコピーライト表示があるからといって、権利者から使用権を得た、ということでもない。

あくまでも誰の権利かという表記にすぎないので、この点は間違えないように。

今回の件で、コピーライト表示があるので、この漫画は意図して権利者から権利を受けているように思わせているのでは、という考えを持つ人がいたようだが、そもそもそんな効果はない。

よく、ウェブサイトの下にコピーライト表示がありますが、あれはどう捉えればいいのですか?

あれはあってもなくても関係ないよ。

著作権は作られた時点で発生するから。

ウェブサイトの下に書いてあるのは、そういう風潮が生まれたから書いているだけであって、あれがあってもなくても勝手に人のサイトの文章をコピペしたりしたら駄目なわけだ。

転載するなら許諾が必要だし、引用するなら引用ルールに沿って行う必要がある。

ゲームを取り上げた漫画は他にも多々ありますが、他の漫画はどうなっているのでしょうか?

物にもよるかと。

もともと許諾を受けているものもあるだろう。コミカライズなどは許諾を事前に受けているタイプのものと言える。

あと、テーマとしてゲーム画面が必要なものの場合は、その時に許諾を得るというのもある。

例えば「東京トイボックス」や続編の「大東京トイボックス」では旧ナムコの「ドルアーガの塔」や「ゼビウス」の画像を利用しているが、その場所には「ドルアーガの塔」では「掲載協力:株式会社ナムコ」と、「ゼビウス」では巻末のスペシャルサンクスに「バンダイナムコゲームスさん」と書いてある。

逆に、先に紹介したコピーライト表示は載せていない。あろうがなかろうが、それはバンダイナムコや旧ナムコの著作物であることは明白だしね。

その代り、引用という意味合いがあるのか、それぞれのゲームの説明文が載っていた他、ゲーム画面に安易に頼らないような形の話の進め方、ゲームの進行をゲーム画面ではなく、単なるスコア表示で表現するなどの工夫もしていた。

たぶん、いちいちバンダイナムコ等に許諾を得なくても十分引用として成り立つ使用方法だった。

しかし、今回問題となっている「ハイスコアガール」は使用点数などから考えると、そういったものにはなっていないということで問題化しているのだろう。

このあたりを本来であればスクウェアエニックスの出版の人間が著者にフォローするべきだったわけですね。

ちなみに、こうした問題が起こることを事前に指摘していた人間がいる。

それは私です、とかいつもみたいに言うんですか・・・。

そんなこと普段言ってないでしょうに・・・。

では誰が?

7月14日に紹介した『ナナのリテラシー(著:鈴木みそ)の2巻にゲーム業界関連の話が載るらしい』の「ナナのリテラシー 1巻」。

漫画内に、著者の鈴木みそ風の人と、KADOKAWA擁するエンターブレインの漫画雑誌「コミックビーム」の編集長との会話の中に次のような記述がある。わかりやすいように会話者の名称を「鈴」「編」で入れておく。

『編:昔のファミコン時代のマンガ ありゃ個人出版しない方がいいと思う

鈴:え?

編:ゲーム関係は今すげえうるさいのよ みそ吉さんが描いていた頃とは比べ物になんねえ ゲームキャラいじったりそのまま出したりしてたろ?

鈴:陰毛生やしたり?

編:うちからも電子版出そうとして動いたんだけれども やめたのはなぜかってーと 訴訟リスクな 会社の法務がやめろってくらいアブねえもの みそ吉っつあん個人で出してトラブったら とぶぜ?

鈴:な・・・なるほど』(「ナナのリテラシー 1巻」より)

本当に訴訟されていますね、スクウェアエニックスが・・・。

そんなわけで、「ナナのリテラシー」の2巻が9月24日に発売されるそうなので、そちらもぜひチェックしていただけたらと。2巻はゲーム関連とのことなので、より親和性が高い。

今気がついたが、8月から発売日延期してるんだな、こりゃ。

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今回の「ハイスコアガール」は普通に考えて絶版だろう。商業でやるにはあまりにも他の著作物に対する敬意がなさすぎた。

著者が悪いというより、悪乗りでやらせ続けたスクウェアエニックス出版部の関係者一同はどういうつもりなのか、と。

エンターブレインの方が圧倒的にまともとは思わなかったという結論で終えたいと思う。

南無エニ子。

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