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【正論】「8・15」に思う 戦後の「平等社会」の本質を問う 青山学院大学特任教授・猪木武徳
戦後日本は、競争への機会均等に関しても所得分配に関しても、戦前に比べると格段に平等化の進んだ社会となった。そして機会の均等だけでなく、「結果の平等」に対しても、人々は敏感に反応するようになった。新憲法のもとでの人権思想が、戦後社会のひとつの大きな柱となったのである。
《もろくタブー生む同質社会》
人びとの考えの均質化も進んだ。新聞・雑誌、テレビ、ネットとあらゆるメディアは、同じような情報、同じ種類の快楽を発信している。その結果、人びとの関心や意見、そして好みも、大体同じようなところに収斂しがちだ。一時は、めずらしかった少数派の意見や好みでも、現代の技術社会ではたちまちのうちに多数を制するか、はたまた社会から駆逐されてしまうかのいずれかになった。
しかしこの「平等化」や「均質化」を、もろ手を上げて賛美することには慎重でなければならない。無制約な平等化や均質化の進行は、社会全体の安寧にある種の軋(きし)みをもたらしかねないからだ。
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