伝統的な日本住宅と現代の住宅では、ファサード(≒外壁)の意味合いが全く違うと思います。伝統的な日本住宅において、ファサードは、厚みのある、いわば「体験型ファサード層」でした。
- 植木でできた垣の脇を通って、
- 小さい戸をくぐり、
- 両脇に緑を抱えた小路を通って、
- また門がある。
このどこの部分がファサードかというと、どこなんでしょう?^^;外壁は一応存在していましたが、ほとんど見えない場合が多かったのではないでしょうか。
現代はというと、非常にコンパクトな場合、通りからいきなり玄関、しかもリビング丸出しというケースもあり、それが良いか悪いかということはさておき、ファサードの意味が大きくなってきているのかな、と思います。
自分がどんな空間に入っていくのか、
住人がどんな人なのか、
序曲のような、名刺のようなものが、ファサードしか残されていないのです。
そんなわけで、外壁が面白い住宅を3つ紹介します。
構造体に包まれたオフィス、オーストラリア
物件名:office off 延べ床面積:不明 設計:heri & salli
いきなり住宅ではなく、外壁でもない件_(┐「ε:)_ ズコー
ティンバーフレーム構造という、無垢材を組み上げた大空間向けの構造体の中にオフィスが入り込んでいます。
※ティンバーフレーム構造の例
欧州の教会や民家などでみられる、大きな無垢材をふんだんに使う構造
上記のように、ティンバーフレームはオランダの田舎町(もちろんアムステルダムにもたくさんありますが)に多くみられ、ちょっと古臭いイメージでした。でも、こんな面白そうな使い方ができるんですね。現代のオランダぽさと、同じ地の古い工法が混ざった面白い物件だなあと思いました。
巨大ジャングルジムみたいで楽しそう過ぎる。
ティンバーフレームは大空間が得意。中は広々!
VIA:heri&salli inscribes angular volume inside timber frame for office off
魚網に捕えられた家、オランダ
物件名:holiday house 延べ床面積:135平米 設計:benthem crouwel architects
同じくオランダです。この地域に伝統的な物置に似せたプロポーションなのだそうです。しかし、特徴的なのはその外壁(の仕上げ)!なんと魚網で包まれています。言わば、魚網に捕らえられた家。
Q.さて、なぜ魚網に捕えられているのでしょうか?
A.分かりません。
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
参照元記事にも、公式hpにも、外壁については大したことが書いてないのです。私は外壁が一番気になったのですが、設計者にとってはそんなに重要な問題じゃないのかしら…。一応、網の色分けは内部の空間構成に従っているようです。なんで魚なんでしょうね。内地なのに。
VIA:benthem crouwel wraps holiday house in fishing nets on texel island
VIA:Holiday home, Texel — Benthem Crouwel
緑の壁に守られた家、ベトナム
延べ床面積:不明 設計者:vo trong nghia architects
リノベーションです。
以前もこの建築家の物件を紹介していましたが、緑を取り込むことをひとつのテーマにしているんですね。HPを覗いてみたら、エミリオアンバースみたいに緑1色でした。
関連記事:最近気になった住宅 - poco blog →紹介住宅の3つ目
この住宅が建つハノイでは、高密化・都市化が急激に進んでおり、環境問題になっているとか。緑の壁は、内にいる人だけでなく、外から住宅を眺める人の為でもあるんですね。つる性の植物が這えるような外壁を一枚作り、もともとあったベランダ部分は植物に譲ったそうです。
屋上も緑モリモリ!
VIA:Green Renovation by Vo Trong Nghia offers verdant urban living
以上、最近気になった「外壁が面白い家」でした。
その土地の歴史、環境的課題、そして謎の主張など、外壁には様々なメッセージが込められていますね。
みなさんはどんな外壁が好きですか?