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汚染地下水を浄化して排水 東電が漁協に説明
8月7日 19時14分

汚染地下水を浄化して排水 東電が漁協に説明
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東京電力は、福島第一原子力発電所で汚染水対策として行っている「地下水バイパス」と呼ばれる対応に加え、新たに汚染された地下水をくみ上げて浄化したうえで海に排水する計画を立て、7日、地元・福島県の漁業者に初めて説明しました。
漁業者側からは「風評被害の拡大につながる」などと批判が相次ぎました。

福島第一原発では、汚染水対策の一環として建屋に流れ込む前の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」が行われていますが、それでも地下水が建屋に流れ込んで、汚染水を増やし続けているほか、汚染された地下水が海に流出しているとみられています。
これに対し、7日、東京電力の担当者が相馬市の相馬双葉漁協を訪ね、およそ30人の漁業者に新たな対策の内容を説明しました。
会合は非公開で行われ、関係者によりますと、東京電力の担当者が、汚染された地下水を護岸沿いでせき止めたり、原発の建屋の周囲にある「サブドレン」と呼ばれる井戸からくみ上げたりしたうえで、浄化して海に排水する計画を立てていることを明らかにし、近く、浄化した地下水を海に流す排水管などの建設を国に申請すると説明したということです。
これに対し、漁業者側からは「風評被害の拡大につながるのではないか」とか「地下水バイパスだけでなく新たな対策がまた必要なのか」などと批判や落胆の声が相次いだということです。
相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長は「地下水バイパスの実施から僅か3か月後の新たな話で、これまでの経緯を踏まえても漁業者の理解は容易ではない。われわれとしてはあぜんとしている」と話していました。
会合に参加した相馬市の37歳の漁業者の男性は「個人的には受け入れられない。漁業者が一からコツコツと漁の再生に向けて取り組んでいるなかで、今回の対策は応急措置のような感じにしか聞こえない。漁業者の足を引っ張らないでほしい」と話していました。
また、同じく相馬市の64歳の漁業者の男性は「今までも国や東京電力はいい事ばかり言っていたが適切な対策が取れていない。きょうの会議のような話では漁業者の理解は得られない。今回の対策で、また騒ぐのかと思うとうんざりだ」と話していました。
会合のあと、東京電力福島復興本社の新妻常正副代表は「施設を建設するための国への申請については漁業者の方々にまずは聞いてただけたと思っている。漁業者の皆さんの理解なくして、われわれとしては前に進めようとは考えていない。理解を得るために丁寧に説明を行っていきたい」と話していました。

汚染地下水巡る計画と課題

福島第一原発では、護岸付近の地下水からセシウム137が最も高いところで1リットル当たり3万2000ベクレル検出されるなど、国が設定した海への排出基準を超える放射性物質が検出されています。
建屋で発生した高濃度の汚染水が地中に漏れ出しているのが原因とみられていて、こうした汚染された地下水が海に流出するのを抑える対策の柱となるのが「遮水壁」です。
今回の計画では、1号機から4号機までの護岸に長さ800メートルにわたる鋼鉄製の壁を作って地下水をせき止めたうえで、たまった地下水をくみ上げてあふれ出すのを防ぐとしています。
これとは別に、地下水を巡っては1日当たり400トンが原子炉建屋などに流れ込んで汚染水を増やし続けているという問題もあります。
このため、東京電力は建屋の周囲に掘られた「サブドレン」と呼ばれる合わせて42か所の井戸から1日当たり600トンの地下水をくみ上げることも計画しています。
サブドレンは、がれきなどに付着した放射性物質が雨水と共に流れ込むなどして汚染されていますが、東京電力はこれによって建屋への流入量を1日当たり200トンほど減らせるとしています。
これまで東京電力は、こうした二通りの方法でくみ上げた地下水について、浄化することまでは明らかにしていましたが、その後、どうするかについては明らかにしていませんでした。
東京電力は、ことし5月から汚染される前の地下水を上流側でくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」を実施していますが、汚染水の漏えいなど相次ぐトラブルの影響もあり、地元への説明を始めてから同意を得るまでに2年かかっています。
今回明らかになった汚染された地下水を浄化して海に排水する計画についても、放射性物質の中にはトリチウムといった取り除けないものがあるなど課題は残されていて、東京電力には地元への丁寧な説明が求められています。

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