2014年8月7日01時26分
「晴れていたのに急にドーンと雷が落ちた。周りにいたみんながグラウンドに身を伏せた。顔を上げたら投手が倒れていた」
試合をしていた選手の一人は落雷の瞬間の様子をこう語った。
会見した誠信高校野球部の加藤方郁部長(51)によると、試合開始10~15分後には雨粒が大きくなり、試合を中断した。5分ほどすると小雨になり、晴れ間も見えたため2回表の誠信の攻撃から再開した。
2回裏、投手の安藤翔輝さん(17)がマウンドに立った。加藤部長によると、まず「ゴロッ」とした雷の音が鳴った。その約10秒後、「ドーン」という音とともに目の前がパッと光り、マウンドで安藤さんが動かなくなっていた。
加藤部長が対戦校の部長とともにバックネット裏にあったAED(自動体外式除細動器)を使って措置をした後、安藤さんは救急車で病院に運ばれた。
■近くの柱に避雷針12本
誠信高校によると、当時、グラウンドには野球部員のほか、ハンドボールやサッカーなどの部員とその保護者計約100人がいた。
野球の試合をしていたエリアの一塁線と三塁線、さらにホームの裏には高さ25メートルの防球ネットがあり、ネットを支える12本の柱すべてに避雷針が付いている。これまで落雷による被害はないという。
加藤部長は、愛知県全域に雷注意報が出ていたのを知らなかったという。午前8時に天気予報をチェックし、午後から雨が降る可能性が高いことは知っていたが、落雷のおそれまでは気に掛けなかったという。
落雷事故の防止について、日本高校野球連盟は2009年4月、加盟校に通達を出している。気象台や天気情報会社から雷の情報を入手する▽雷が近づいてきたら試合を中断する――などの内容。
愛知県高野連は、練習試合でも、雷が一度でも光れば直ちに中断するように指導していた。ただ雷注意報が出ていても周囲に落雷の気配がなければ、中止や中断は求めてはいないという。県高野連の森淳二理事長は「落雷事故の防止については十分に注意を呼びかけていただけに、非常に残念でショックを受けている。被害生徒の一刻も早い回復を祈っている」と話した。
■ゴロゴロと聞こえたら、すぐ避難を
雷に詳しい中部大学(愛知県)の角紳一教授(高電圧工学)によると、周囲に避雷針があっても、グラウンドのような広い場所では落雷の危険性があるという。「避雷針の高さにもよるが、避雷針から30メートル離れると雷が落ちる可能性は高くなる」と指摘する。
さらに雷の音は12~13キロの距離までしか届かないといわれ、「ゴロゴロと聞こえたら近くに来ていると思った方がいい。すぐに安全な場所に避難することが大原則」と言う。
角教授は「後で非難されようとも、学校側や主催者は中止を決断することが何よりも大切。再開するとしても、気象庁などのデータから雷が遠ざかったことを確認することが必要だ」と話している。
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朝日新聞社会部
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