福島第1原発:3号機炉心溶融、5時間早かった 東電解析

毎日新聞 2014年08月06日 19時51分(最終更新 08月07日 00時21分)

福島第1原発3号機の破損状況を調べるため東京電力社員が撮影した事故直後の写真=2011年3月15日、東電提供
福島第1原発3号機の破損状況を調べるため東京電力社員が撮影した事故直後の写真=2011年3月15日、東電提供

 2011年3月の東京電力福島第1原発事故で、東電は6日、3号機の炉心溶融が、これまでの推定より約5時間早く起こっていたとする新たな解析結果を発表した。従来は燃料の約4割は原子炉圧力容器内に残っていると考えられていたが、炉心溶融が早まった分、燃料の損傷度合いも大きくなり、東電は大部分が格納容器の底まで溶け落ちたとみている。今後の燃料取り出し作業が困難になる可能性がある。

 政府の事故調査・検証委員会が12年に公表した最終報告書によると、3号機では、運転員が11年3月13日未明、非常用冷却装置「高圧注水系(HPCI)」を手動で止め、その後、6時間以上注水が中断した。その結果、同日午前9時すぎまでに炉心溶融が進んだとされた。

 しかし、東電が原子炉の圧力などのデータを再分析したところ、HPCIは手動停止より約6時間以上前の12日午後8時ごろには機能を失った可能性が高いことが判明。解析の結果、これまでの推定より約5時間早い13日午前5時半ごろには燃料が溶ける2200度に達したと判断した。

 現在の計画では、原子炉上部から遠隔操作で溶融燃料を回収する。大部分の燃料が格納容器の底まで落下していると、燃料までの距離が長くなるほか、炉内の構造物が障害になり、作業の難航も予想される。東電は「大部分が落下したという条件を加味して、いかに安全に取り出すかを考える」としている。【斎藤有香】

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