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韓国に対し露骨に不信感を示す中国

これまでも韓国のアメリカと中国の間における微妙な立場について言及してきたことがありますが、『環球網』がまさにぴったりの記事を配信していたので、これについて少し。


1 記事の紹介



 今日紹介する記事は「韩国赠菲军舰的行为必须制止」というものですが、だいたいの翻訳は以下のとおりです。

 韓国メディアの報道によると、6月10,11日、駐韓中国公使館及び武官の代表は、韓国の外交通商部と国防部に対し、フィリピンに軍艦を贈ることの停止を求めた。

 メディアによると、中国の官吏は“態度が強硬”で、“これまでにない、強い表現で不満を表した”としている。

 中国がこのような行動にでるのは、理にかなったもので、韓国がフィリピンに贈る計画をしている軍装備の数は多く、多用途の上陸用舟艇1隻と高速船16隻となっている。

 韓国は南シナ海の島を巡って、フィリピンがしたい放題をして中国を挑発していていることを知らないはずはなく、韓国がそれに武器を贈るということは、悪人を助けるだけでなく、中国に敵対する気炎をあげることとなる。

 韓国当局に聞いてみたいのは、韓日で独(竹)島の争いが白熱化している時に、中国が自発的に日本に上陸用舟艇を送ったら、あなた達はどう思うかということだ。

 中韓は現在、戦略的パートナーシップ関係にあり、経済、文化、科学技術の領域で順調に協力している。両国の貿易額は既に2500億ドルを上回っており、韓米、韓日の貿易額をたしたものより多い。

 中国は韓国の最大の輸出市場で、最大の原料輸入国でもある。韓国は中国で金を儲けて、“韓中友好”を叫ぶが、一方で、砲艦を使ってフィリピンへの軍隊援助を行い、勇気づけている。こうした悪辣な行為に我々は我慢できるか。

 韓国は長期にわたり“安全面でアメリカに依拠し、経済面で中国に依拠”の戦略をとっており、中国はこれに干渉してこなかった。韓国がどうアメリカに取り入ろうともそれは韓国のことだ。

 しかし、アメリカの「アジア太平洋回帰」に協力し、あからさまに中国の利益を損なうのであれば、これを許すことはできない。韓国はフィリピンへの軍事援助を停止しなくてはならず、長期的に見れないのは危険なことで、両国の関係の発展を阻害してはならない。

2 コウモリ外交



 韓国の場合、北朝鮮問題があるので、どうしてもアメリカに頼らざるを得ないわけで、確かに経済面ではかなり中国に依拠しておりますが、アメリカの意向を全く無視することはできません(習近平訪韓の意義を強調する中国と、韓国の対応)。

 だからこそ、全然会いたくない安倍首相ともアメリカの意向を踏まえて三者会談という形で、首脳会議を実現したわけですが、今回の問題もそうしたものの延長線にある話かと思います。

 それに元記事では「贈る」とあるのですが、これまでも韓国企業(サムスンの子会社)がフィリピンに対し、武器の販売を行ったこともあり、どこまで無償かわからず、もしかすると経済的利益も追及できる面もあるのかもしれません。


3 経済力



 以前安倍首相がオーストラリアを訪問し、オーストラリアが日本との連携を強化しようとしたとき、中国は中国とオーストラリアとは、貿易でこれだけ強い関係があるのにと、これをけん制したことがあります(日豪連携に対する中国政府の態度)。

 EUに対しても同様に経済面でいろいろ圧力をかけ、結果として中国に対する批判を封じ込めているようなところもあります(経済力で他国に言うことを聞かせようとする中国)。

 これも1つの外交のあり方ではあると思うので、全否定するつもりはありませんが、どことなく、札束で相手の顔をひっぱたくようにしている感が否めません。

 典型的な成金思考で、金さえあれば何でもできる相手にいうことをきかせることができると思っている様で(かつての日本にもこの傾向がなかっとは言えませんが)、こうしたことも「中国」という国のイメージを損ねている原因かと思います。


4 最後に



 確かに外交は駆け引きなので、一国に依存しすぎることはどうかと思いますし、顔は笑って握手していても、腹の中では互いに罵り合っていることがあっても不思議ではありません。

 しかし、その一方で、裏切者は誰からも信用されないという面があり、本人はうまくやったつもりでも、相手を裏切るようなことをしていれば、まわりからの信用を無くしてしまうという話かとも思います。

 そういう意味で、韓国にしてみれば、中国とアメリカという「大国」を手玉にとっているという思いかもしれませんが、実際はとっちつかずで、最後はどちらかにも信用されないということにもなりかねないと思った次第です。

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