笹井芳樹の自殺 - 責任をとり、責任から逃げ、他人の責任を被り、

笹井芳樹の自殺をどう意味づけるか。それは、事件の責任をとったということであり、また、事件の責任から逃げたということである。前者の意味から考えよう。この行為によって、笹井芳樹自身が、「STAP細胞」が存在しないことを世間に明確に宣告したと言える。それが捏造による不正であったことを、行動で示唆し、そして不始末の責任をとった。もし、「STAP細胞」に本人が自信を持っているのなら、自ら再現実験に乗り出して証明すればよかった。過去にも、研究不正で追い詰められて自殺したが幾つかある。報道では、笹井芳樹の体調悪化が書かれ、何やら精神的に重病で心神喪失であったような印象操作がされているが、最近のNHKの番組の中でも、取材班の質問へのメールの返事は非常にロジカルで、彼らしい華麗な詭弁で「TCR再構成」の疑義に反論していた。そこから判断して、自殺は決して突発的なものではなく、悩んだ末の決断の結果だと言える。笹井芳樹の身で考えれば、もし自殺しなければ、最終的には自分の口から捏造と不正を認める供述をせざるを得ず、それだけでなく、小保方晴子との関係の疑惑についても問い詰められ、耐えられない屈辱を味わう目になっていただろう。家族の前で生き恥をさらしたくなかったのだ。NHKは、二人のメールのやりとりだけでなく、出張の中味についても証拠を押さえている。理研が内部調査で得た証拠資料は、すべてNHKの手に渡っている。

笹井芳樹の自殺によって、「STAP細胞は存在する」と考える者は、さらに劇的に減っただろうし、「STAP細胞があるかないかが重要だ」などという軽薄な戯れ言を弄し、そこから小保方晴子を擁護する者はいなくなるだろう。マスコミの報道では、笹井芳樹が小保方晴子に宛てた遺書の一部が公開され、「あなたのせいではない」「STAP細胞を必ず再現してください」と書かれていたとある。この報道については、大いに怪しんで吟味する必要がある。もし、これが事実であったとして、何でこのワイドショー的な断片だけがマスコミに撒かれたのか。まず、この「事実」をマスコミに撒いたのは誰なのか。理研だろうか、兵庫県警だろうか。誰の仕業なのか知りたい。この言葉だけが切り取られて報じられることで、世間一般の感情は、またぞろ小保方晴子への同情を強める方向に作用し、「STAP細胞」の虚偽について小保方晴子や理研を追及していた側は、その勢いを怯ませられる逆風に立たされる。ここに、このフレーズを撒いた者の意思と作為がある。それは、「STAP細胞」の虚偽と捏造に対する告発を封じようとすることであり、笹井芳樹や小保方晴子への同情論を搔き立て、笹井芳樹や小保方晴子を批判してきた者を責め、真相解明への動きを尻込みさせることだ。そうした動機を持っているのは、理研の上層部であり、小保方晴子を強引に擁護する安倍政権である。

小保方晴子に「STAP細胞を必ず再現してください」と遺言していた件が事実であれば、笹井芳樹は、4/16の会見時の態度と説明をフリーズしたことになる。それを揺るがさず、結局のところ、自分は「STAP細胞」の存在を信じていたという像で確定させた。真相究明を求める立場としては、このことはとても残念なことだ。笹井芳樹は、この捏造と不正について最も事実を知っていた者であり、それを科学的に正確に説明できる者であり、国民に向かって説明しなければならない義務を負った者だった。そして、笹井芳樹に、逃げずにそうして欲しかった。責任を全うして欲しかった。その笹井芳樹が、こうして小保方晴子を擁護するメッセージを発信して自殺したことは、事件の真相解明が遠のき、「STAP細胞」の虚構と詐欺が迷宮化する可能性が増したことを意味する。自裁は一つの責任のとり方であり、究極の引責の方法に違いないが、真実を言わないまま死者になることは、責任の放棄であり、逃亡である。中途半端な責任のとり方だと言うしかない。本人と家族の名誉という点でも、この結末がよかったとは言えない。勇気を出して、自らの誤りを正直に認め、全てを告白して欲しかったし、どれほど恥をかき、泥にまみれても、そこから人生を再出発する選択をして欲しかった。不正事件の科学史という点からも、マイルドな形での問題解決にならず、陰惨きわまる性格のものになった。

この事件では、私の前に二人の優秀な男が登場した。石井俊輔と笹井芳樹である。二人の話には、普段、政治を追いかけるときに聞くことのできない、頭脳の優秀さが感じられ、そのことが私をこの事件に惹きつける要因の一つにもなっていた。笹井芳樹が、NHKの番組に追い詰められたことは間違いない。だが、結果的に追い詰めた形になったからと言って、ここでNHKを糾弾するのは間違っている。報道機関が国民に代わって不正事件を追及するのは当然のことで、真実を追跡して報道する使命が公共放送にはある。むしろ、責められるべきは理研であり、安倍晋三と下村博文だろう。笹井芳樹は3月に副センター長辞任を申し出ていたのだから、そこで辞任を受理すればよかったではないか。肩の荷を軽くしてやり、真実をありのまま自供する気楽な精神状態にしてやればよかった。論文不正の結論は5月に最終決定したのだから、6月に速やかに小保方晴子の解雇と笹井芳樹の辞任を発表すればよかった。そうしていれば、NHKに証拠全体(メール交信録、出張明細)が渡ることはなく、NHKの番組制作の内容も違うものになっていただろう。笹井芳樹の自殺というのは、ひょっとしたらあるかもしれないと、心の中で1%ほどは可能性を考えていた展開だ。後づけのようだが、ここでそのことを書く。あのNHKの放送の後、2ch生物板で、笹井芳樹が先に逮捕されるのではないかという憶測が流れ始めていた。

私は、それは十分あり得ると納得して注目をしていた。逮捕の理由というか容疑は、例の再生医療の国家戦略特区がらみの利権に関わる問題である。NHKの番組は、神戸市の元幹部を証言者として登場させ、笹井芳樹がプロジェクトを引っ張る中心人物で、巨大事業全体を統轄するマネージャー役だという点を強調していた。ということは、例の38億円の笹井ビルに入居するベンチャー企業の選別とか推薦について、笹井芳樹が絶大な権能を持っていることを意味する。その関連で、何か職権に抵触する小さな嫌疑を検察が内偵していた可能性が考えられた。同じことばかり言って恐縮だが、NHKが、あの神戸市関係者の証言をあの表現で挿入するということは、相当な裏があってのことと想像するのが普通だ。だから、私は笹井芳樹の自殺について、ひょっとしたら検察の手が及ぶことを察知しての行動だったのではないかとも疑っている。7月に入り、早稲田が博士号を安堵し、下村博文の指示で「再現実験」へ突入した時点で、最早、この事件を解決できる主体は、強制捜査の権限を持った司法当局しかなくなっていた。動かぬ証拠を本人たちに突きつけ、自供をとることができるのは、刑事司法官しかなく、その場合は、まず周辺の疑惑のところから洗って笹井芳樹を捜査の標的にし、笹井芳樹から「STAP細胞」の捏造について自供を取り、そして小保方晴子を聴取して落とすというアプローチが推測された。

笹井芳樹は、結局のところ、4/16の会見の立場を頑迷に守り抜き、小保方晴子を擁護する姿勢を撤回せぬまま口を閉ざした。「STAP細胞」についても、その存在を否定せず、「再現実験」を応援するメッセージを発信して還らぬ人となった。この悲劇は、小保方晴子と理研上層部にとって、願ったり叶ったりの最も好都合な展開だろう。死人に口なし。この「遺言」を強力な護符にして、小保方晴子は「再現実験」の身を安泰させることができ、理研は「STAP細胞」の過誤と責任を曖昧化するフェイドアウトの時間稼ぎを正当化できる。笹井芳樹は、自死によって国民と科学者たちの前で責任をとり、「STAP細胞」の捏造と虚偽を事実上認めつつ、「遺書」の字面の上ではそれを認めず、自らの非を認めず、追及から逃げたい小保方晴子と理研の意向に沿う配慮を残した。昨日(8/5)の竹市雅俊と野依良治の他人事のコメントを見ていると、「責任を一人で背負って逝ってくれてホッとした」という安堵の本音が透けて見える。これで理研は、何もかも笹井芳樹に押しつけられるし、「あいつが全部やった」という釈明に出てくるだろう。竹市雅俊は巧く言葉を繕っているが、5月から7月のCDBの中では、孤立する笹井芳樹に対して「早く一人で消えてくれ」という冷酷な態度で接していたのではないか。ノモンハン事件後の陸軍の対処とか、そういう日本の毒々しい組織体質の悪弊を想起する。それと、気になるのは衝撃を受けているに違いない若山照彦と丹羽仁史で、この二人が笹井芳樹と同じ目に遭わないか心配だ。

なぜなら、笹井芳樹亡き後、「STAP細胞」の虚偽と捏造について、現場の当事者として最もよく事実を知り、国民に説明をしなくてはいけない責任者がこの二人だからであり、強烈な精神的重圧がかかる境遇になるからだ。小保方晴子は、司法当局が動かない限り、最後まで捏造を認めないだろう。安倍晋三も、最後まで小保方晴子を擁護し、「があるかないか分からない」状態を続けさせようとするだろう。となると、丹羽仁史と若山照彦は、真相解明を求める国民の世論と、ウソを言い続けて塗り固める安倍政権・理研との間の板挟みになる。笹井芳樹の自殺は、1%くらい可能性を考えたが、やはり意外なハプニングである。ハプニングはどう続くか分からない。一部には、笹井芳樹は誰かに暗殺されたのではないかという陰謀論も出回っている。陰謀論ではあるけれど、一笑に付せない陰謀論だ。2ch生物版では、誰かが(笹井芳樹が)死ぬのではないかという噂も確かに出ていた。この事件は、遂に関係者の命を奪うところまで大きくなった。3月にこの事件に遭遇したとき、事件の意味の大きさを直感し、圧倒され、意識が密着したまま離れられなくなったけれど、そのときから、この不幸へ至る将来は何となく予感できていたような気がする。丹羽仁史と若山照彦を板挟みの重圧で苦しめないためには、安倍晋三が「STAP細胞」から手を引き、小保方晴子を擁護する大衆扇動をやめ、「STAP細胞」の「検証」を打ち止めにすることだ。社会全体が科学の理性に即き、正気を取り戻し、事件を速やかに解決させることだ。

この事件は、単なる研究不正事件ではなくなっている。シェーン事件にルイセンコ事件が被る二重構造の厄介な問題になっている。政治事件でもある。だから、人の命が奪われる。恐るべき悪魔の事件そのものだ。早く収束させないと、第二、第三の犠牲者が出るだろう。それと、最後に、今回の件で、理研CDBの崩壊が決定的になった点も言わないといけない。誰の目にもそれは明瞭だ。解体には反対などと理研は言っているが、笹井芳樹がこのような非業の最期を遂げて、果たしてCDBを今後も運営し続けることができるだろうか。CDBだけでなく、ポートアイランドの再生医療プロジェクト全体も、キーマンを失って挫折せざるを得なくなった。事業を引っ張るリーダーを欠く事態となった。こんなことになる前に、早い段階で手術して、問題の影響を最小限に食い止めておけばよかったとも思うし、CDBの崩壊と神戸再生医療事業の頓挫は必然で、事件全体の解明が進み、笹井芳樹の関与と役割が明白になれば、遅かれ早かれ、破滅と解体へと向かわざるを得なかったことは間違いないとも思う。NHKのスタッフには、この混乱で意気消沈したり、小保方擁護派の狂衆たちのバッシングに惑わされることなく、引き続き、真実を解き明かす鋭意のジャーナリズムを続けて欲しい。憶してはいけない。真実を明らかにすること、日本の科学を理性と常識の道に正しく戻すことが、この事件で犠牲になった笹井芳樹の霊を弔うことになる。司法当局が動かない以上、小保方晴子事件の真相を解明できるのは、証拠を押さえたNHKと、正論に即く科学ジャーナリズムしかないのだ。

理研は、一刻も早く「検証実験」と「再現実験」の中止を決断することだ。呪われた悪魔の事件の犠牲者をこれ以上出さないために。



by yoniumuhibi | 2014-08-06 23:30 | Trackback | Comments(13)
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Commented by あつい at 2014-08-06 16:48 x
>笹井芳樹の体調悪化が書かれ、何やら精神的に重病で心神喪失であったような印象操作がされているが、

笹井が3月に1ヵ月入院していたなどと報道している大手メディアがあるが、時系列を追ってみれば話がおかしいのがわかる。

笹井は3月11日、上原賞の授賞式に出て、2000万円をもらい、そしてSTAP疑惑には答えず、ノーコメントで逃げている。

これが人々の怒りに火を注いだ。

STAP疑惑が大きく発覚したのは、細川と小泉が敗北した、都知事選の開票翌日、2月12日だ。
安倍晋三らは都知事選の間、必死にSTAP賞賛をやっていた。


Commented by fussyvet at 2014-08-06 17:44 x
夕方ニュースで知り、昨夜はショックで眠れませんでした。故人は、STAP細胞がねつ造であって、存在しないことを確信したのでしょうし、責任を免れないと考えたのでしょうし、小保方氏が弁護士を何人も雇って組織にはむかい、自供もしない中、組織と彼女との板挟みにあったのだろうと思います。早い段階で処分されていたのなら、頭のいい方ですし、十分に取り戻せたと思いますが、3月に辞職を願い出ていたのを受け入れてもらえなかったのですよね。真綿で首を絞められるような5ヵ月間だったと察します。自分が築いたCDBで最期を迎えられたことに、メッセージ性を感じます。
小保方氏が真実を全て話すことが笹井氏の死を無駄にしないことになると思うのですが。
悶々と考えていたことを、全てまとめていただいたような気がいたしました。最大かつ最悪のスキャンダルになってしまいました。本当に残念です。若山先生も体調を崩されたとか。守って差し上げたいです。
Commented by 一息 at 2014-08-06 18:19 x
小保方氏宛ての笹井副センター長の遺書には「STAP細胞を必ず再現してください。」と残していたようです。この内容からも彼自らのSTAP細胞の検証実験は失敗していたようです。
また、笹井副センター長は小保方氏にこんな言葉を残していると言われています。「新しい人生を一歩一歩進んで行ってください」と。彼の中にもSTAP細胞が存在しない世界があったのではないかと思えるメッセージです。彼の遺書には「限界を超えた。疲れた。」ともあります。
笹井副センター長の限界を超えたSTAP細胞を小保方氏が再現できるのか?
今後、彼女には研究者ではない新しい人生を・・・と言いたいです。

巷では笹井副センター長の自殺の件は、マスコミやNHKの特番のせいにしている方がいますが、不正や捏造に目を背けるような報道機関では困ります。これからも真相解明にぜひ力を入れて下さい。

8月6日(水)のお昼のNEWSで「検証実験の中間報告が延期になる。」と配信されていました。
理研の今後の動きが鈍りそうで、とても、残念でなりません。
Commented by fussyvet at 2014-08-06 18:25 x
自死には復讐の側面を持つ場合があります。リークでは、小保方氏宛の遺書に「必ず再現実験を成功させてください」とあったといいますが、これは小保方氏に対する皮肉にも捉えられるのは考えすぎでしょうか。
Commented at 2014-08-06 18:43 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kokoron at 2014-08-06 19:08 x
>理研CDBの崩壊が決定的
>再生医療プロジェクト全体も、キーマンを失って挫折
そうなるよう願ってやみませんが、一方で、
このままなんらかの代役を立てて
粛々と進めていくのではないか、という危惧を捨てられません。
安倍政権は、これまでも常識では考えられないような
強引な手法で望むものをカタチにしてきました。
チカラと金のある者だけが優遇され、
それ以外の大多数者は彼らのために利用され搾取される、
安倍政権の本質がなぜ理解されていないのか
日々歯がみをするような思いで過ごしています。
笹井氏のような圧倒的実力を持つ科学者まで
利用される事態となりましたが、ここに至るまでの解明が進み、
笹井氏の死が犬死にならないことを祈っています。
Commented by Chakurobee at 2014-08-06 19:50 x
いつもの分析力や考察力に感心いたします。小生も笹井氏の自殺には驚きました。ご指摘あったように、自らの命を絶って、結果としてSTAPのなかったことを告げたのではないでしょうか。元理系研究開発従事者としての経験から判断しても、宝を目の前にしての自死は極めて考えにくいです。若くして実績を上げ、成功のエリート街道を走ってきた笹井氏ですが、挫折経験(打たれ強さ)のなかったことが災いしたかも知れません。 彼の口から真実の証言を聴くことができなくなって、とても残念です。 それにしても、この期に及んで、まだSTAPの存在を口にする人が一部いることを信じられません。
Commented by shabby at 2014-08-06 19:53 x
笹井氏の突然の訃報、丹羽氏の体調が気になっていたが虚をつかれた。ご冥福をお祈りいたします。

それにしても11時過ぎ死亡確認、14時過ぎ神戸新聞が兵庫県警の情報として小保方宛の遺書の内容を一部報道。(これが一報かは不明。現在は遺書の内容の出所が見当たらない。)13時45分頃からの理研広報部の会見では、遺書が全部で何通か、誰宛のものか等当然ながらまだまだ情報が錯綜しているようだった。自殺が確定するまでは捏造も疑って遺書は充分検分されるのではないのだろうか。また、公開されるにあたっては遺族の許可などを経る必要はないのだろうか。
18時頃の続報では、遺書はワープロ打ちされ自筆の署名がついていたとあった。

小保方に明らかに有利な内容に慄然とする。「あなたのせいではない」というのは、自殺が小保方のせいではないという意味であろうが、まるで一連のSTAP問題は小保方のせいではない、ともとれるように切り取られている。
また、STAP現象については笹井氏ももう存在を十分に証明出来ない、と表明していたにもかかわらず「必ず再現してくれ」などと残すだろうか。このくだりが本当なら、自分も皮肉であれと願わずにはいられない。

Commented by Requiemaeternam at 2014-08-06 21:50 x
遺書の内容が宛名とされている受取人に渡る前に警察によってリークされているという異常性は、何を物語るのか。

その「内容」とされているものは、小保方擁護派にとっては誠に好都合なものであり、STAP検証実験の継続を求める世論を形成しようという意図が透けて見える。(おそらく実際そうなってゆくだろう。)

そこまでくると、ここには何らかの「操作」があったと考えざるを得ない。急いで遺書の「中身」とやらをメディアに報じさせ、小保方への非難・糾弾の芽を摘み取っておく必要が何としてでもあった。

そこまでのことが可能な権力を持っているものは誰か。いまごろ永田町でほくそ笑んでいるであろうこの醜悪なシナリオのゴーストライターは、その穢れた筆致で次に何を出現させるのか。

そう考えると、遺書の内容が捏造されて伝わった可能性、それどころか、遺書そのものが捏造された疑いも、今や一笑に付すことのできない仮説となってしまった。

この闇の深淵に、光を差すジャーナリズムは果たして現れるのだろうか。無理かもしれない。しかし、希望は捨てずにいよう。それだけが、もはや自ら語ることのできない笹井氏への最大の弔いにもなるのだから。
Commented by ある科学関係者 at 2014-08-06 21:54 x
ブログ主さまの見解に概ね賛同しますが、うつ経験者としては笹井氏の精神的変調を全面的に否定するのは同意できません。
うつ状態でも重篤でなければ波があり、論理的な思考が十分にできる場合もあります。遺書が複数あったなどある程度覚悟を決めた計画的な自死であるのと同時に、精神的に追い詰められていたこともまた事実だろうと思います。
Commented by anion at 2014-08-06 22:38 x
まずは笹井先生に対し心よりご冥福お祈り申し上げます。

自らが築き上げた城を死地に選ぶという時点で、ある種のメッセージの発信と受け止める事にします。小保方女史はこれで少なくとも退路が断たれた形になります。「あなたのせいではない」で故人の名誉を傷つけるような言動は封じられますし、「必ず再現」で再現できなければ、途方もないペナルティーを負う事になるでしょう。もう「ごめんなさい」では済みません。メディアの発信意図はともかく、これは明確な呪いだと思います。

下世話な話ですが、京大閥が幅を利かせている科学系組織―だけでなく全般か―では、今後、ある程度力のあるベテランは別に、若手の早稲田関係者は個々の実際の器量に関係なく、蛇蝎の如く敬遠されるでしょうね。時間の経過とともに、本当にどうしようもない陰惨な事件となってしまったものです。暗鬱たる思いです。
Commented by オウンゴール at 2014-08-06 22:50 x
「必ず再現実験を成功させてください」と遺書にはあったということですが、これが事実だとして、笹井氏の願いは叶えられようもないのですから二重の意味で残酷です。

実体のない「STAP細胞」という共同幻想が人を死に追いやる予想外の展開にまでなったこの事件、にもかかわらず、いまだに幻想の維持に固執する人たちはいったいなんなんだろうかと感じます。

責任の取り方としては中途半端な形になった笹井氏の身の処し方(ご家族のこと等を考えてのことでしょうが)から判断すれば、真相の究明を氏が望んでいなかったのは事実なのかもしれませんが、だからと言って、まるでこれ幸いとばかりに彼の死に乗っかる形で不正の隠蔽を押し通そうとする行為に対しては、その品性の欠如に(歯に衣着せぬ言い方をさせてもらうなら)、反吐が出る思いです。
Commented by はちきん at 2014-08-06 23:17 x
Requiemaeternamに同意します。

小保方さん、あなたは人が一人死んでもまだ己の保身に執着し続けるのですか?
その先には何があるのですか?
人は、過ちを認め悔い改める者を貶めたり蔑んだりしません。
もう終わりにしませんか。
そして新しい人生を歩んでください。
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