| | 福島県川内村のキノコに含まれる放射性セシウム濃度について報告するグループのメンバー=長崎市平野町、長崎原爆資料館
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長崎大原爆後障害医療研究所の高村昇教授の研究グループは1日、福島第1原発の30キロ圏内にある福島県川内村で自生していたキノコ154点の放射性セシウム濃度を測定した結果、88%の136点が国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を上回ったことを明らかにした。研究グループは「基準値を上回るキノコは食べないよう住民への説明が必要」とし、村で採取したキノコは村にある高性能機器で測定するよう求める考えを示した。
長崎市内で開かれた原子爆弾後障害研究会で報告した。放射性セシウムはチェルノブイリ原発事故後の調査でキノコに集積しやすいことが分かっている。今回は昨年8〜11月、村の住民が持参した分を調べた。
濃度が最も高いムラサキアブラシメジモドキは1キログラム当たり最大12万4900ベクレルを記録し、基準値の千倍以上に達した。これを1日100グラム、毎日食べた場合の年間被ばく線量は約68ミリシーベルトで、がんのリスクが高まるとされる100ミリシーベルトは下回った。研究グループは今後、今回の採取場所と濃度の測定結果を示した「キノコマップ」を作成する。
研究会には約150人が参加。被爆による健康影響に関する研究発表や「福島復興の現状」と題したシンポジウムなどもあった。