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海外サッカーコラム
170cm、66kgというドイツ代表で最も小さなフィリップ・ラームが、ピッチ上では誰よりも大きな仕事を涼しい顔で成し遂げる。
photograph by Getty Images
ブンデスリーガ蹴球白書

W杯優勝を置き土産にして代表引退。
鉄人ラームは葛藤を抱えていたのか?

ミムラユウスケ = 文

text by Yusuke Mimura

photograph by Getty Images

 ドイツ人としては24年ぶりにW杯を掲げたキャプテンとなったラームが、代表引退を発表した。

 リオデジャネイロで行なわれた決勝戦の翌日、朝食をとる際に、2016年のEUROまで契約期間を残していたレーブ監督に自らの決断を伝えた。ラームは代表のユニフォームを脱ぐことについて、このようなコメントを発表した。

「昨シーズンの最中から、今回のワールドカップを最後に代表から引退するつもりでいました。ブラジルでW杯優勝という形で代表のキャリアを終えられることを、嬉しく思います。感謝しています」

 ちょうどドイツ代表選手たちの休暇中に発表されたために、代表のチームメイトたちは次々とSNSを使ってラームへのねぎらいと感謝の気持ちを伝えている。EURO2016までラームは代表を引退しないと考えていたというドイツサッカー協会のニースバッハ会長は、頼れるキャプテンがいなくなることを惜しみつつも、さっそく代表引退試合のプランを明かした。今年の9月3日にデュッセルドルフで行なわれる親善試合で、その相手はなんとブラジルW杯の決勝で対戦したアルゼンチン代表なのだ。

「プレー、人間性……彼を超える主将など想像できない」

「『この試合に来なければならない。そこで私たちは、君に別れを告げたいんだ』とラームには伝えたんだ」

 ニースバッハ会長はそう語っている。また、今回の決断を最初に聞かされたとされるレーブ監督は、このように話した。

「プレーをとってみても、その人間性をとってみても、彼の引退はチームにとって大きな損失だ。彼を超えるキャプテンなど想像できない。彼はリーダーシップを発揮してくれ、存在感を示していた。私にとって、彼はいつもチームの中心にいて、我々の理想について議論するときの大切なパートナーだったんだ」

 こうした周囲の反応からは、マテウス、クローゼ、ポドルスキに次いでドイツ代表史上4番目となる113試合というキャップ数を誇るラームに対する敬意がうかがえる。

 ただ興味深いのは、ドイツ代表でもバイエルンでもキャプテンマークを巻いてきたラームだが、満を持して代表のリーダーの座を引き受けたわけではなかったことだ。

【次ページ】 キャプテンマークを巻くことでリーダーとなっていった。

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