従軍慰安婦を描いた舞台『鳳仙花(ほうせんか)』で、「内容の一部が事実を歪曲(わいきょく)している」として元慰安婦たちが強く反発するなど、波紋が広がっている。
ソウル市劇団(キム・ヘリョン団長)が上演する同舞台は、尹静慕(ユン・ジョンモ)の小説「母・従軍慰安婦 かあさんは『朝鮮ピー』と呼ばれた」が原作で、日本による植民地支配時代、従軍慰安婦として連行された一人の女性の人生を描いた作品だ。昨年11月にソウル・世宗文化会館で初演され、このほど米ロサンゼルスとシカゴでの上演が終わり、今月5日と6日にはニューヨークのクイーンズシアターで2公演が予定されている。
この公演は現在、米下院で慰安婦決議が可決されて7周年に当たるのに合わせ、米国の主要都市を回り慰安婦問題を訴える元慰安婦・李玉善(イ・オクソン)さん(87)と姜日出(カン・イルチュル)さん(86)の活動と連携させる計画だったが、二人が内容訂正を強く要求したことから、思わぬ事態となっている。
問題のシーンは、ある慰安婦が華やかな着物姿で「カネ(軍票)」をばらまき、同じく着物を着た別の慰安婦がそれをはいつくばって拾い集めるというものだ。二人は「旧日本軍に連行され、悲惨な暮らしをしていた間、華やかな着物を着たこともお金をもらったこともない」として、事実が歪曲されていると批判している。
すでに二人は今回の訪米で最初の訪問地であるカリフォルニア州でこの劇に反発、行事への不参加を宣言するなど、極度の不快感を示している。先月27日にカリフォルニア州グレンデール市のアレックス劇場公演で問題のシーンが登場したことに抗議、翌日「平和の少女像」(慰安婦像)の前で予定されていた行事に参加しないと宣言した。
ニューヨーク公演では、元慰安婦たちが暮らしている「ナヌムの家」(京畿道広州市)をはじめ関連団体が内容訂正を要求したが、劇団側はプレスリリースでこれに反論、まかり間違えば衝突という事態も懸念されている。